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遺伝子変異



----------このキーワードを使っている記事----------
2019.11.06:ショートスリーパー遺伝子「neuropeptide S receptor (NPSR1) 」変異の3つ目が見つかる
2018.06.05:Nature Medicineで進行性末期乳がんを完治させた最新のコンビネーション免疫療法の事例が発表される
2017.05.31:生体内で狙った遺伝子のみを編集出来ると思われていたCRISPR/Cas9システム、ゲノムのあちこちに狙っていない遺伝子変異を起こしていることが発覚
2015.12.11:Nature Medicine誌の選ぶ2015年の医学の進歩まとめ
2015.10.05:マラソンなどで1万人に1人程度起こる運動中突然死(致死性不整脈)の原因の1つはIRX3遺伝子の変異
2012.12.14:医学分野の最も有名な学術雑誌「Nature Medicine」が選ぶ2012年の重要な研究成果
2008.09.05:特定の遺伝子が結婚生活に影響を及ぼす?(/.jp)
2008.03.10:長寿に人に共通の遺伝子変異が見つかる
2003.01.09:通常よりも心肺能力を高める遺伝子変異見つかる

2019.11.06

ショートスリーパー遺伝子「neuropeptide S receptor (NPSR1) 」変異の3つ目が見つかる
ショートスリーパー遺伝子「neuropeptide S receptor (NPSR1) 」変異の3つ目が見つかる

↑BTW

この遺伝子変異は4.3〜5.5時間しか眠らない父親と息子の全ゲノムシークエンス研究から見つけたそうです。この遺伝子をネズミに導入すると活動時間が増え睡眠時間が減り、かつ睡眠を制限した時の脳障害が抑制出来たそうです。

これまでに見つかった2つのショートスリーパー遺伝子はDEC2変異とADRB1(β1アドレsなリン受容体遺伝子)変異とのこと。

Category:睡眠




2018.06.05

Nature Medicineで進行性末期乳がんを完治させた最新のコンビネーション免疫療法の事例が発表される
Nature Medicineで進行性末期乳がんを完治させた最新のコンビネーション免疫療法の事例が発表される

↑BTW

 一般の患者に届くにはまだ時間がかかりそうですが、最新研究を総動員したアベンジャーズ的治療でこれまで治せなかった進行性乳がん(既に体のあちこちに転移している患者)の転移病巣も含め完全退縮させ2年間再発無しの状態に導いたそうです。

 既に「免疫療法」の一つ「免疫チェックポイント阻害剤」が癌治療で画期的な成果をあげているのは聞いていると思います。しかしこれらの治療方法は実はどんな癌にでも効くわけではなく、メラノーマ(黒色癌)、喫煙者の肺がんや膀胱がんなどDNAの突然変異が高度に蓄積した癌でのみ効果が強く、乳がんや消化管の癌、卵巣がんなどには強い効果が無いのが現状です。

今回アメリカNIHの研究者が発表した方法は、上記した最新の免疫チェックポイント阻害剤でも治療効果の低い癌を強力に治療出来る方法になります。

方法ををチャート式で書くと下記のようになります。

患者の癌細胞を一部取り出して遺伝子変異を分析、標的とする4つの遺伝子変異を決定(今回はSLC3A2、KIAA0368、CADPS2、CTSB)

患者の免疫細胞の中からがん組織に侵入しているリンパ球(TIL:Tumore-infiltrating lymphocytes)を取り出して増やして患者に戻す。合わせて免疫活性化作用のあるIL-2と、免疫チェックポイント阻害剤を併せて投与

この結果、癌の病巣は転移した部分も含め完全消失し、現在22か月間再発無しだそうです。

 それぞれの方法はかなり研究が進んでいる治療方法ですが、今回それらを組み合わせています。癌の種類ごとの治りにくさは詳しくないのですが今回Nature Medicineで単一患者の完治がこのように発表されていることから、普通は治らない癌が治ったのではないかと思います。

癌の治療分野は最近すごいですねぇ。しかし、この治療方法値段をつけるとすると3000万円ぐらいでしょうか

Category:ガン・腫瘍




2017.05.31

生体内で狙った遺伝子のみを編集出来ると思われていたCRISPR/Cas9システム、ゲノムのあちこちに狙っていない遺伝子変異を起こしていることが発覚
生体内で狙った遺伝子のみを編集出来ると思われていたCRISPR/Cas9システム、ゲノムのあちこちに狙っていない遺伝子変異を起こしていることが発覚

↑BTW

スタンフォード大学の研究者らの報告です。マウスを用いて「盲目になる原因遺伝子」をCRISPR/Cas9ゲノム編集システムで編集するという動物実験において、治療が行われたマウスの目的以外の部分も含め、ゲノムを全て調べたところ、目的とする遺伝子がきちんと編集されているのに加えて、1500以上の1塩基変異が生じており、100以上のゲノム配列が塊でゴソっと削除されていたり、挿入されているのを発見したそうです。

 これまで目的以外の部分には問題が無いと信じ、全ゲノム解析を行うようなことはしていなかったため、発覚していなかったようです。

Category:ゲノム編集・デザイナーズベイビー




2015.12.11

Nature Medicine誌の選ぶ2015年の医学の進歩まとめ
Nature Medicine誌の選ぶ2015年の医学の進歩まとめ

↑BTW

 今回は比較的メカニズム解明的な話が多いので素人には分かりにくいかもしれません。肥満が「病気」である証拠が見つかり、肝臓・心臓を再生させるための手がかりが見つかり、エボラウイルスワクチンがもうすぐ完成し、癌を克服するための様々な弱点が明らかになりつつあるようです。腸内細菌の状態が癌治療に大きな影響を与えうる証拠が見つかった点は興味深いです。


(省略されています。全文を読む

Category:1年間のまとめ記事




2015.10.05

マラソンなどで1万人に1人程度起こる運動中突然死(致死性不整脈)の原因の1つはIRX3遺伝子の変異
マラソンなどで1万人に1人程度起こる運動中突然死(致死性不整脈)の原因の1つはIRX3遺伝子の変異

↑BTW

この遺伝子変異のある人は、マラソン時などストレスの高まった状態でHis-Purkinje系という神経シグナル伝達がうまくいかなくなり、結果として、心臓の拍動を制御するための電気信号がうまく伝達されなくなるそうです。

研究者は遺伝子操作でIRX3遺伝子を欠損したマウスを作成し調べたところ、運動時に不整脈が多発することを確認、人間においてもIRX3遺伝子の1262G>C (R421P)、1453C>A (P485T)という遺伝子変異で同様の事が起こっていると推定されるそうです。

調べて突然死を防ぐのは有用かもしれないけど、自分がそんな変異を持っているかどうかは、あまり知りたくない気がします。
(省略されています。全文を読む

Category:運動・エクササイズ




2012.12.14

医学分野の最も有名な学術雑誌「Nature Medicine」が選ぶ2012年の重要な研究成果
医学分野の最も有名な学術雑誌「Nature Medicine」が選ぶ2012年の重要な研究成果

↑BTW

 医学分野の最も有名な学術雑誌Nature Medicineが2012年に発表された重要な研究成果として8つの研究フィールドに分けて紹介しています。

★神経科学
 自閉症の原因遺伝子についての発見があった。自閉症患者の遺伝子を1000人分調べ共通点を探したところ、変異すると自閉症になりうる共通変異が100以上見つかった。自閉症は父親の年齢が高いほど確率が高いが、高齢の男性の精子が遺伝子変異を起こしやすいことと関係していると思われる。

★ガンのメカニズムに関して
 ガン細胞がどのように体内で増えていくのかに関して様々な知見が得られた。例えばガン細胞はエキソソームを放出して転移に適した環境を作り出すし、血管細胞免疫細胞を制御して自身が生存しやすくしている。ガン細胞は転移出来る場所に落ち着くとBMP阻害因子であるCocoタンパクを産生するようだ。これらはいずれも新たなガン治療薬開発の可能性となる。

 また、ガンの増殖に関して、周囲の正常部分の関与も報告された、抗ガン剤はガン細胞だけでなく周囲の正常細胞も傷つけるがそれらの正常細胞が元に戻ろうとする過程でガン細胞を増殖させる物質を出してしまっているようである。

  • Melanoma exosomes educate bone marrow progenitor cells toward a pro-metastatic phenotype through MET.Nat Med. 2012 Jun;18(6):883-91. PMID:22635005
  • The BMP inhibitor Coco reactivates breast cancer cells at lung metastatic sites.Cell. 2012 Aug 17;150(4):764-79.PMID:22901808
  • A CXCL1 paracrine network links cancer chemoresistance and metastasis.Cell. 2012 Jul 6;150(1):165-78. PMID:22770218
  • Tumour micro-environment elicits innate resistance to RAF inhibitors through HGF secretion.Nature. 2012 Jul 26;487(7408):500-4.PMID:22763439
  • Treatment-induced damage to the tumor microenvironment promotes prostate cancer therapy resistance through WNT16B.Nat Med. 2012 Sep;18(9):1359-68.PMID:22863786
★老化現象
 以前報告された内容と異なり、カロリー制限を長期間行ってもサルの寿命が延びなかったとする結果が報告された。

 赤ワインに含まれるポリフェノール「レスベラトロール」がカロリー制限と同じ働きをするメカニズムが報告された。レスベラトロールと同様にrolipramという物質が同様の効果を持つことが報告された。


★メタボリックシンドローム
 これまでの研究では、脂肪をため込む「白色脂肪細胞」、エネルギーを燃やす「褐色脂肪細胞」に加えて、新たに「ベージュ脂肪細胞」という概念が報告された。このベージュ脂肪細胞は白色脂肪細胞と似ているがUCP1を発現しており褐色脂肪細胞のように効率的にエネルギーを燃やすことが出来ます。新しく見つかったホルモンirisinが白色脂肪細胞をベージュ脂肪細胞に変化させることが報告され、新しい肥満治療薬の開発につながるかもしれない。

 冷たい外気に触れた時にも白色細胞が変化してベージュ脂肪細胞になりうることが報告された。またサーチュイン1タンパクがベージュ脂肪細胞への変化を誘導しうることも報告された。BMP 8bというタンパクが脂肪燃焼を誘導することが報告された。

  • A PGC1-α-dependent myokine that drives brown-fat-like development of white fat and thermogenesis.Nature. 2012 Jan 11;481(7382):463-8.PMID:22237023
★ガンの免疫治療
 ガン細胞はなぜか体内の免疫により攻撃されない。最近、T細胞にPD-1(programmed cell death protein 1)というレセプターが発現していることが報告された。PD-L1などのリガンドが結合することでT細胞は攻撃するT細胞(エフェクターT細胞)としての機能が低下し、攻撃しないT細胞(制御性T細胞)としての機能が活性化する。ガン患者の一定数にはPD-L1が血液中に見られるが、PD-1に対する抗体を投与する臨床試験でガンの増殖を抑制する効果が見られた。

  • Safety, activity, and immune correlates of anti-PD-1 antibody in cancer.N Engl J Med. 2012 Jun 28;366(26):2443-54.PMID:22658127
  • Safety and activity of anti-PD-L1 antibody in patients with advanced cancer.N Engl J Med. 2012 Jun 28;366(26):2455-65.PMID:22658128
★ウイルス学
 これまで様々なHIVワクチンが開発が試されたが、あまりうまくいっていない、今年新型のHIVワクチンの可能性が示された。HIVウイルスが免疫細胞(T細胞)に結合する時に使われるEnvタンパクをターゲットにしたワクチン療法である。

  • Immune-correlates analysis of an HIV-1 vaccine efficacy trial.N Engl J Med. 2012 Apr 5;366(14):1275-86.PMID:22475592
  • Increased HIV-1 vaccine efficacy against viruses with genetic signatures in Env V2.Nature. 2012 Oct 18;490(7420):417-20. PMID:22960785
★胃腸
 腸内の細菌環境が壊れることで大腸炎が起こりうることが報告された。こういった腸内環境の乱れは肝臓の病気や肥満、大腸ガンにつながる。研究者らは高脂肪食をマウスに食べさせると胆汁に変化が起こりグラム陰性菌が増え、大腸炎を起こしうることを報告した。また同様の細菌変化は栄養失調やタンパク質の少ない食事でも起こりうることが報告された。

 幼児期に抗生物質に触れると免疫機能の確立が損なわれアレルギーになる可能性が増すことが報告された。

  • Commensal bacteria-derived signals regulate basophil hematopoiesis and allergic inflammation.Nat Med. 2012 Mar 25;18(4):538-46.PMID:22447074
  • Microbial exposure during early life has persistent effects on natural killer T cell function.Science. 2012 Apr 27;336(6080):489-93.PMID:22442383
  • ACE2 links amino acid malnutrition to microbial ecology and intestinal inflammation.Nature. 2012 Jul 25;487(7408):477-81. PMID:22837003
  • Dietary-fat-induced taurocholic acid promotes pathobiont expansion and colitis in Il10-/- mice.Nature. 2012 Jul 5;487(7405):104-8.PMID:22722865
★生殖医療
 精子と異なり卵子は生まれてきた後は増えないと考えられてきたが、少し前にマウスの卵巣ではちょっとだけ新たな卵子を作り出しうる細胞が存在していることが報告されていた。今年、人間の女性の卵巣にも新しい卵子を生み出しうる卵子幹細胞が含まれていることが報告された。これは生殖医療のあり方を変える可能性がある。現在、その細胞の取り出し精製方法が研究されている。

  • Oocyte formation by mitotically active germ cells purified from ovaries of reproductive-age women.Nat Med. 2012 Feb 26;18(3):413-21. PMID:22366948

(省略されています。全文を読む

Category:1年間のまとめ記事




2008.09.05

特定の遺伝子が結婚生活に影響を及ぼす?(/.jp)
特定の遺伝子が結婚生活に影響を及ぼす?(/.jp)

↑BTW

ABPR1A(脳神経ペプチドarginine vasopressin受容体1A)の働きがネズミにおいて夫婦間の関係に影響することが分かっているそうだ、今回、研究者らは人間の♂で同様の事を調べたところ、特定の遺伝子変異を有する男性ほど未婚率が高く、結婚生活の危機を経験したことのある割合が高いそうだ。

Category:遺伝子診断・遺伝子多系




2008.03.10

長寿に人に共通の遺伝子変異が見つかる
長寿に人に共通の[[遺伝子変異]]が見つかる

↑BTW

近年、IGF-1(インスリン様増殖因子1)経路により寿命がコントロールされている証拠が実験動物において多数見つかっている。IGF-1経路を欠損させた動物の検討では、酵母、線虫、ハエ、マウスなどで寿命の延長が確認されている。しかしこれらは本当に人間でもあてはまるのか?

研究者らはユダヤ人の長寿者(100才以上の老人:Centenarians)とその子孫を調べた。IGF-1とIGF-1受容体の遺伝子を調べたところ、IGF-1Rに長寿者に特有の変異を見つけ出した。この変異によりIGF-1とIGF-1Rの結合性が悪くなることが考えられる。実際にこの変異を持つ人はIGF-1RとIGF-1の結合性が悪いことが理由と推定されるIGF1の血中濃度が通常よりも高いという現象が見られた。(長寿者の子孫105名と通常の人67名の比較)

ただし、この変異は長寿者の子孫においては女性にのみ受け継がれているようであった。

またこの変異の結果として、成長が遅れることが考えられるが、この変異を持つ人の平均身長は通常よりも低いことが分かった。

Category:アンチエイジング・老化抑制




2003.01.09

通常よりも心肺能力を高める遺伝子変異見つかる
通常よりも心肺能力を高める[[遺伝子変異]]見つかる

 東京都老人総合研究所の白沢卓二らの研究によると、血液中の酸素を運ぶヘモグロビンを作り出す遺伝子の1つに変異があると、普通のヘモグロビンに比べ酸素を運ぶ能力が高まり、普通の状態で高地トレーニングで鍛えた陸上選手のような心肺能力を持つという。

 実際に、この遺伝子変異を持つ東北地方の女性(29歳)を調べたところ、急な坂道を10分間自転車で駆け上がる運動をしても、呼吸数は運動前と変わらなかった。この女性の姉(31歳)に同じ運動をしてもらったところ呼吸数は2倍近くに上昇し、息苦しさを訴えた。
 この遺伝子変異を持つ人を捜すことで、優秀な長距離ランナーになりうる人を捜し出せるかもしれない。また、狭心症などの病気の人の治療にも使えるかもしれない。また、研究チームはこの遺伝子変異を持つマウスを人工的に作成したところ、予想どおりの結果が得られた。

Category:運動・エクササイズ