カテゴリー:#アンチエイジング・老化抑制技術 TW↑B
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書籍紹介:最新老化の科学がわかる本(3)  →AGEs(糖化最終産物)(6)




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2024.07.23臨床試験が進行中のIL-11に対する抗体医薬は老齢から投与してもマウスの寿命をオスで22.5%、メスで25%延長する /5
2023.07.18ハーバード大のデビッド・Aシンクレアの研究チーム。1回使うだけで細胞を若返らせる低分子薬物カクテルの組み合わせを6パターン報告 /40
2023.05.23腸だけテロメラーゼを発現させて細胞老化を抑制すると正常なゼブラフィッシュの個体寿命が少し伸びる /11
2023.02.07関節炎治療薬として使われる抗IL-1抗体が「若い血液の輸血」と同じ現象を起こし、マウスで老化を逆転させる可能性 /5
2022.10.21幼少期のマウスに45日間ラパマイシンを投与すると成長が遅く体が小さくなるが寿命が10%長くなる /11
2022.09.05若いマウスに老化マウスの血液を入れると全身の老化が起こる現象もSenolyticsで抑止出来るとする2022年最新論文(Nature metabolism) /8
2022.06.20iPS細胞作製の際の脱分化条件にさらして全身や、皮膚の細胞を若返らせる実験が次々と報告されている。 /12
2021.12.01昨日発売の週刊SPAは「120歳まで生きる」特集、俺のインタビューと自宅ラボの写真で丸1ページ! /121
2021.11.18寿命を延ばすかもしれないVEGFを発現誘導する天然由来成分としてヤグルマギク、アシタバ、ビャクジュツが効果ありそう /51
2021.09.14マウスに一つの遺伝子(VEGF)を導入することで癌が生じにくくなり平均寿命が50%、最大寿命が30%延びることが報告される /33
2021.01.19iPS細胞を作るのと同じ方法を用いて網膜細胞をリプログラムにより若返らせて視力回復にマウスで成功 /14
2019.11.13生物学的実年齢(DNAメチル化頻度)を若返らせることに成功。市販の3医薬を1年間投与して2.5年若返る /4
2019.06.20老化とともに血液中の量が減少する酵素「eNAMPT」を注射してマウスの寿命を延ばすことに成功 /3
2019.04.05老化した脳への抗CD22抗体投与で認知能力が改善する結果 /6
2019.02.202019年2月Nature Commun発表/アシタバの葉に含まれるポリフェノール(フラボノイド)にあらゆる生物に効く最強のアンチエイジング作用 /3
2018.01.25テロメアを修復して細胞を若返らせる手法、実験に今年も成功。今すぐ出来るテロメアの伸ばし方 /286
2017.11.08赤ワインに含まれる「レスベラトロール(resveratrol)」の老化抑制効果に関する研究まとめ、新たに遺伝子のスプライシング因子の制御機構が報告される。 /39
2017.09.22衰えて増殖しなくなった細胞において、核から細胞質に漏れ出したゲノムDNAが細胞の老化を引き起こす原因の一つのようだ /136
2017.07.28不老長寿薬開発の新候補!脳内視床下部から放出されるエキソソーム・miRNA(htNSC-derived exosomes)が無くなることが全身老化のトリガーだった。 /67
2017.04.25マウスで寿命延長効果が報告されているFGF-21が脂肪肝の薬(コードネームBMS-986036)として順調に開発中 /3
2017.04.20さい帯血中に多く存在するタンパク質「TIMP2」は老化マウスに投与すると脳に移行して認知能力を回復させる /5
2017.03.24ザクロに含まれる物質「エラジタンニン(ellagitannin)/エラグ酸」が線虫の寿命を延ばし、ねずみの筋肉機能を向上させる。この物質の医薬も開発中 /6
2017.01.17若い血液に「若返り物質」が含まれているのではなく、年老いた血液に「老化促進物質」が含まれている /11
2016.12.20ついに若返りの医療が始まるか!?、絶妙にコントロール(2日やって5日休む)してマウスにiPS細胞誘導を行うことで、老化現象を抑制し、寿命を延ばすことに成功 /2
2016.06.20女性CEO自らテロメア延長遺伝子導入治療を行う延命専門アメリカBioViva社 /21
2016.03.07学術雑誌Nature Medicineで「老化抑制」という「副作用」が知られる薬まとめ /88
2016.01.07癌治療薬として研究されている薬物「ABT263(Navitoclax)」は老化した血液細胞のみに自殺を誘導し、血液の状態を若返らせる事が出来る。 /160
2015.12.02医薬業界で噂の「糖尿病薬メトホルミンが寿命を延ばす」が本当かどうか調べる大規模臨床試験が始まる /15
2015.10.20イギリス科学誌ネイチャーと日本抗加齢医学会がアンチエイジングに関する専門誌「npj Aging and Mechanisms of Disease」創刊、編集長は慶応大教授 /11
2015.07.07老化に伴い血中に増加するβ2ミクログロブリンは記憶力低下を引き起こす、しかし作用は可逆的で血中から無くなると30日で記憶力回復 /301

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2024.07.23

臨床試験が進行中のIL-11に対する抗体医薬は老齢から投与してもマウスの寿命をオスで22.5%、メスで25%延長する

↑BTW

寿命や、健康寿命にとってERKやAMPK、mTORC1は重要な役割を担い「炎症」が中心的な役割を担っていることが報告されています。今回、研究者らはIL-6ファミリーである炎症誘発性サイトカインIL-11が寿命や加齢関連疾患に影響するかを実験しました。



マウスでは加齢とともに様々な臓器でIL-11量が増加し、ERK-AMPK-mTORC1経路を通じて細胞的、組織的、臓器的レベルで加齢を進めます。

研究者がIL11またはIL-11受容体を遺伝子的に欠損させると老化に伴う代謝的な衰えが消失しました。また遺伝子操作無しにIL-11に対する抗体を老齢になったマウス(75週齢)から25週間投与しても代謝や、筋肉の機能が改善し、老化に伴うバイオマーカーがオスメス問わず回復することが分かります。

そしてその結果、驚くべきことに遺伝子操作でIL-11を遺伝子的に欠損したマウスではオスメス平均で寿命が24.9%延長しました。そしてIL-11に対する抗体を75週齢から死ぬまで投与したマウスではオスで22.5%寿命が延び、メスでは寿命が25%延長しました。

IL-11に対する抗体は人間において肺の繊維症に対する治療薬として臨床試験が行われています。この臨床試験が進めば今回マウスで確認されたこの抗体医薬の加齢症状抑制効果や、寿命延長効果が人間でも起こるかどうかのトランスレーション研究が出来ると研究者は考えています。

IL-11に対する抗体医薬「BI765423」を開発しているのはベーリンガーインゲルハイム社ですね。

 Keyword:筋肉/189 IL-11/2


2023.07.18

ハーバード大のデビッド・Aシンクレアの研究チーム。1回使うだけで細胞を若返らせる低分子薬物カクテルの組み合わせを6パターン報告

↑BTW

また時代に火を付けそうな研究だな。


デビット・A・シンクレアとはNMNブームの火付け役の先生です。

今回の研究はNMN系のアンチエイジングじゃなくiPS細胞で起こること(山中4因子で起こること)を化学物質で引き起こすにはどうしたら良いかという観点の研究になります。


(省略されています。全文を読む

 Keyword:iPS細胞/37 NMN/86


2023.05.23

腸だけテロメラーゼを発現させて細胞老化を抑制すると正常なゼブラフィッシュの個体寿命が少し伸びる

↑BTW

論文自体の売りはゼブラフィッシュという実験用の魚で腸のみにテロメラーゼを発現させ寿命を40%伸びしたというものですが、ちょっとトリックがあり、40%寿命が延びたのは全身でテロメラーゼを無くして寿命が短くなったゼブラフィッシュでの実験(Fig7)で、正常なゼブラフィッシュにテロメラーゼを導入した場合はほんのちょっとした寿命は延びていません(Fig8d)

テロメラーゼは老化に関わっているが、寿命を決める主要なキーでは無いってことかもしれません。



アメリカのGeronという会社は癌治療のためにテロメラーゼ阻害剤「Imetelstat」という飲み薬を開発しています。この薬を使えば癌細胞のテロメアが延びるのを止めて癌治療に効果があるかもしれませんが、全身のテロメアの短縮も加速しそうです。こういった患者では腸だけテロメラーゼを戻してやると良いのかも。

 Keyword:テロメラーゼ/22 テロメア/60


2023.02.07

関節炎治療薬として使われる抗IL-1抗体が「若い血液の輸血」と同じ現象を起こし、マウスで老化を逆転させる可能性

↑BTW

IL-1シグナルが骨髄のニッチで炎症を起こし血液の老化を引き起こしているそうです。近年、抗IL-1β抗体であるカナキヌマブ(イラリス)が上市されているそうなので、これを投与すれば血液の老化は回復させられるかも。とのこと。


2022.10.21

幼少期のマウスに45日間ラパマイシンを投与すると成長が遅く体が小さくなるが寿命が10%長くなる

↑BTW


ゆっくり成長し、最終的な体の大きさが小さくなるが、寿命が10%長くなるそうです。

ちなみにミジンコでも同じことが起きるとか。


ラパマイシンの寿命延長効果は10年以上前から多数報告されていますが、幼少期のみに処理したのが新しいのかな?

これまでにも高齢で投与しても効果がある
とか、子供も高齢まで産めるようになるとか色々とあります。

 Keyword:ラパマイシン/24


2022.09.05

若いマウスに老化マウスの血液を入れると全身の老化が起こる現象もSenolyticsで抑止出来るとする2022年最新論文(Nature metabolism)

↑BTW

韓国の研究者による報告です。このように老化したネズミと若いネズミを結合(パラバイオシス(parabiosis))して若いネズミを老化させる現象の報告は新しくなくて2015年のScienceに発表された研究が有名です。2015年の論文はBreakthrough of the Year研究に選ばれています。
今回の論文は何が新しいのかと呼んでみると。
(1)年老いたマウスの血液を入れられた若いマウスの老化はSenolytics(老化細胞除去薬)で防げた。
ぐらいしかAbstractからは読み取れませんでした。

ここで少しFigが見れますね。

う〜ん、何が新発見なのかよく分からん。。。

最近のこの手の老化論文は「Ageing is the largest risk factor for many chronic diseases.」(老化は慢性病の大きなリスク要因である)。ってフレーズからいつもはじまっていてニヤニヤしちゃいますね。老化という病気を駆逐しちゃいましょう。みたいな。

リンク(twitter.com/ichiipsy...)


2022.06.20

iPS細胞作製の際の脱分化条件にさらして全身や、皮膚の細胞を若返らせる実験が次々と報告されている。

↑BTW

(1)イギリス・バブラハム研究所の研究者らが発表。山中4因子を導入して50日培養するとiPS細胞になるが、これを13日で切り上げることにより皮膚細胞を若返らせることに成功。

この方法をmaturation phase transient reprogramming(MPTR:成熟期間一過性リプログラミング)と命名。
(2)アメリカ・ソーク研究所の報告。マウス全体を若返らせています。Nature Aging誌で報告。
報告は「山中4因子を短期的に作用させて皮膚を若返らせ、寿命を延ばすことはマウスで既に報告されているが、老化したマウスに長期間山中4因子を作用させるとどうなるかは報告されていなかった」で始まっています。報告のラストオーサーはAltos Labsですな。


2021.12.01

昨日発売の週刊SPAは「120歳まで生きる」特集、俺のインタビューと自宅ラボの写真で丸1ページ!

↑BTW

週刊SPAってのは中身開くとムチムチお姉さんのグラビアとか目に付くけど毎号ガチな内容で特集載せているんだよね。
今週(2021年12月7日号)は12ページにわたって「120歳まで生きる。〜死ねない時代を堪能する秘策とは」って特集です。



(省略されています。全文を読む


2021.11.18

寿命を延ばすかもしれないVEGFを発現誘導する天然由来成分としてヤグルマギク、アシタバ、ビャクジュツが効果ありそう

↑BTW

先日衝撃を受けた下記の研究。

加齢に伴い減少する体内のVEGFをどのように高められるかと調べていたら資生堂が2006年に出願した特許がありました。日本国特許出願:特願2007-106744。残念ながら権利化されていないようです。

これらの生薬を見つけてきたプロセスとしては、VEGFプロモーターを使ったレポータージーンアッセイを行っており、このアッセイで5つ見つけています。

ヤグルマギクエキス(Cornflower Extract)、アシタバエキス(Angelica Extract)、ビャクジュツエキス(Atractylodes Extract)、オノニスエキス(Ononis Extract)、セイヨウノコギリソウエキス(Achillea millefolium Extract)が効果があるとのこと。

さらに正常細胞におけるVEGF発現の促進も確認したところヤグルマギクエキス、アシタバエキス、ビャクジュツエキスで効果が確認出来、その効果は細胞実験において培地に添加する成分(DMSO溶解)1%エキスでコントロールの133%、152%、172%。一番効果が高いのはビャクヤクエキスっぽい。

特許自体は2006年出願ということもあり、「VEGFが過剰になることで様々な病気の原因につながる一方で、局所の血流を改善し、新しい血管を作る治療法も考えられる。」となっており、個体全体の寿命を延ばすような働きに関しては言及されていません。

報告されている生薬の元来の効能としては下記が知られていると言及されています。
  • ヤグルマギクエキスはキク科「ヤグルマギク (Centaurea cyanus Linne (Compositae)」の頭花から抽出した天然植物エキスである。ヤグルマギクエキスには消炎・ひきしめなどのはたらきがあることで知られる。
  • アシタバエキスはアシタバ (Angelica keiskei Koidzumi (Unbelliferae))の葉及び茎から抽出されるエキスである。強壮、鎮静、鎮痛、美白効果があるとされる。
  • ビャクジュツエキスはオオバナオケラ (Atractylodes macrocephala Koidzumi (Compositae))の根茎から抽出したエキスである。抗ストレス作用を示し、抗胃潰瘍作用、血糖降下作用、肝機能改善作用を有することで知られている。
  • オノニスエキスはマメ科の植物オノニス( Ononis)から抽出したエキスであり、抗炎症作用、血流促進の効果があるといわれる。
  • セイヨウノコギリソウエキスはセイヨウノコギリソウ( Achillea millefolium)から抽出したエキスであり、消炎、殺菌、細胞賦活等の効果があり、肌荒れを防ぎ、抵抗力のある肌を維持する作用がある。
いずれもアルコールで抽出出来そうなので、スピリタスとかに漬け込んで抽出、濃縮できそうだな。

(省略されています。全文を読む

 Keyword:平均寿命/28 生薬/9 ストレス/35


2021.09.14

マウスに一つの遺伝子(VEGF)を導入することで癌が生じにくくなり平均寿命が50%、最大寿命が30%延びることが報告される

↑BTW

これは今年No.1の夢のある研究報告かもしれない。ちょっと凄すぎて第3者に再現性確認実験をして欲しいと感じるぐらいです。発表はScience。世界最高峰の雑誌です。

出典:Counteracting age-related VEGF signaling insufficiency promotes healthy aging and extends life span.Science. 2021 Jul 30;373(6554):eabc8479. doi: 10.1126/science.abc8479.

マウスにたった一つの遺伝子を導入することで癌が出来にくくなり最大寿命が30%伸びることが報告されています。報告したのはイスラエルの研究者ら。

VEGFとは「血管内皮細胞増殖因子」すなわち血管を作ることを促す働きを持つサイトカイン(ホルモン)の遺伝子です。研究者らはVEGFを作る遺伝子をマウスのゲノムに組み込んだ遺伝子改変マウスを作り出し実験をしています。

結果、平均寿命がオスで48.6%。メスで39%増加しています。さらに実験用のマウスの最大寿命は通常30か月程度なのですが、オス、メスとも最大寿命が30%近く伸びて40か月まで生きるマウスが出てきています。

人間で言うと平均寿命が120歳になって、最大寿命が150歳になる感じでしょうか?

この遺伝子改変マウスの平均寿命・最大寿命が延びた原因は「癌が出来にくくなった」ことが大きいようです。通常のノーマルマウスでは寿命が近づくにつれて癌を持つマウスが増えてきますが(青線)、VEGF導入マウスではノーマルマウスの平均寿命付近ではほとんど癌は発生しておらず延長された最大寿命付近でもおよそ40%程度のマウスは癌がありませんでした(赤線)。

この研究者らは、今回の結果をもとに老化による人体の衰えの原因として血管を新しく作る能力を衰えが大きいのでないかと言っています。

医学的応用を考えると、同じメカニズムを目指してVEGFと同じ作用のある飲み薬、注射剤の開発、体内の持つVEGFを作る力を誘導する薬物の開発でしょうか。

まどろっこしいですね。人間で試したくなりますねー。。。。簡単に出来てしまうのが恐ろしい。それこそ知識がある人なら自宅で自分の体に試せちゃうぐらい。。。。

ウイルスベクターで遺伝子導入がまずは思いつきますが、こういうの昨今新型コロナワクチンで大活躍しているmRNAワクチンと同じモダリティーでいけるのかもしれませんね。

 Keyword:ワクチン/341


2021.01.19

iPS細胞を作るのと同じ方法を用いて網膜細胞をリプログラムにより若返らせて視力回復にマウスで成功

↑BTW

書籍「ライフスパン」でデビッド・シンクレアがちょい出ししていた研究がついに論文になったようです。

iPS細胞を作るに使用する山中4転写因子のうち3つ(Oct4、Sox2、Klf4)をウイルスベクターを用いて発現させることで視神経を損傷したマウスでは軸索が再生され、緑内障のマウスモデルや老いたマウスでは視力障害が回復するそうです。老化に伴うメチル化のリセットなども確認されており、細胞レベルでの「若返り」をメカニズムにする治療とのこと。研究者らはは2年以内に緑内障の臨床試験を行いたいとのこと。
癌がちょっと怖いけど、というか間違いなくガン化のリスクはあるだろうけど、うまくいくなら体内のあらゆる部分の根本的な若返りが可能になりかねないな。

この実験では都合よく山中3因子をON/OFFする方法としてAAVウイルスベクターが使用されています。このウイルスベクターはすでに遺伝子治療用に人間でも利用実績があります。

遺伝子発現をON/OFFするTet-On/Offシステム、人間に安全に投与可能な抗菌剤ドキシサイクリンで遺伝子発現を制御するシステムです。ロシアとかにはもうドキシサイクリンを飲むとホルモンが出るアスリートとかいそうだなー。

 Keyword:メチル化/29


2019.11.13

生物学的実年齢(DNAメチル化頻度)を若返らせることに成功。市販の3医薬を1年間投与して2.5年若返る

↑BTW

近年の研究によりDNAのメチル化度合の測定が実年齢よりも正確に生物学的年齢を測定出来ることが示されつつある。今回、研究者らはこのDNAメチル化(エピジェネティクス的年齢)を回復可能であることを世界で初めて報告したと言っています。

研究では51〜65歳の健康な男性を雇い、第1試験は7名、第2試験は3名で試験を行っています。試験ではヒト成長ホルモンを0.015 mg/kg+DHEA 50mg(糖尿病薬)+ 500mg メトホルミン(糖尿病薬)を毎日飲んでもらい、1年後に分析したところ、DNAメチル化の指標では1年間の治療後に1.5年若返らせることに成功した(2.5年若返ったことになる)とのことです。

 Keyword:DHEA/4 メトホルミン/21 糖尿病/164 エピジェネティクス/11


2019.06.20

老化とともに血液中の量が減少する酵素「eNAMPT」を注射してマウスの寿命を延ばすことに成功

↑BTW


論文のGraphical Abstractより。EVsに包まれたeNAMPTは各種臓器でNAD+の生合成を上昇させ、すい臓ではインスリン合成を、網膜では光受容体の活動を、海馬では認知能力を上昇させ、また視床下部(Hypothalamus)ではSIRT1活性(サーチュイン)を上昇させ、身体活動を上昇させ、睡眠のクオリティーを上昇させる
(論文要約)老化は人体の機能を低下させ、慢性疾患を生じさせる重大なリスク要因である。加齢に伴って減少する全身血液中のNAD+量が老化のプロセスに重要な役割を担っていることは多くの動物種で知られているが、今回、研究者らは全身の血中を巡っている細胞外ニコチンアミドリン酸化リボシルトランスフェラーゼ(eNAMPT)も老化に伴い劇的にマウスやヒトにおいて減っていることを示す。

 研究者らはマウスを遺伝子操作し、脂肪細胞にeNAMPTを多く作らせるようにすることでマウスで健康寿命が延びること、また、eNAMPTは細胞外小粒子(EVs)で輸送されており細胞内に入りNAD+の生合成を上昇させる作用を持つが。若いマウスの血液から取り出したeNAMPT入りEVsを老化マウスに投与するだけでも運動性を上昇させ、寿命が延長することを実験で示しており間違いないと考えられる。

今回の発見はeNAMPT入りEVsを医薬品として開発すれば老化抑制し、アンチエイジングを強力に起こす可能性を示していると言える。

 Keyword:睡眠/195 脂肪/283 インスリン/81


2019.04.05

老化した脳への抗CD22抗体投与で認知能力が改善する結果

↑BTW


出典:CD22 blockade restores homeostatic microglial phagocytosis in ageing brains. https://doi.org/10.1038/s41586-019-1088-4
CD22は老化に伴い脳内でその量が増えますが、CD22は損傷した神経や、ゴミをマイクログリアが食べて除去する作用を妨害する働きを持っており、結果として老化に伴い脳内のゴミ掃除能力が低下しているとのこと。そして、CD22の作用を妨害する抗体を脳内に投与することで老化したマウスで認知能力が改善することが実験的に証明されています。さらにCD22抗体を投与することでアルツハイマーなどの原因となるAβ(アミロイドβ)も減少すると良いことづくめなようです。

ちなみに遺伝子操作をしてCD22を無くしたマウスは老化しても知能が高いまま維持されているとの結果も報告されています。

人間で脳内に抗体を注射するのはちょっと大変ですが、CD22を妨害する飲み薬(低分子医薬品)の開発が始まるかもしれません。

 Keyword:アミロイド/20


2019.02.20

2019年2月Nature Commun発表/アシタバの葉に含まれるポリフェノール(フラボノイド)にあらゆる生物に効く最強のアンチエイジング作用

↑BTW


報告「The flavonoid 4,4′-dimethoxychalcone promotes autophagy-dependent longevity across species」より左図:人間の細胞をアシタバ成分を入れて培養したものと、していないものの比較。紫色が細胞で、DMC処理した場合により多くの紫色が観察されている。右図はこれをグラフにしたもの
2019年2月19日のNature Communicationsで発表されています。発表したのはオーストリアの研究者ら。アシタバ(Angelica keiskei koidzumi)に含まれる4,4'-dimethoxychalcone(4,4'-ジメトキシカルコン、略語DMC)が酵母、線虫、ハエの寿命を延ばし、人間の細胞の老化現象を軽減すること、また実験的に心臓病を発症させたマウスにDMCを投与すると心臓細胞が保護されることを実験により報告しています。

この作用はオートファジー(Autophagy/自食作用)を活性化したためのようです。オートファジーとは細胞内の不要な組織を分解する作用で、老化によってその作用が弱まることが分かっていますが、これは細胞内に不要物がたまっていくことを意味します。

人間がアンチエイジングするためにどれぐらいアシタバの葉を食べないといけないかは、まだ実験されていないので不明ですが、人間の細胞を用いた上記画像の実験においては50μMの濃度でDMC(有効成分)を作用させています。この有効成分の分子量は268なのでこれは13.4 mg/L濃度であり、適当な計算ですが、人間の体積を60リットルとすると、全身の細胞をこの濃度にするために必要な量は800mg。食べたものが100%吸収されるわけではありませんが、一度に1g(有効成分の重さ)を食べれば効果あるかもしれません。

アシタバのサプリメントも売られています。
まあ、アシタバなんて雑草みたいなものなんで自分で栽培してモリモリ食べましょう。


2018.01.25

テロメアを修復して細胞を若返らせる手法、実験に今年も成功。今すぐ出来るテロメアの伸ばし方

↑BTW

この手の話は遙か昔から成功してますね。あまり面白い話には発展してないね。個人的にはテロメアは老化の主原因では無く、単に癌化して無限増殖に陥った細胞の増殖を止めるための装置って認識。

テロメアの伸ばし方

 Keyword:幹細胞/98


2017.11.08

赤ワインに含まれる「レスベラトロール(resveratrol)」の老化抑制効果に関する研究まとめ、新たに遺伝子のスプライシング因子の制御機構が報告される。

↑BTW

赤ワインに含まれるポリフェノールの1つ「レスベラトロール(resveratrol)」はSIRTやAMPKなどの経路を介して老化抑制効果を果たすと考えられていましたが、今回、アメリカ・エクセター大学の研究者がレスベラトロールがこれまで知られている経路とは別に遺伝子から転写されたmRNAのスプライシング関連経路を介してテロメアを伸ばし、老化した細胞の増殖性を回復させていることを報告しています。

 研究者はレスベラトロールに加えて、ちょっと構造の異なる5種類のレスベラトロールそっくりさんをつくり、合計6種の薬物の細胞に対する反応を比較検討することでこの結論を導き出しています。

図1ではSIRT1の活性、図2では炎症性タンパクの量、図3ではスプライシング因子の量、図4では細胞老化マーカーの比較、図5ではテロメアの長さと、細胞増殖性を評価しています。

レスベラトロールに関しては当サイトではこれまでにも色々と紹介しています。

 Keyword:Resveratrol/11


2017.09.22

衰えて増殖しなくなった細胞において、核から細胞質に漏れ出したゲノムDNAが細胞の老化を引き起こす原因の一つのようだ
Leaky nuclei lead to senescence

↑BTW

老化のメカニズムがまた一つ明らかになりました。細胞内には感染したウイルス・微生物を検出するための防衛機構がありますが、この機構はウイルス・微生物のDNAを検出するSTING経路を介して防衛機構が働きます。今回、研究者らは衰えて増殖しなくなった細胞において細胞核から漏れ出したDNAがこの防衛機構を働かせ、結果として細胞老化が起こっていることを見つけ出しました。

報告では老化促進実験として、細胞核の構成分子の破壊により老化が促進されること、また、この防衛機構を働かなくした細胞では、細胞増殖、酸化ストレス、放射線照射などにより老化が起きないことを確認しています。

 Keyword:放射線/12


2017.07.28

不老長寿薬開発の新候補!脳内視床下部から放出されるエキソソーム・miRNA(htNSC-derived exosomes)が無くなることが全身老化のトリガーだった。

↑BTW

 研究を行ったのはアメリカ・ニューヨークのアインシュタイン医科大学の研究者ら。2017.7.26のNature誌に発表しています。これまでにも脳の視床下部(hypothelamus)が全身の老化を引き起こしていることが報告されていましたが、その詳細な分子メカニズムは分かっていませんでした。

 研究者らによるとマウスを用いた実験において視床下部幹細胞(Sox2発現細胞)において、Bmi1遺伝子の機能を止めると、老化に伴う視床下部細胞の減少を伴わずに老化が始まるとのことです。この事は「視床下部細胞でBmi1遺伝子により制御される仕組みにより全身を若く保つ仕組みが動いている」ことを意味しています。

 研究者らは、中年マウス脳内に新鮮な視床下部幹細胞を移植する確認実験(すなわちBmi1遺伝子がきちんと働いている細胞を補充する)により老化が抑制されることも確認しています。

 この詳細なメカニズムを分析すると、視床下部幹細胞が脳脊髄液(CSF)中のエキソソーム内マイクロRNA(miRNA)の放出に関与しており、このCSF中のmiRNAが老化に伴い減少することが全身の老化を引き起こしているようです。

 放出されるmiRNAの配列の種類の詳細な解明はこれからのようですが、この研究により全身を若く保つメカニズムが明らかになりました。このmiRNAを人工的に注射してやることにより高齢においても全身の若さを保てる可能性があります。

 Keyword:脊髄/23


2017.04.25

マウスで寿命延長効果が報告されているFGF-21が脂肪肝の薬(コードネームBMS-986036)として順調に開発中

↑BTW

BMS社が開発しているPEG化FGF-21薬(コードネーム:BMS-986036)の脂肪肝治療効果が人間で確認されたと報告されています。74人の患者を治療したところ、投与から16週目の時点において、治療を行った患者では最大で6.8%脂肪肝が5.2%減少していました。

この薬は体内にも存在、特に空腹時に分泌されることが知られるFGF-21というタンパク質に血中に長く留まるようにPEGという物質を結合した医薬品です。

FGF-21はアンチエイジング分野での関わりが報告されているタンパク質で、下記の報告では持続的に大量のFGF-21を作用させることでマウスで寿命が30%延長することが報告されています。

 Keyword:空腹/25


2017.04.20

さい帯血中に多く存在するタンパク質「TIMP2」は老化マウスに投与すると脳に移行して認知能力を回復させる

↑BTW

 アメリカ・スタンフォード医科大学のTony Wyss-Corayらのグループはこれまで若いマウスの血液に含まれる若返り因子の研究をしており、近年、同じ作用をする因子がさい帯血中にも含まれることを発見し分析を進めた結果、TIMP2(Tissue inhibitor of metalloproteinases 2/組織メタロプロテアーゼ阻害物質2)が若返り因子だと突き止めました。

 実験では老化したマウスに2日に一度50μg/kgのTIMP2タンパクを投与しています。すると穴から抜け出す方法を学習する試験において投与していないマウスよりも効率的に抜け出す方法を学んでおり、投与開始から2日目にはその効果が現れだし、4日目にはさらに学習効果が高まっていました(Fig4a)。血液中のTIMP2量は老齢になっても若い時の70%程度は残っているようですが、30%減ることにより認知能力が低下しているようです。

 将来、TIMP2が薬として開発され高齢者の認知能力を改善することが出来るかもしれません。

 Keyword:さい帯血/4 臍帯/8 タンパク質/73


2017.03.24

ザクロに含まれる物質「エラジタンニン(ellagitannin)/エラグ酸」が線虫の寿命を延ばし、ねずみの筋肉機能を向上させる。この物質の医薬も開発中

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ザクロに含まれる物質「エラジタンニン(ellagitannin)/エラグ酸」が腸内細菌により分解されウロリチンA(urolithin A)を作り、この物質が細胞内のミトコンドリアの分解と再構築(マイトファジー)を促進し、結果として原始的な動物である線虫の寿命を延ばし、またネズミの筋肉機能を向上させるそうです。

ネズミを使った実験では一晩に飼育ケージに入れた回転するオモチャの中で走る距離が0.5km→0.75kmと1.5倍に上昇しています。この実験では1日あたり50mg/kgのurolithin Aを与えています。ザクロに含まれるエラジタンニンの全てがウロリチンAに変換され吸収されるわけではありませんが、人間に換算すると1日あたり3g食べていることになります。

↓の報告を見るとブラックベリーに88μg/g、ザクロに17μg/g、イチゴに17μg/g含まれているとのこと。イチゴの場合1日に176キログラム食べればよい計算です。。。。。。ちょっと無理ですね(笑)

ウロリチンA(urolithin A)はスイスのAmazentis社によりアンチエイジングの薬として開発されているとのことですのでそちらに期待しましょう。

 Keyword:ミトコンドリア/72 腸内細菌/165


2017.01.17

若い血液に「若返り物質」が含まれているのではなく、年老いた血液に「老化促進物質」が含まれている

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動物実験においては若いマウスの血液を老化したマウスに輸血することで臓器に若返り効果があることが報告されています。

この事から、若い血液には「若返り物質が含まれている」と考えられ、下記のようなスタートアップも存在しましかし、今回報告された研究では逆に老化したマウスの血液を若いマウスに投与し、若いマウスに老化に伴う現象が確認されています。これらの事から、若い血液に「若返り物質」が含まれているのではなく、老化した血液に「老化促進物質」が含まれていると考えられます。

実際に何が「老化促進物質」なのかはハッキリ分かっていませんが、下記の報告ではβ2Mというタンパク質が原因物質として報告されています。


2016.12.20

ついに若返りの医療が始まるか!?、絶妙にコントロール(2日やって5日休む)してマウスにiPS細胞誘導を行うことで、老化現象を抑制し、寿命を延ばすことに成功

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 iPS細胞は、分化した(機能を持った)様々な細胞を脱分化(機能を失わせた幹細胞に戻し)することで作られます。脱分化したiPS細胞は、再び分化させることで別の細胞を造り出すことが出来るため、再生医療や病気の原因解明などの研究で非常に注目されていますが、この原理を利用することで生きた生物の老化を抑制する研究が生物学学術雑誌の最高峰Cell誌に掲載されています。

 アメリカSalk Instituteの研究者は以前から、生きたマウスにiPS細胞形成を誘導する実験を行っていましたが、普通、生きた動物にiPS細胞誘導を行うと、体重が激減し、腫瘍、ガンが形成されてしまいます。これは身体中の機能を持った細胞が機能を持たず増殖するだけの細胞になってしまうためです。

 今回、研究者は絶妙にiPS細胞誘導の条件をコントロールし、ガンが発生しないギリギリの条件で処理を行いました。具体的には2日間誘導し、5日間誘導を試すというのを繰り返します。

 その結果、遺伝子異常があり急速に老化が進む早老症マウスの老化現象を抑制し平均寿命を延ばすことに成功しました。また、普通の高齢マウスのメタボリックシンドロームと、筋肉損傷の回復を促進することを見出しました。

 これらの結果は「エピゲノム制御」が老化原因の一つである可能性を示唆しています。

 今回行った2日間iPS誘導して5日間休むという絶妙なコントロールは、遺伝子操作した特殊マウスを用いることで可能になっており、同じように人間で行うことは出来ませんが、工夫し同じことを人間で行える可能性はあります。将来、この原理を利用した老化抑制、若返り治療が可能になるかもしれません。

 Keyword:再生医療/60


2016.06.20

女性CEO自らテロメア延長遺伝子導入治療を行う延命専門アメリカBioViva社

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 同社の女性CEO(45歳)がウイルスベクターを用いて自身の身体にテロメア延長を実現する遺伝子治療を行ったそうです。その結果、テロメアの長さは6710から7330に延長、これは20年分の延命に相当するそうです。

 染色体の両端に存在する「テロメア」は分裂するたびに短くなっていき限界まで短くなると細胞分裂することは出来なくなります。このため「細胞分裂の回数券」とも言われています。

 今回遺伝子導入したのは「テロメラーゼ」という酵素の遺伝子でテロメア配列を追加する作用があります。この酵素は通常の細胞は持っていないため加齢によりテロメアが短くなっていきます(精子や卵子などは持っておりこのおかげで、子供は長いテロメアを持った状態で生まれてきます)

 今回行われた治療がどれぐらい科学的に行われたかなどの詳細は不明ですし、動物実験などで報告されている内容を考えてもテロメアを伸ばしたからといって寿命が延びるかどうかは議論のあるところですが、こうした方向性の企業としてBioViva社を覚えておいても損は無いでしょう。

 Keyword:精子/25


2016.03.07

学術雑誌Nature Medicineで「老化抑制」という「副作用」が知られる薬まとめ
Drugs targeting molecular players of aging

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 老化とは何でしょうか?最新科学では「老化」が人体が古くなったという単純な現象ではないことを明らかにしています。ある特定の仕組みによって老化が進行しているようなのです。実は、すでに発売済みの薬や開発中の薬の中にはその老化を促進する仕組みをブロックし、結果として老化を抑制する副作用が報告されているものが数多くあります。そういった報告の多くは今のところ動物実験でのみ検証されており、大勢の人間が参加した大規模な「臨床試験」によって人間での効果が証明された薬は未だありません(もし、あったら既に皆飛びつきますよね?)。

今回、Nature Medicineという医学界で最も有名な学術雑誌がそのような薬のまとめ記事を掲載しています。

以下が記事中で取り上げられていた薬を表にしたものです。

薬の名前ターゲット(薬が作用する体内の分子)現在、何の用途に使われている薬か知られているリスク
ラパマイシン(Rapamycin)mTORC1mTORC2抗ガン剤、メタボ薬、心臓病薬免疫抑制、インスリン抵抗性、白内障
メトホルミン(Metformin)ミトコンドリアのAMPKmTOR糖尿病薬不明
レスベラトロール(Resveratrol)SIRT(サーチュイン)やAMPK肥満予防不明
Anti-CGRPCGRPやCGRPレセプター偏頭痛、メタボ薬、抗炎症薬痛覚の鈍化、低体温
食事中のメチオニンを制限メタボ対策脂肪肝、体重減少、鬱
Lilly社のLY2405319、Amgen社のペプチド薬IISFGF-21klothoPAPP-Aを減らすメタボ対策骨密度減少、高血糖、インスリン抵抗性

(省略されています。全文を読む

 Keyword:アスピリン/10 活性酸素/21 骨密度/10 IGF-1/8


2016.01.07

癌治療薬として研究されている薬物「ABT263(Navitoclax)」は老化した血液細胞のみに自殺を誘導し、血液の状態を若返らせる事が出来る。

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 老化に伴い、血液中の「造血細胞(新しい血液を作り出す細胞)」が衰えます。これらの細胞は死んでしまえば新たな若い細胞が作られるメカニズムが人体にはあるのですが、実際は衰えたまま生き残り、若い細胞は作られません。この衰えた細胞がうまく役割を果たさないために人体のあちこちで老化現象が起きることが知られています。

 今回、研究者らは細胞の自殺プログラム「アポトーシス」にストップをかけている細胞内因子BCL-2とBCL-xLの働きを妨害する薬物「ABT263(Navitoclax)」を投与することにより、「衰えた血液細胞」にのみが自殺し、結果として血液の状態が若返ることを見出しました。

 この薬は老化防止薬や、放射線を浴びてしまった場合の治療薬として使える可能性があります。

 この研究を発表したのはアメリカ・ミネソタのMayoクリニックの研究者らです。ABT263(Navitoclax)は癌細胞を殺す薬として研究が進められている薬です。癌細胞も「おかしくなっているのにBCL-2やBCL-xLの働きにより自殺しなくなっている」という点で老化細胞と同じと言えます。


2015.12.02

医薬業界で噂の「糖尿病薬メトホルミンが寿命を延ばす」が本当かどうか調べる大規模臨床試験が始まる

↑BTW

糖尿病薬「メトホルミン」は糖尿病患者に処方される一般的な薬ですが、癌を治したりとか様々な良い副作用が報告されています。

その中の一つが寿命を延ばすというもの↓統計をとると糖尿病になりメトホルミンを飲んでいる人の平均寿命が、健康な人よりも長かったというもの。
これが本当ならメトホルミンを作っている会社は大もうけ出来ます。ただし寿命を延ばす目的でメトホルミンを売るなら、その効果が本当か、厳しい医薬規制当局(アメリカではFDA、日本では厚生労働省)の審査をパスしなければいけません。今回行われるのはそのための健康なボランティアにメトホルミンを飲んでもらう試験です。

試験ではアメリカで3000人の健康な70〜80歳のボランティアを雇い、60億円をかけて5〜7年間メトホルミンを飲んでもらうという試験です。

(※注意、下記のタイトルにあるように120歳まで伸びるなんて証拠はありません。ちょっとだけ伸びるという統計データがあるだけです)

 Keyword:metformin/10


2015.10.20

イギリス科学誌ネイチャーと日本抗加齢医学会がアンチエイジングに関する専門誌「npj Aging and Mechanisms of Disease」創刊、編集長は慶応大教授

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以下に現在掲載されている学術報告のタイトルを引用します。
  • Defining molecular basis for longevity traits in natural yeast isolates(酵母中の長寿遺伝子の分子機構の解明)
  • Aging science comes of age(加齢科学の時代が来た!)
  • Purpose in Life as a psychosocial resource in healthy aging: an examination of cortisol baseline levels and response to the Trier Social Stress Test(健康に老化するための心理社会的よりどころとしての人生の目的:コルチゾールレベルとストレステスト)
  • Markers of T-cell senescence and physical frailty: insights from Singapore Longitudinal Ageing Studies(シンガポールの老化研究から見いだされた免疫細胞の老化と身体的脆弱性に関して)
  • Late-onset dementia: a mosaic of prototypical pathologies modifiable by diet and lifestyle(食事とライフスタイルによる後期認知症の症状改善)
  • The mammalian target of rapamycin at the crossroad between cognitive aging and Alzheimer’s disease(認知力の老化とアルツハイマー病に関するラパマイシン投与による作用)

 Keyword:Alzheimer/91


2015.07.07

老化に伴い血中に増加するβ2ミクログロブリンは記憶力低下を引き起こす、しかし作用は可逆的で血中から無くなると30日で記憶力回復

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 将来の老化抑制薬開発のカギとなる現象が発見されました。

 加齢に伴い、健康な人の脳内であっても、認知能力と再生能力に問題が生じ、神経が変成していくことが知られています。動物実験で若い個体と老化した個体を血管でつなぐと、老化した個体の脳が若返ることが報告され血液中に老化を促進する物質があることが予想されていました。

 今回、研究者らはβ2ミクログロブリン(β2-microgloblulin, B2M)がこの現象を引き起こす原因物質であり、成人脳(海馬)の認識能力と再生能力を劣化させることを発見しました。β2Mはマウスだけでなく人間の血中でも老化に伴って量が増加することが報告されており、β2Mを欠損させたマウスでは老化しても神経の活動が活発なこと、若いマウスにβ2Mを注射すると認識能力が衰えることも確認されています。β2Mによる作用の一部は海馬のTap1 (transporter associated with antigen processin 1)を介して起こっているようです。

 血中のβ2Mを減らす薬は抗体医薬などを使えば比較的簡単に作ることが出来ると予想されます。老化した身体の記憶能力も回復させることが出来るのは面白いですね。中外製薬さん、Smart-IgG技術の出番ですよー



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Cation!!注意:このページには動物実験などで得られた研究段階の情報が含まれています。これらはなんら、人間に適用した時の効果を保証するものではなく、これらの情報を元にとった行動によりいかなる不利益を被っても管理人は一切責任を負いません。このページの話はあくまで「情報」としてとらえてください。