2023.10.19
寿命を延ばす研究に関する12の着眼点と2019年からの進展(2023年版)
同様のタイトルで2019年に書いてますが、大きく着眼点が変わってますね。2019年にピックアップした12項目はそのままに進捗や状況についてコメントしています。
残念ながらこの4年間でアンチエイジングに関するスタートアップの株価は悲惨な事になっています。管理人も大損中。。。。ただし続々と新たなスタートアップが誕生しているようです。ただ、その内容を見るとサイエンスの新たな知見を元にして起業という風には見えない気がします。個人的にはスタートアップにはあまり期待していませんね。
- 京大、山中伸弥教授がAmazon元CEOのジェフ・ベゾス氏も投資する細胞若返りを目指す企業Altos Labsの科学アドバイザーに就任している /Amrit不老不死ラボ
- OpenAI創業者の一人Sam Altman氏、延命治療スタートアップ「 Retro Biosciences」に1億8000万ドルを投資 /Amrit不老不死ラボ
- Unity Biotechnology社の老化細胞除去薬UBX1325のPh-II試験。1回投与で視力回復が48週間継続の結果 /Amrit不老不死ラボ
セノリティクスと呼ばれるこの薬の研究こそがこの4年間のアンチエイジングに関する研究発展の主要な部分ですね。多数の非臨床・臨床研究が実施され、続々と新たな創薬候補が見つかっており、古い候補は臨床試験が進んでいます。しかし臨床試験の成果として革新的なものは無いように思います。次に注目を集めるためには「人間でどれほどの成果を上げられるか」を示す必要がありそうです。
●ワクチンタイプ
- ワクチンで老化細胞を減らす世界初の成果。CD153を標的としたペプチドワクチンでの老化T細胞除去に阪大研究者がマウスで成功 /Amrit不老不死ラボ7イイネ
- 老化細胞除去ワクチンの実証実験にマウスで成功。ターゲットはGPNMB(glycoprotein nonmetastatic melanoma protein B)、老化した脂肪細胞、血管内皮細胞などに高発現 /Amrit不老不死ラボ
- 癌治療用として盛んに開発されている細胞療法「NKG2D CAR-T」で老化細胞も減らせることがマウスやサルで確認される /Amrit不老不死ラボ
- 老化細胞を除去するCAR-T治療法でマウスの若返りに成功 /Amrit不老不死ラボ1イイネ
- 老齢サルにフィセチン(100mg/kg)とダサチニブ(5mg/kg)を2日間投与するだけで皮膚の老化細胞減少がする /Amrit不老不死ラボ17イイネ
- 様々な植物ポリフェノールを比較するとフィセチンとクルクミンがケルセチンよりもよく老化細胞を減らす /Amrit不老不死ラボ
- ブドウ種子に含まれるPCC1(プロシアニジンC1=カテキン3量体)が老化細胞を自殺させ凄まじく寿命を延ばすことがマウスで報告される(2021年12月Nature Metabolism) /Amrit不老不死ラボ
- ハーバード大のデビッド・Aシンクレアの研究チーム。1回使うだけで細胞を若返らせる低分子薬物カクテルの組み合わせを6パターン報告 /Amrit不老不死ラボ
- FOXO4ペプチドを1日おきに注射して老化した細胞のみを自殺させマウスを若返らせる /Amrit不老不死ラボ
- 現在知られている9種類のセノリティクス(老化細胞除去薬/Senolytics) /Amrit不老不死ラボ21イイネ
- Nature Medicineの2022年公開のSenolytics薬(老化細胞除去薬)レビュー論文、現在の臨床試験一覧とか、メカニズム一覧とか /Amrit不老不死ラボ
(3)「老化抑制」という「副作用」が知られる市販薬を飲む
上記したセノリティクスの一部も含まれますが、新しい話とか、目新しい臨床試験の結果は無いように思います。
(4)寿命を延ばす効果が期待されて開発されているサプリメント・天然物質
上記(2)のセノリティクスの一部も含まれますが、セノリティクス以外の話は見かけないですね。
(5)寿命を延ばす効果が期待されて開発されている開発中の薬
あまりパっとした話が無いですね。臨床試験が難しいせいでしょうが、セノリティクスと異なり作用がマイルドで全体的であるため臨床試験が難しいのかもしれません。
- 老化関連2つの臨床試験まで進んだ薬のパイプラインを持つ米カリフォルニア・リッチモンド拠点のBioAge Labs社 /Amrit不老不死ラボ4イイネ
- 抗老化ホルモンとして知られるKlotho(クロト―)を投与した老サルの記憶能力が1回の微量注射(10μg/kg)で2週間改善(2023年7月) /Amrit不老不死ラボ
(7)脳だけになって生き残る(8)コンピューターに意識を移す
探してないだけかもしれないですが、目新しい話は無いように思います。
(9)臓器を新しいものに交換して長生きする
ヒトに移植可能なブタの研究は着実に進んでいるようです。この技術の進歩が進み続けることは間違いなく、10年後、20年後には大きな産業になっている可能性は大きいと思います。
- 過冷却装置でヒトの肝臓を27時間保存することに成功 /Amrit不老不死ラボ
- ダヴィンチ・ロボット手術システム開発の「Intuitive Surgical」の株価が劇上がり中。 /Amrit不老不死ラボ
- 人間に移植可能なブタまであと少し!米eGenesis社の69遺伝子改変ブタの腎臓を移植されたサルが2年以上生存 /Amrit不老不死ラボ
腸内細菌の研究は盛んですが、介入して治療方法にする話はそんなに臨床応用が進んでいないように思います。
(11)生体内の細胞をリプログラムして若返らせる
この話もここ5年で知見が蓄積しています。効果は間違いなさそうですが、全身同時にリプログラミング出来るわけではなくどのような治療法にもっていくのかが難しいかもしれません。
- iPS細胞を作るのと同じ方法を用いて網膜細胞をリプログラムにより若返らせて視力回復にマウスで成功 /Amrit不老不死ラボ1イイネ
- Life Bioscience社、山中4因子処理での局所若返り処理がサルの視覚機能の回復にも有効であることを発表 /Amrit不老不死ラボ
癌の研究は本当に盛んに行なわれていて、有望な薬が多数開発されています。気が付いたら癌は死ぬ病気じゃなくなっているってことも20年後ぐらいには期待出来るかもしれません。
老化評価
- ゲノムのメチル化度合いを測定すると実年齢が正確に測定出来る。メチル化を制御する技術と組みわわせて若返りの試みも /Amrit不老不死ラボ
- tally Health社の月額59ドルからのサブスク。DNAメチル化測定による生物学的年齢測定と日々のアンチエイジングサプリのセット /Amrit不老不死ラボ
Category:#エイジング関連まとめ
Keyword:クロト―/4
コメント
この記事のアクセス数:■■ このカテゴリーのその他の記事■■
■■他サイトの関連記事(自動)■■
ワクチン
クルクミン
山中伸弥
ケルセチン
ブタ
クロト―
CAR-T
メチル化
.DNAメチル化 - Wikipedia 2 users13イイネ 10 Tweet

ヒトの体細胞に最も多いメチル化酵素DNMT1はDNA2本鎖の片側だけメチル化されている状態(ヘミメチル化DNA)を優先的にメチル化する。これにより子孫細胞にメチル化状態が受け継がれる。 フィセチン
eGenesis
UBX1325
脂肪
腸内細菌
ダサチニブ
Klotho
NKG2D
iPS細胞
人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells)
.wikipedia
.皮膚細胞から万能幹細胞の誘導に成功(化学技術振興機構)
.世間を賑わす「iPS細胞」とは何だろうか(東洋経済)
.ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立に成功(京都大学)
■■ 最近アクセス数の多い記事 ■■