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健康食品から再生医療・アンチエイジング、バイオハッキングまで、健康情報の根拠となる最先端の研究を分かりやすく紹介します。
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2025.08.23(土)

研究者がレーザーを使わず電気化学的刺激で角膜の屈折を制御するレーシック手術にラットで成功

↑BX.COM

タイトルは少し語弊があり、レーシックってLASIK(laser in situ keratomileusis)の略語で、このあたりい技術では電気化学刺激で急激にpHを変化させることで角膜の屈折を制御する(Electrochemical corneal refraction)そうで、レーザーを使わないので「レーシック」ではない別の用語が必要かもしれません。

Category:#目・視覚

 Keyword:角膜/2




2025.08.18(月)

mRNA薬の仕組みを使い(ワクチンではない)I形インターフェロン反応を疑似的に起こすことで細胞をあらゆる感染症にかからなくすることに成功

↑BX.COM

何かの感染症にかかっている間は他の感染症にはかからないという現象をご存じでしょうか?これは感染症にかかっている間に体内で「I型インターフェロン反応」が起こることによって生じます。

この防御反応に関わる制御因子の1つにISG15(I型インターフェロン刺激遺伝子15)が知られます。先天的にこのISG15を持たない細胞は弱いレベルのI型インターフェロン反応が持続的に起こるため常にあらゆる感染症にかからない特徴があります。

今回、アメリカ・コロンビア大学の研究者らはのこのISG15に着目し、ISG15を持たない細胞の感染防御状態を再現出来るような10種類のISG関連制御因子を決定しました。この10種類の制御因子を発生させるmRNAで処理された細胞はプレート内の実験で様々な感染症に感染せずに済みます。

さらにこの仕組みを用いてハムスターを新型コロナウイルスの感染から防御することにも成功しています。

このメカニズムを用いればあらゆる感染症にかからなくする予防薬が作れるかもしれません。

Category:#感染症 #新型コロナ

 Keyword:ワクチン/350



2025.08.05(火)

定期的な運動は腸管の幹細胞においてReg3gやWntシグナルを経ての老化を抑制することで腸を健康に保つ作用を示す

↑BX.COM

老化は組織と細胞の段階的劣化プロセスであり、加齢関連疾患の原因ですが、腸管の老化において腸管の幹細胞の枯渇が起こることが知られています。これにより腸管の再生能力が失われ、腸管の機能が損なわれます。

腸管は全身に必要な栄養の吸収臓器であるため、腸管の不調は全身の健康が損なわれることになります。

一方で、老化にあらがう方法として知られる方法の1つとしてよく知られる定期的な運動があります。本研究では定期的な運動がマウスにおいて腸管の老化をどのように抑制しているかを明らかにしています。

研究者は22カ月令の高齢マウスを2つのグループに分け、片方のグループには定期的な運動させ、2つのグループの腸管を比較しています。比較方法としては単細胞RNAシークエンスを用いており、定期的な運土うを行ったマウスでは腸管細胞においてDNA複製と細胞分裂のシグナルカスケードが活性化され、リボソームの生合成を促進する遺伝子が腸管幹細胞で活性化することが見出されました。

さらに、Wntシグナルに阻害がかかり(これは腸管幹細胞の分化を改善する)、Reg3gの発現をPaneth細胞で高め、腸管のバリア機能を向上させていました。

このように運動は腸管の幹細胞の老化を様々な経路で抑制することで腸管の老化を抑制し、全身の健康に良い影響を与えていると考えられます。

参考

Category:#運動 #エクササイズ

 Keyword:Wntシグナル/3 幹細胞/102



2025.07.25(金)

RANKリガンド投与でマウスの胸腺を若返らせて加齢の伴う免疫力低下を回復させることに成功

↑BX.COM

老化に伴う免疫学的な変化は胸腺が衰え、T細胞の数が減ることにより、ワクチンに反応しなくなり、感染症にかかりやすくなり、ガンになりやすくなることである。この研究者はRANKリガンド(receptor activator of NFκBリガンド)刺激が老化したマウスで減少し、これが胸腺の衰えにつながっていることを発見した。

そして老化したマウスにRANKリガンドを投与することで、胸腺の機能を回復させることに成功している。

RANKはこれまで破骨細胞の分化、成熟に関わる因子として主に注目されていたようです。RANKLを阻害するホルモンとしてはOsteoprotegerin(OPG)が知られ、またRANKLの作用を妨害する抗体医薬としてdenosumab(商品名:プラリア、ランマーク)が開発されています。

検索したところRANKシグナルのアゴニストとして開発されている薬は見当たりませんでした。

Category:未分類



2025.07.16(水)

全世界の反ワクチン勢力が絶望。120万人の小児を調べた統計解析で自閉症を含む50の病気とワクチン接種に相関関係は認められず

↑BX.COM

悪い影響は認められず、結果をよく見ると食物アレルギーとか喘息は微妙に減らす効果がありそうな。。。。

反ワクも頭が弱くて因果関係を読み解いたり科学を理解するのが苦手なだけで、もちろん人格に問題があるかどうかとは別問題だし、弱者の代表として政治家としてやっていけないわけじゃないと思わないけどね。

参考記事

Category:#感染症 #新型コロナ

 Keyword:HPV/67 子宮/51 自閉症/20



2025.07.15(火)

メカニズム解明から24年!武田薬品がナルコレプシー治療薬「oveporexton(TAK-861)」の開発成功、承認申請へ

↑BX.COM

ナルコレプシーとは夜しっかり寝ていても昼間に眠気を感じる病気です。

この医薬品のメカニズムはオレキシン受容体2の作動薬とのこと。オレキシンは幸せホルモンとも呼ばれるオキシトシンと並んで語られることもある脳内ホルモンの1つです。

「針治療はオレキシンとオキシトシンをコントロール出来るか?」なんて研究がされていたり

ナルコレプシーの原因がオレキシン受容体2であることは1999年に発見たことを18年前に紹介しました。え?このサイト歴史長すぎw
メカニズムが解明されてから24年たって治療薬がやっと開発されるんですねぇ。

Category:睡眠

 Keyword:ナルコレプシー/6 オキシトシン/8



2025.07.11(金)

脳老化を遅らせうる新規遺伝子候補と新規医薬品を3万人の脳MRIと実年齢のギャップ解析で多数見つけた。CA4、RRM1、TUBBなどの遺伝子に可能性あり

↑BX.COM

脳の老化度と実年齢の差異は脳の健康状態を評価する上で有用ですが、脳の老化度に影響を与える遺伝子が具体的に何なのかは明確ではありません。研究者らはMRIを使って29097人を脳を分析、実年齢とのギャップを用いて分析を行ったところ下記の結論に至りました。

  • 64の医薬品を作れそうな遺伝子を見つけ出した。
  • その64種類の候補遺伝子に関係する医薬品の中にはケルセチンなど既にアンチエイジングの臨床試験が行われている医薬品が含まれていた。シロリムス、レスベラトロール、テストステロンなど
  • その中で2つの根拠のある遺伝子は37あり、3つの根拠のあるもっとも有望な遺伝子は7つだった。→MAPT, TNFSF12, GZMB, SIRPB1, GNLY, NMB, and C1RL,
下記は論文に記載されている図です。

出典:Genetically supported targets and drug repurposing for brain aging: A systematic study in the UK Biobank

青字が脳のアンチエイジングに影響しそうな遺伝子、赤色が既にアンチエイジング効果が知られている薬で、それらの遺伝子に関わっているもの。黒は今回新しく候補として見出した医薬品になります。

新しく見出したアンチエイジングに関して未開の遺伝子はCA4、RRM1、TUBBあたりでしょうか。

CA4(降圧剤のターゲット遺伝子)の関連文献は
RRM1(抗がん剤のターゲット)の関連文献は
TUBBはチューブリンの遺伝子(抗がん剤のターゲット)
3D-ViTというモデルは脳のMRI像から実年齢を誤差3歳以内で判別するらしい

Category:未分類

 Keyword:テストステロン/27 ケルセチン/108



2025.07.04(金)

ルペド社(Rubedo Life Sciences)が肌の老化細胞を標的としたRLS-1396の臨床試験を開始

↑BX.COM

臨床試験としては慢性の炎症性皮膚疾患である乾癬(かんせん、Psoriasis)の治療として実施、同じ薬を強皮症(Systemic Sclerosis/Scleroderma)の薬としても開発中。

RLS-1496の作用メカニズムはGPX4(グルタチオンペルオキシダーゼ4)制御らしい。GPX4はフェロトーシス(ferroptosis)に関わっているとのこと。酸化された脂質が細胞に蓄積すると細胞死シグナルになるとのこと。

Category:#アンチエイジングを目指す企業



2025.06.26(木)

Amgenの新しい肥満治療薬MariTide(AMG 133,maridebart cafraglutide)が臨床試験Ph-2で月1回の注射で体重16%減を達成。抗体ーアゴニストペプチド複合体タイプの新モダリティー!

↑BX.COM

このタイプの薬物は長く二型糖尿病治療薬として使われてきた自己注射型のペプチド薬に代わり、中外が創製しリリーが販売しようとしている飲み薬が発売間近で盛り上がってきているところです。
月1回の自己注射で済むならMariTideが人気になりそうな気も。でも値段高いかな?

↓最近日本でも薬局で購入出来るようになったオルリスタットは全く別のメカニズムです。

Category:ダイエット・メタボリックシンドローム

 Keyword:糖尿病/179



2025.06.24(火)

2023年に発表されたタウリンがアンチエイジングによくマウスの寿命が延びるとする論文はフェイク?

↑BX.COM

2023年に下記のような研究を紹介しました。

しかし今回以前の研究を完全否定するような研究が報告されています。
新しい研究では26歳〜100歳の人間、3歳〜32歳のサル、9か月〜27か月のマウスの血中タウリン濃度を比較したところ老化に伴ってその濃度が低下していなかったそうです。

また人間において血中タウリン濃度は個人差が非常に大きかったですが、その濃度と老化の指標に間に関係は見られませんでした。

以前の研究はインドの研究者主導で、アメリカ、ドイツ、オーストラリアなど多数の研究者が著者に名を釣られています。今回、タウリンを飲むと寿命が延長する部分の追試験を行い否定したわけでは無いですが、元となる老化に伴う血液中のタウリン濃度の低下に関する背景データがここまで否定されているとなると、そちらの結果もアヤシイかもしれません。

日本でタウリンといえば大正製薬のリポビタンDですね。
大正製薬はタウリンとアンチエイジングの関係が論文で報告された後もそれほど飛びついていなかったみたいですね。大正製薬の研究では高齢者の筋肉維持に役立つことなど関する研究はしているようです。

Category:#サプリメント

 Keyword:タウリン/9 筋肉/218