目に入る青色光の量で覚醒と眠気をコントロール可能。寝る前2時間のiPadで睡眠ホルモン「メラトニン」が20%減少
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2012.09.15

目に入る青色光の量で覚醒と眠気をコントロール可能。寝る前2時間のiPadで睡眠ホルモン「メラトニン」が20%減少

 カナダでは労働者の3分の1(およそ650万人)は夜に起きていたり、昼間に寝る必要があるそうだ。このような昼夜逆転生活が必要な職業は少なくなく24時間稼働する工場で働く人々の他にも、警察官や消防隊員、またトラック運転者なども当てはまる。このような生活をする人々の中には覚醒と睡眠をコントロールするためにコーヒーや栄養ドリンク、薬などに頼る人もいる。

 なぜ、夜働いたり昼間眠るのは困難が伴うのだろうか。近年の研究で人体は目から入る青色の光の量により昼と夜を認識していることが明らかとなり、この青色の光の量をコントロールすることで覚醒と眠気をコントロール出来ることが分かってきた。すなわち、覚醒したい時には目から入る青色光の量を増やし、これから眠りたいという時には目から入る青色光の量を減らせば眠気が訪れるのである。具体的に夜勤労働者の生活を改善することを考えた場合、下記の2つの方法が実施出来る。

1夜勤労働中に青色光を多く浴びる身体に夜を昼だと思わせる事が出来る。覚醒度が高まり感覚がとぎすまされる、疲れにくいなどの効果がある。青色の光をOFFにすると急激に疲れを感じるようになるそうだ。パルスで光を照射すると効果的。
2夜勤明けの朝に浴びる青色光を減らす速やかに眠ることが出来る。これは青色光をカットする特殊なサングラスで実現出来る(最後にサングラス販売ページへのリンクあり)

 たとえば、カナダの研究者Hebert教授らはカナダ警察官の協力を得て次のような研究を報告している。警察官が夜間のパトロールを行う際に、パトカー内に青色光を照射する装置を設置してもらったところ、通常よりも目が冴えた状態でパトロールを行うことが可能となった。そして勤務後は簡単に眠りにつくことが出来たそうだ。同様にカナダの郵便局と行った研究では夜勤の勤務時に職場の光を青色にすることにより労働効率が高まり、また勤務後は通常よりも平均40分多く眠ることが出来たそうだ。

 一方で、ディスプレイから発せられる明るい光による睡眠障害が近年問題となっている。液晶ディスプレイやタブレットは強い青色光を発しており、寝る前に強い青色光を浴びることにより眠気が妨げられるようだ。以下のような研究が報告されている。

 アメリカの光研究所(Lighting Reseach Center)の研究者らは寝る前のiPad使用が眠気にどのように影響するかを、血液中の眠気ホルモン「メラトニン」の量を比較し調べた。13人のボランティアを雇い夜寝る前(23時〜)に以下の3種類の条件でiPadを使用してもらいメラトニンの量を測定した。

条件1iPadを普通に使用する(ディスプレイの明るさ最大)。
条件2iPad使用時にさらに青い光を浴びせる(470nmの光)
条件3青色光をカットするサングラスを使用してiPadを使用する(525nm以下の波長の光がゼロ)

 使用開始から1時間後(午前0時)、普通にiPadを使用していた人(条件1)、青い光をあてられれながらiPadを使用していた人(条件2)の血液中のメラトニン量はなんとゼロであったのに対し、青色光をカットするサングラスを使用した人(条件3)ではメラトニンが検出された。使用から2時間後(深夜1時)には普通にiPadを使用していた人(条件1)からは少量のメラトニンが検出され始めたが青色光を浴びながらiPadを使用していた人(条件2)は依然メラトニンが検出されなかった。

光の強さ(相対値)1時間後のメラトニンの減少量(%)2時間後のメラトニンの減少量(%)
オレンジレンズ10
普通のタブレット187%23%
タブレット+青い光6048%66%

 血液中のメラトニンが増えると人間は眠気を感じる。今回の結果はiPadの使用時にディスプレイから発せられる青色光が眠気を阻害し深夜にも関わらず覚醒を促していることを示している。寝る前にはなるべく青色の光が目から入らないように注意することが重要かもしれない。

 このように目に入る青色光を増やしたり減らしたりすることで覚醒と眠気をコントロールすることが出来るようだ、青色の蛍光灯なども電気屋はホームセンターで手に入るし、青色をカットするサングラスも売られているので、これらの研究を元に自分自身で眠気をコントロールしてみてはどうだろう。

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