カテゴリー:睡眠 TW↑B



2019.11.06ショートスリーパー遺伝子「neuropeptide S receptor (NPSR1) 」変異の3つ目が見つかる /2
2017.10.12アメリカ睡眠学会、中学、高校の始業時間を8:30より遅い時間にすることにより学習効果が向上し健康も増進すると提案 /2
2016.08.23青色光は目を覚まさせ、緑色光は眠たくさせる事を証明した実験報告 /65
2016.05.2724時間働けますか!睡眠不足でも記憶力低下を防ぐ実験にマウスで成功 /15
2016.02.02夜更かしを3日間しただけで体内の周期的な遺伝子発現がメチャクチャになる /54
2014.04.23睡眠薬「マイスリー」(薬物名:ゾルピデム)を飲み昼寝をすると言語記憶が向上する /9
2012.12.10脳波を計りながらヘッドフォンで音を聞くだけの不眠症治療「HIRREM」 /9
2012.10.15慢性的な睡眠不足が身体に及ぼす具体的な影響 /7
2012.09.15目に入る青色光の量で覚醒と眠気をコントロール可能。寝る前2時間のiPadで睡眠ホルモン「メラトニン」が20%減少 /2
2012.08.15嫌な事があった日は徹夜すると嫌な気分が緩和しトラウマになりにくい。という研究結果 /3
2012.08.15起きている時に学んだ事は睡眠中(特に寝た直後のレム睡眠中)に脳に定着する /2
2012.08.15平日の睡眠時間が6時間以下の人が週末2日間寝だめをしても作業効率が回復して無いことが明らかに /2
2010.02.23「1時間半の昼寝は1晩分の効果」、睡眠の新発見続々と
2009.08.07快眠に最適な温度は15℃〜20℃らしい
2008.05.23睡眠不足だと仕事がはかどらない理由、科学的に明らかになる
2008.04.18睡眠時間12時間未満の3歳未満の子供は肥満になる傾向がある
2008.03.12“睡眠不足は肥満のもと”5時間未満だと1・4倍に(yomiuri) /7
2007.01.05睡眠が断片化され、レム睡眠が充分にとれないと記憶に問題が起こる /6
2007.05.16高脂血症薬、睡眠障害に効果? マウス、早寝早起きに /7
2007.01.05睡眠時無呼吸症候群の原因遺伝子はApolipoprotein Eε4?
2007.01.05ナルコレプシーの原因遺伝子はオレキシン(ヒポクレチン)受容体2遺伝子
2007.01.23睡眠時無呼吸症候群は治療マスクをつけても脳梗塞の危険性は高い /6
2004.12.16睡眠障害にメラトニン摂取は意味が無いとアメリカの厚生省が発表(nikkei)
2004.06.23大塚製薬の「おやすみ乳飲料ネムー(nemu)」はどれぐらい眠くなるか
2003.10.24カテキンの次は「テアニン」がブームになるそうです(nikkei)
2003.05.19「睡眠」も生後、発達して成熟する
2000.10.089時間以上の睡眠は癌死亡率UP(Yahoo NEWS)


2019.11.06

ショートスリーパー遺伝子「neuropeptide S receptor (NPSR1) 」変異の3つ目が見つかる

↑BTW

この遺伝子変異は4.3〜5.5時間しか眠らない父親と息子の全ゲノムシークエンス研究から見つけたそうです。この遺伝子をネズミに導入すると活動時間が増え睡眠時間が減り、かつ睡眠を制限した時の脳障害が抑制出来たそうです。

これまでに見つかった2つのショートスリーパー遺伝子はDEC2変異とADRB1(β1アドレsなリン受容体遺伝子)変異とのこと。

 Keyword:遺伝子変異/14 睡眠/149


2017.10.12

アメリカ睡眠学会、中学、高校の始業時間を8:30より遅い時間にすることにより学習効果が向上し健康も増進すると提案

↑BTW

思春期の間のサーカディアンリズム(体内時計)により、遅寝、遅起きとなり、結果、学習効率を落とし、健康状態を悪化させる原因となる。とくにアメリカでは、朝に車を運転して登校する学生の危険に繋がるとのこと。

研究では早い始業時間により「学習効率低下」「肥満」「代謝異常、心臓血管疾患」「鬱病増加」「体内時計の異常」「リスクを起こしやすい行動の増加」「運動能力障害」の問題が生じ、これらは若者の死亡原因の35%を占めるそうです。研究者によると始業を1時間遅らせればこのリスクは16.5%低下するそうです。

 Keyword:運動能力/5 体内時計/7


2016.08.23

青色光は目を覚まさせ、緑色光は眠たくさせる事を証明した実験報告

↑BTW


PLOS Biology1/PLOS Biology2

 アメリカ・オックスフォード大学のVioletta Pilorzらによる研究です。青色光(470nm)を当てると入眠まで時間がかかり、寝ている時間が短くなりますが、一方、緑色光(530nm)を当てると凄い勢いで入眠出来ることが報告されています。

 メカニズムとしては青色光照射によりMelanopsinの入力がSCNで低下することが睡眠を妨げる原因のようです。ネズミを使った研究ですが人間にも当てはまるかもしれません。


2016.05.27

24時間働けますか!睡眠不足でも記憶力低下を防ぐ実験にマウスで成功

↑BTW

 睡眠不足時に記憶力が低下することが知られていますが原因は完全には分かっていません。今回研究者らは大脳新皮質の第二運動野(M2)という領域から第一体性感覚野(S1)という領域への神経回路の影響を調べました。

このM2→S1回路は睡眠開始直後のノンレム睡眠で働いていることが知られており、睡眠不足時にはこの神経接続を介した情報伝達が妨害されていることになり、これが記憶力低下の原因である可能性があります。今回、研究者らは睡眠不足にしたマウスのM2部分、S1部分に同じパターンの電気刺激を人工的に与え擬似的にM2→S1回路が働いているようにすることで記憶力が回復することを見出しました。

 M2部分とS1部分に同期した刺激を与える方法としてはマウスを遺伝子改変し、「チャネルロドプシン」という光を受けると電気信号を発生するタンパク質を脳神経に導入しています。このマウスの脳神経細胞は光を当てるだけで電気刺激を発生するようになります。これによりレーザーなどを使うことで脳の好きな場所に電気刺激を発生させることが出来ます。

 今回は遺伝子改変を使って人工的電気刺激を発生させましたが、電気刺激を起こさせる方法は他にも色々あります。研究らは今回発見した現象が睡眠障害などの治療に使えないかと考えています。

 Keyword:レム睡眠/6 タンパク質/73


2016.02.02

夜更かしを3日間しただけで体内の周期的な遺伝子発現がメチャクチャになる

↑BTW

 研究者らは22人の健康なボランティア(男女11人ずつ)を雇い、1日ごとに睡眠時間を4時間遅らせる生活を3日間行わせ、3日後に血液中のメラトニンレベルを測定、血液細胞中の遺伝子発現を調べました。

 結果、3日程度では眠気などを司ることで有名な血液中のホルモン「メラトニン」量の変化は大きな影響を受けておらず、元の生活周期のパターンのまま分泌されていることが分かりました。

 しかしながら、血液中の細胞の遺伝子発現を調べてみたところ、通常は昼・夜の周期に合わせて規則正しく発現の増減を繰り返している周期的遺伝子発現が6.4%→1%と激減することが分かりました。変化した遺伝子の中には遺伝子に長期的な影響を与えうるクロマチン(染色体)修飾遺伝子(DNAメチラーゼやDNAアセチラーゼ)も含まれていました。また、タンパク質の翻訳・転写に関わる多数の遺伝子、また、温度により制御される遺伝子(寒い時に誘導される遺伝子など)も影響を受けていました。

 不規則な生活は感じる以上の影響を身体に与えていそうです。


2014.04.23

睡眠薬「マイスリー」(薬物名:ゾルピデム)を飲み昼寝をすると言語記憶が向上する

↑BTW

 睡眠には浅い睡眠で知られるレム睡眠や深い睡眠で知られるノンレム睡眠があります。睡眠が記憶のメカニズムに重要な役割を担っていることは広く知られるようになりましたが、レム睡眠やノンレム睡眠のどちらが関与しているのはよく分かっていません。

 今回、アメリカ・カリフォルニア・リバーサイド大学の研究者Mednick SCらは49人のボランティア(18歳〜39歳の男女)に一般的な睡眠薬(製品名:マイスリー)を飲み昼寝をしてもらう実験を行いました。


(省略されています。全文を読む

 Keyword:脳波/9 学習能力/14


2012.12.10

脳波を計りながらヘッドフォンで音を聞くだけの不眠症治療「HIRREM」

↑BTW

 現代社会では多くの人が不眠症に悩んでおり症状を改善するために色々な事が試されています。たとえば寝る前に暖かいミルクを飲むといった簡単な方法からメラトニンのタブレットを飲む(日本では売られていない)、また不眠症用の薬を処方してもらうまで様々です。しかしこれらは効果も様々で副作用があることもあります。

 今回、薬などに頼らず特殊なヘッドフォンで音を聞くだけで劇的に不眠症を治療出来る方法が報告されていましたので紹介します。この研究を発表したのはアメリカの研究者ら。HIRREM(High-resolution, relational, resonance-based, electrocephalic mirroring)という技術を用いています。

(省略されています。全文を読む


2012.10.15

慢性的な睡眠不足が身体に及ぼす具体的な影響
Lack of sleep affects bone health and bone marrow activity

↑BTW

 睡眠不足が続くと身体に悪影響を及ぼすことは一般的に信じられていますが、どのような悪影響があるかについてははっきりと知られていません。今回、アメリカ・ウィスコンシン医科大学の研究者らは慢性的な睡眠不足が骨の健康状態血液を作る機能に重大な影響を与えていることを動物実験により発見し報告しています。

 研究者らは、大ネズミ(ラット)を使って実験を行いました。ラットを慢性的な睡眠不足にするために特殊な飼育ケージを自作し、その中にラット入れてました。この飼育ケージは稼働させると一定時間ごとに全体が6秒間だけ回転するようになっているため、ここに入れられたラットはよく眠ることが出来ません。実験では飼育ケージのスイッチを10日間ON→2日間OFFを6回繰り返し合計72日間飼育した後に、ラットの身体にどのような影響が起きているかを分析しました。ラットにとっての72日間は人間の人生に換算するとおよそ8年に相当します。

(省略されています。全文を読む

 Keyword:骨粗鬆症/2


2012.09.15

目に入る青色光の量で覚醒と眠気をコントロール可能。寝る前2時間のiPadで睡眠ホルモン「メラトニン」が20%減少

↑BTW

 カナダでは労働者の3分の1(およそ650万人)は夜に起きていたり、昼間に寝る必要があるそうだ。このような昼夜逆転生活が必要な職業は少なくなく24時間稼働する工場で働く人々の他にも、警察官や消防隊員、またトラック運転者なども当てはまる。このような生活をする人々の中には覚醒と睡眠をコントロールするためにコーヒーや栄養ドリンク、薬などに頼る人もいる。

 なぜ、夜働いたり昼間眠るのは困難が伴うのだろうか。近年の研究で人体は目から入る青色の光の量により昼と夜を認識していることが明らかとなり、この青色の光の量をコントロールすることで覚醒と眠気をコントロール出来ることが分かってきた。すなわち、覚醒したい時には目から入る青色光の量を増やし、これから眠りたいという時には目から入る青色光の量を減らせば眠気が訪れるのである。具体的に夜勤労働者の生活を改善することを考えた場合、下記の2つの方法が実施出来る。

1夜勤労働中に青色光を多く浴びる身体に夜を昼だと思わせる事が出来る。覚醒度が高まり感覚がとぎすまされる、疲れにくいなどの効果がある。青色の光をOFFにすると急激に疲れを感じるようになるそうだ。パルスで光を照射すると効果的。
2夜勤明けの朝に浴びる青色光を減らす速やかに眠ることが出来る。これは青色光をカットする特殊なサングラスで実現出来る(最後にサングラス販売ページへのリンクあり)

(省略されています。全文を読む


2012.08.15

嫌な事があった日は徹夜すると嫌な気分が緩和しトラウマになりにくい。という研究結果

↑BTW

 これまでの研究で、睡眠、特にレム睡眠が記憶の定着に重要な役割を果たしている事が明らかになっている(本サイトでもいくつか紹介している)が、睡眠が脳に定着させる記憶内容は「勉強した内容」にとどまらず「感情的な記憶」も同様のようだ。今回、アメリカMITの研究者らはトラウマやPTSDの原因となる「負の感情を生じさせる記憶」さえも睡眠により記憶に残りやすくなっている事実を実験により報告している。

 研究者らは女性68名、男性38名、合計106人の健康なボランティアを雇って実験を行った(年齢18〜30歳)。ボランティアは画面に次々に表示される様々な写真(犯罪現場や精神を揺さぶられるような内容の写真を含む)を見せられ、その写真に対して、「どのぐらい悲しみを感じるか」「どのぐらい喜びを感じるか」を1〜9のランクで選択してもらった。そして12時間後に、既に見たことのある写真を含む様々な写真を再度見せて、絵を見たことにより感じた感情をもう一度1〜9でランク付けしてもらい12時間前の感情がどのぐらい残っているかを調べた。

 最初のテストと2回目のテストの間の12時間はボランティアを2つのグループに分け、第1グループはずっと起きていてもらい、第2グループはぐっすりと寝てもらった。寝てもらったグループのボランティアは睡眠時の「REN睡眠(レム睡眠)」の長さを測定した。この12時間の実験は人体のサーカディアンリズムの影響も考えて、朝や夜など様々な時間帯に繰り返し行った。

第1グループテスト→12時間(寝ない)→テスト
第2グループテスト→12時間(睡眠)→テスト

 ボランティア全員の実験結果を集計したところ、睡眠をしっかりとった第2グループの方が12時間前の事をよく覚え認識していたが、同様に気持ちをかき乱されるような絵を目撃した時の感情やトラウマになりそうな絵を見た時の感情もはっきりと記憶に残っていることが分かった。そしてこれと比較すると、寝ずに起きていた第1グループではその感情は弱まっていることが分かった。睡眠をとったグループでは「フラッシュバック」的な感情も大きかった。

 また、睡眠をとったグループの中で睡眠中のREM睡眠の長さ感情的な記憶の残存度を比較したところ、REM睡眠が長いほど感情的な記憶がよく残っていることが分かった。以前よりREM睡眠中に記憶が定着される事は分かっていたが、負の感情の記憶も同様にREM睡眠中に脳に定着されるようだ。

 研究者らは、原始の世界では嫌な記憶やトラウマになりそうな記憶というのは過酷な環境で生き抜くために重要な記憶であり、嫌な記憶でさえも睡眠によりしっかりと記憶に残るようなメカニズムになっているんだろうと考えている。そして、これらのメカニズムは現代の世の中ではトラウマやPTSDを軽減するのに役立つ可能性があると考えている。

これらの研究をふまえると「嫌な事があった日はさっさと寝てしまえ」ってのは逆効果かもしれない。ちなみに大量に飲酒すると寝付きはよくなるがREM睡眠が減ることが報告されており、大酒飲んで寝てしまうのは効果があるかもしれない。少量のアルコールはREM睡眠の全体量は減らさないと報告されている。

  • Processing of Emotional Reactivity and Emotional Memory over Sleep, Journal of Neuroscience. 2012 Jan 18;32(3):1035-42.PMID:22262901
  • Sleep preserves and enhances unpleasant emotional memories (EurekAlert)

 Keyword:PTSD/7 飲酒/12


2012.08.15

起きている時に学んだ事は睡眠中(特に寝た直後のレム睡眠中)に脳に定着する

↑BTW

「しっかり寝ないと勉強の効率が上がらないよっ」とはよく言われたものですが、その根拠が実験により明らかになっています。記憶には短期記憶と長期記憶があり、短期記憶が長期記憶に変化するにはきちんとした睡眠が必要のようです。1つ目に紹介する実験はイスラエルの研究者らによって行われ有名な学術雑誌「サイエンス」に投稿されたものです。

(実験1)

  • Dependence on REM sleep of overnight improvement of a perceptual skill(認知スキルの向上は深夜のレム睡眠によって起こる).Science. 1994 Jul 29;265(5172):679-82. PMID:8036518
 研究者らは集めたボランティアに1日2回(朝と晩)に「模様の中にパターンを見つける簡単なテスト」を連日行ってもらいました。テストを繰り返すごとにボランティアのスコアはテストに慣れ徐々に上がっていきました。例えば1日目の朝のスコアより、夜のスコアが高くなり、しっかりと寝た場合には1日目の夜のスコアより、2日目の朝のスコアが上昇するといった具合です。しかしながら、ボランティアが睡眠している最中にレム睡眠を妨害したところ睡眠の前後でスコアの上昇が起こらないことが分かりました。これに対し非レム睡眠を妨害してもスコアの上昇は起こったことから、この実験はレム睡眠が学習した内容の定着に重要な役割を担っていることを証明しています。ちなみに余談になりますが、多くの事を覚えた日の夜はレム睡眠の量が増えることが以前より知られています。


 もう一つの実験は2000年にアメリカの研究者らにより報告されたものです。

(実験2)
  • Experience-dependent phase-reversal of hippocampal neuron firing during REM sleep. Brain Res. 2000 Feb 7;855(1):176-80. PMID:10650147
 研究者らは、睡眠の前半と後半のどちらが学習に重要かを比較しました。実験に参加したボランティアは睡眠を2回に分けて行うように慣れさせた後、
  • 条件1,学習を行う→睡眠(前半)→覚えているかテスト
  • 条件2,睡眠(前半)→学習を行う→睡眠(後半)→覚えているかテスト
  • 条件3,学習を行う→寝ない(睡眠(前半)をスキップ)→覚えているかテスト
  • 条件4,睡眠(前半)→学習を行う→寝ない(睡眠(後半)をスキップ)→覚えているかテスト
 と4種類の条件で学習効率の確認を行ってもらいました。すると、睡眠(前半)の後には高い学習効率が観察されました。反対に睡眠(後半)をはさんでも学習効率は低いままでした。また、睡眠の前半、後半も省略し起きたままいたとしても学習効率は低いままでした。これらの実験は、それぞれの日の夜、ベッドに入った直後から数時間間に起きていた時に行った学習内容を脳に定着させる作業が脳で行われていると推定されます。


 これらの実験はテストの前に一夜漬けというのは効率が悪い勉強方法であることを物語っています。まあ、覚えていないものを思い出すことは出来ませんので、そういう時は仕方ないとも思いますが・・・・


2012.08.15

平日の睡眠時間が6時間以下の人が週末2日間寝だめをしても作業効率が回復して無いことが明らかに

↑BTW

この研究はペンシルベニア州立医科大学のDr. Alexandros N. Vgontzasらがミネアポリスで行われた第25回睡眠学会で発表しました。学会での発表タイトルは
Effects of recovery sleep following modest sleep restriction for one work week on daytime sleepiness and performance: gender differences

 平日の軽度の睡眠不足は、眠気や、仕事の効率、炎症性サイトカインの量に影響を与えることが知られています。多くの人が、これを回復させるために週末に多く寝るという行動をとっていますが、この一般的に知られる週末の過眠行動が眠気と仕事効率を本当に回復させているのかを調べる実験が行われました。

 研究者らは16人の男性、18人の女性、合計34人の健康なボランティアを雇い実験を実施しました。ボランティアの平均年齢は24.5±0.6才。参加者は下記の方針に従って13日間ラボに寝泊まりしてもらいました。

実験スタート
↓4日間:1日8時間睡眠
↓6日間:1日6時間睡眠(平日の寝不足を再現)
↓3日間:1日10時間睡眠(休日の過眠を再現)
合計13日間

そして、4日目、10日目、13日目に色々なテストを行ったところ、

  • (1)軽度の睡眠不足で明確に昼間の眠気が増し、作業効率が低下する。
  • (2)1日10時間の過眠を行っても、眠気は改善したが、作業効率は少なくとも2日間の過眠では回復しない。
  • (3)男女差が見られる。
という結果が得られました。
睡眠は浅い睡眠(REM睡眠)と深い睡眠(SWS睡眠、または徐波睡眠、デルタ波睡眠)をおよそ90〜110分間隔で寝ている間に4〜5回繰り返します。この研究ではSWS睡眠の量と睡眠不足から受ける影響に相関関係が見られることが分かりました。特に、女性は男性に比べ基本のSWS睡眠が長く、睡眠不足による影響を受けにくく、過眠により回復が大きいようです。

情報元:
ちなみに、REM睡眠もSWS睡眠も、どちらも健康に重要なことが知られていますが、現在処方される睡眠薬のほとんどを占めるベンゾジアゼピン系薬剤はREM睡眠、SWS睡眠両方に影響を与えることが知られています。また、アルコールはREM睡眠が影響を与えることが知られています。本当に健康な睡眠を得るためには薬やアルコールに頼らない睡眠が必要と言えます。

それにしても、ペンシルベニアの平均年齢24才の男女が13日間ラボに寝泊まりして夜、おとなしく寝ていたかどうか疑問が残ります(笑)。

 Keyword:アルコール/26


2010.02.23

「1時間半の昼寝は1晩分の効果」、睡眠の新発見続々と

↑BTW


2009.08.07

快眠に最適な温度は15℃〜20℃らしい


2008.05.23

睡眠不足だと仕事がはかどらない理由、科学的に明らかになる

↑BTW


2008.04.18

睡眠時間12時間未満の3歳未満の子供は肥満になる傾向がある

3歳以下の子供と肥満の関係を調べたところ、1日に12時間以上の睡眠をとる子供でBMI値が高い傾向にあった。子供の睡眠時間の平均は12.3時間、3歳の時には9%の子供が肥満であった。

  • Short Sleep Duration in Infancy and Risk of Childhood Overweight. Arch Pediatr Adolesc Med. 2008 Apr;162(4):305-11.PMID:18391138

2008.03.12

“睡眠不足は肥満のもと”5時間未満だと1・4倍に(yomiuri)

↑BTW

発表したのは日本大学の兼板佳孝ら

地方公務員21693人に1999年と2006年に睡眠時間を尋ね、健康診断データと比較したところ、睡眠時間が5時間未満のヒトでは肥満が1.4倍多いことが明らかとなった。

逆に1999年時点で肥満のヒトは2006年の睡眠時間が短くなっている傾向も見いだされ、肥満と睡眠時間短縮の悪循環の関係がうかがわれた。


2007.01.05

睡眠が断片化され、レム睡眠が充分にとれないと記憶に問題が起こる

↑BTW

発表者はハーバード大学のTartar JLら
睡眠の断続化(sleep fragmentation)は多くの障害で現れる症状で認識(cognitive)障害につながる。睡眠の断続化が記憶障害にどのようにつながるかを調べるために、ラットを2分おきに30秒間のゆっくり動くトレッドミルで起こす(SI)という実験を行った。

この実験を始めて1時間ののちに、ラットは90秒間間隔でトレッドミルが動いていない時に眠り始めた。ノンレム睡眠(NREM: non-rapid eye movement sleep)の合計時間は24時間経過しても変化は無かった。しかしREM睡眠の時間が劇的に減少していき、起きている時間が長くなっていった。これらのラットは記憶の確立を表わす海馬のLTP(long-term potentiation)は24時間以上睡眠を断続化させたラットでは起こらなかった。そして24時間の睡眠断続は水中迷路試験での空間記憶を障害した。24時間の睡眠の断続化をしたラットに事前に血中のCORT(corticosterone)を上昇させていおくとLTPは増強された。

これに対し30分間の静止状態のあとに10分間動くトレッドミルに入れたラット(比較的まとまった睡眠がとれる)はLTPは正常であり、長期抑圧(LTD:long-term depression)とPPF(paired-pulse facilitation)は変わらなかった。

これらの結果は睡眠の断続化が空間記憶に悪影響を与えることを示している。海馬のCA1領域でのNMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体の問題がこれらの障害を引き起こす原因のひとつかも知れない。

  • Hippocampal synaptic plasticity and spatial learning are impaired in a rat model of sleep. fragmentation.(Eur J Neurosci. 2006 May;23(10):2739-48) PMID:16817877
※PPF(paired-pulse facilitation)とは神経細胞に2回短い間隔で刺激を与えて1回目の刺激と2回目の刺激での反応の大きさが大きくなるのをPPFという、小さくなることはpaired-pulse depresion(PPD)と呼ぶ、シナプスの伝達効率が悪い時にPPFが起こり、良い時にPPDが起こる。


2007.05.16

高脂血症薬、睡眠障害に効果? マウス、早寝早起きに

↑BTW

高脂血症治療薬として用いられるフィブレート系の薬物が、マウスの体内時計を早寝早起きに変えることを、産業技術総合研究所と早稲田大が突き止めたそうだ。睡眠障害の治療薬として期待出来るかもしれない。

産総研の大石勝隆らの研究によるとエサに0.5%フィブレートを与え続けると2週間で以前に比べて活動時間が3時間前にズレ、明るい時間帯から活動を始めるようになったそうだ。遺伝子解析によると、フィブレートの受容体であるPPARαが体内時計を調整していることも分かった。


2007.01.05

睡眠時無呼吸症候群の原因遺伝子はApolipoprotein Eε4?

↑BTW

 Keyword:睡眠時無呼吸症候群/2


2007.01.05

ナルコレプシーの原因遺伝子はオレキシン(ヒポクレチン)受容体2遺伝子

↑BTW

  • The Sleep Disorder Canine Narcolepsy Is Caused by a Mutation in the Hypocretin (Orexin) Receptor 2 Gene(cell Vol 98, 365-376, 6 August 1999)

 Keyword:ナルコレプシー/2


2007.01.23

睡眠時無呼吸症候群は治療マスクをつけても脳梗塞の危険性は高い

↑BTW

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている間に気道がせまくなって呼吸が頻繁に止まる病気で、1時間に30回以上無呼吸になると重症と判定される。無呼吸になると血液中の酸素が不足し、動脈硬化や血小板の凝固が置きやすくなることから脳梗塞や心筋梗塞の原因となる。

この治療には鼻にマスクをつけて空気を送り気道を広げる装置をつけるCPAP療法が有効だとされているが今回、明らかになったところによると、CPAP療法を行っても無呼吸状態は改善するものの、血液の固まりやすさなどは改善してないことが分かった。

 Keyword:脳梗塞/9


2004.12.16

睡眠障害にメラトニン摂取は意味が無いとアメリカの厚生省が発表(nikkei)


2004.06.23

大塚製薬の「おやすみ乳飲料ネムー(nemu)」はどれぐらい眠くなるか

メラトニン量からその効果を推定してみました。
2003.10.24

カテキンの次は「テアニン」がブームになるそうです(nikkei)

カテキンは「体脂肪を減らす」「アレルギー症状を減らす」などの効果があると言われる
緑茶に含まれる成分ですが、同様に緑茶などに含まれる「テアニン」は
脳に働きα派を出させる。すなわち睡眠障害の人に良いらしい

 Keyword:カテキン/4 脂肪/135 アレルギー/30 テアニン/1


2003.05.19

「睡眠」も生後、発達して成熟する

理化学研究所のヘンシュ貴雄らのグループは以前、「生まれた動物を片目をふさいだまま成長させる実験」で視覚機能も発達する事を確認しているが、今回、睡眠機能も同様に生後どんどん発達していくことを確認した。
研究者らは「生まれた時から成熟するまで完全な暗室で育てたマウスやネコ」と「生後1ヶ月は正常な昼夜のある環境で育て、その後暗室で育てたネコやマウス」を比べ、睡眠中の脳波を調べることで発見した。
これにより、ネコやネズミでは1〜2ヶ月(ヒトでは4歳〜8歳)をめどに睡眠機能は発達していくことを示した。
この結果はNature, neuroscience 2003/6に発表される

2000.10.08

9時間以上の睡眠は癌死亡率UP(Yahoo NEWS)

一日の睡眠時間が9時間以上の人は7〜9時間の人に比べて癌で死亡する確率が20〜30%も上昇し、ガン以外も含めた死亡率は60〜70%も高い事が6日の日本癌学会で報告されました。

ただ、睡眠時間が長い人、短い人で生活のバックグラウンドが違うでしょうから睡眠時間が直接の原因ではない可能性はあると思います。




Cation!!注意:このページには動物実験などで得られた研究段階の情報が含まれています。これらはなんら、人間に適用した時の効果を保証するものではなく、これらの情報を元にとった行動によりいかなる不利益を被っても管理人は一切責任を負いません。このページの話はあくまで「情報」としてとらえてください。