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健康食品から再生医療・アンチエイジング、バイオハッキングまで、健康情報の根拠となる最先端の研究を分かりやすく紹介します。
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2024.07.23(火)

臨床試験が進行中のIL-11に対する抗体医薬は老齢から投与してもマウスの寿命をオスで22.5%、メスで25%延長する

↑BTW

寿命や、健康寿命にとってERKやAMPK、mTORC1は重要な役割を担い「炎症」が中心的な役割を担っていることが報告されています。今回、研究者らはIL-6ファミリーである炎症誘発性サイトカインIL-11が寿命や加齢関連疾患に影響するかを実験しました。



マウスでは加齢とともに様々な臓器でIL-11量が増加し、ERK-AMPK-mTORC1経路を通じて細胞的、組織的、臓器的レベルで加齢を進めます。

研究者がIL11またはIL-11受容体を遺伝子的に欠損させると老化に伴う代謝的な衰えが消失しました。また遺伝子操作無しにIL-11に対する抗体を老齢になったマウス(75週齢)から25週間投与しても代謝や、筋肉の機能が改善し、老化に伴うバイオマーカーがオスメス問わず回復することが分かります。

そしてその結果、驚くべきことに遺伝子操作でIL-11を遺伝子的に欠損したマウスではオスメス平均で寿命が24.9%延長しました。そしてIL-11に対する抗体を75週齢から死ぬまで投与したマウスではオスで22.5%寿命が延び、メスでは寿命が25%延長しました。

IL-11に対する抗体は人間において肺の繊維症に対する治療薬として臨床試験が行われています。この臨床試験が進めば今回マウスで確認されたこの抗体医薬の加齢症状抑制効果や、寿命延長効果が人間でも起こるかどうかのトランスレーション研究が出来ると研究者は考えています。

IL-11に対する抗体医薬「BI765423」を開発しているのはベーリンガーインゲルハイム社ですね。

また米サンディエゴ拠点のLassen社は抗IL-11受容体抗体「LASN01」を開発しているようです

Category:#アンチエイジング・老化抑制技術

 Keyword:筋肉/180




2024.07.13(土)

現在までに分かっている2種類の「間欠断食ダイエット」が我々の健康に与えるメリットとデメリット

↑BTW

間欠絶食ダイエット(Intermittent Fasting:IF)は現在、人気のある健康増進&ダイエット方法の一つです。IFには大きく分けて2つの方法があり

  • (1)1日おきに断食を行う(alternate-day fasting)
  • (2)1日のうちに一定の時間を断食する(time-restricted eating)
があります。
1日おきの断食の場合は、完全に断食する場合と1食だけ(500ー600キロカロリー)食べるパターンなどがあり、少しだけ食べれる日が多い「5:2ダイエット」と言われる方法では1週間のうち2日間の絶食を行う方法もあります。

1日のうちで食べれる時間を減らす「Time-restricted eating」ではカロリーを摂取する時間を5ー10時間の範囲で減らします。名前のついている「16:8ダイエット」と言われる方法では1日に食事を出来る時間を8時間に限定し、残りの16時間は絶食します。

2種類のダイエットでの効果は似ており、研究によって異なりますが、脂肪の減少や体重の減少に加えて、血液中の健康に関わる指標の改善、血圧の低下が報告されており、Time-restricted eatingでは睡眠周期が安定し、記憶力と認知能力が上昇すると報告している研究もあります。また病気の改善という点では糖尿病症状の改善や、癌に対する免疫の向上などの報告もあります。

次にデメリットに関してです。

ある研究では性ホルモンの減少が報告されています。エストロゲンテストステロンの減少が報告されており、これは女性では生理周期の不安定化と生殖能力の低下、男性では性欲の減退を起こし得ることを意味しますが、別の試験ではこれらのホルモン濃度の平均値は変わってないとする研究もあります。

全体と通して、筋肉が減少する根拠はなく体重減少は脂肪と筋肉両方が減っていきます。絶食によりリバウンド的にジャンクフードに走る傾向が想像されるが、研究ではこれらの傾向は確認されておらず、血糖値や飽和脂肪酸濃度への影響、カフェイン摂取量や食習慣に関する影響も確認されていません。また病気を増やす証拠は報告されていません。

摂食障害を増やす証拠は報告されていませんが、臨床研究ではいつも除外される若い世代や摂食障害経験のある人では研究されていない点は注意が必要です。

まとめますと基本的に間欠断食ダイエットの悪影響は大きくなく、安全性は単純なカロリー制限ダイエットや地中海ダイエット、低GIダイエットと同程度であると結論されています。

Category:未分類

 Keyword:カフェイン/13 テストステロン/11 睡眠/177 糖尿病/148 脂肪/260



2024.07.09(火)

Profluent社がAIアシストゲノム編集オープンソースエディター「OpenCRISPR」を発表

↑BTW

Profluent社Webページから、酵素、抗体、遺伝子編集タンパク(CRISPRとか?)、タンパクなんでも編集可能とのこと。


LLM(large language models)で学習させたAIを用いてヒトゲノムの正確な編集に成功したとのこと。これを実現するために100万のCRISPRオペロンのデータセットと26テラbaseのゲノムのマイニングを使い何たらかんたら。

専門では無いのでどれぐらい凄いのかはちょっと読み取れませんでした。

Category:#ゲノム編集 #デザイナーズベイビー



2024.07.02(火)

2024年6月に紹介したライフサイエンスニュースまとめ

↑BTW

動画制作の練習中につき。ブログ記事からこの動画を作るのに2時間ぐらい。面倒すぎる・・・

Category:未分類



2024.06.28(金)

新型コロナウイルス感染により脳神経の老化が促進する。そして老化細胞除去薬Senolyticsはこの症状を抑制しうる(少なくとも脳オルガノイドでは)【Nature aging/2023年11月】。

↑BTW

老化に伴い神経変性疾患のリスクは上昇します。老化した細胞は最近はゾンビ細胞とも言われ、死んではいないが周囲に害をなす細胞として知られています。また一方で新型コロナウイルス感染により脳神経的な症状が生じることが報告されています。ブレインフォグと言われる意識にモヤがかかっているように感じる症状の原因がこれだと言われています。しかしながらこれまで脳における新型コロナウイルス感染と老化促進の関係はよく分かっていませんでした。

この研究者らによると、重篤な新型コロナ感染により死亡した患者の脳に老化細胞が通常よりも多く存在していることが分かったそうです。↓

出典:Senolytic therapy alleviates physiological human brain aging and COVID-19 neuropathology
研究者はこの研究でヒトの脳細胞オルガノイド中に蓄積した老化細胞が老化細胞除去薬セノリティクス(senolytics)で減少し、老化細胞により生じる加齢関連炎症を抑制し、老化関連の遺伝子転写を若返らせることを確認しました。使用したセノリティクスは4パターン、ナビトクラックス(Navitoclax)、BCL-2阻害剤ABT-737、イチゴなどの成分フィセチン、および抗がん剤とダサチニブと玉ねぎ成分のケルセチンの組み合わせとのことです。

ただ今回の研究は脳オルガノイドの研究です。生きている人がこれらのセノリティクスを摂取してその成分がしっかり脳に到達して効果を果たしうるかは臨床試験などを行い確認する必要があると思われます。

Category:#Senolytics #老化細胞除去薬

 Keyword:ナビトクラックス/5 フィセチン/220 ケルセチン/89



2024.06.24(月)

新型コロナウイルスに感染したことがある人は普通の風邪を50%ひきにくいことが統計調査で判明。ウイルスの共通たんぱく質nsp12とnsp13への細胞性免疫がポイント

↑BTW

人間は新型コロナウイルス(SARS-Covid19)に加えて、様々なコロナウイルスに感染しますが、これらの中にはHCoV-OC43のように普通の風邪の原因ウイルスとして知られているものが存在します。これらのウイルスは構造がよく似ていますが、新型コロナウイルスに感染することで得られた免疫がほかの風邪ウイルスにどれぐらい効果があるのかは良く分かっていませんでした。

今回、研究者は2020年11月から2021年10月にかけて病院にかかった4900人を調べました。その結果、新型コロナウイルスに感染したことがある人は普通の風邪(他のコロナウイルス)に感染する可能性が50%低いことが分かりました。

新型コロナウイルスへの感染で生じたどの免疫が効果があるかを調査したところ、コロナウイルス共有の非構造たんぱく質nsp12とnsp13に対する細胞性免疫(CD8+T細胞免疫)が風邪にかかりにくさに影響していることが分かりました。

Category:#感染症 #新型コロナ

 Keyword:風邪/113



2024.06.20(木)

ルテインを外国製(ナウフーズ)から国産に変更。円高で海外サプリの価格メリットが無くなっているね

↑BTW



これ

1粒25mgのルテイン入り×60粒で1500円ほどなので1粒25円。ゼアキサンチン、アスタキサンチンも入っている。
これまで飲んでいたのはナウフーズのやつ
2年前は1粒20mgで18円だと書いていたのですが、円高のせいか今買おうとすると20mg1粒が36円の計算なので1mgあたりの価格が1.8倍になってしまう。

(省略されています。全文を読む

Category:#サプリメント

 Keyword:ルテイン/3



2024.06.18(火)

癌のあるマウスに週に2回24時間の断食を行うだけでNK細胞が活性化し癌と戦う力が増強する

↑BTW

アメリカMSK病院がんセンターの研究者がマウスを使った実験で、絶食によりガンと戦う免疫細胞の機能が活性化することを報告しています。

実験ではがん細胞を移植された実験用マウスに1週間に2回の24時間絶食をさせています。絶食することで血糖値が低下し脂肪組織から放出される脂質が血液中に増えますが、NK細胞は絶食によりエネルギー源として糖ではなく脂肪を使うようになるとのこと。

腫瘍の中はがガン細胞が糖を使いつくしてしまい通常のNK細胞が働きにくい環境となっていますが、絶食を通じて脂質をエネルギー源として使えるようになったNK細胞はより強力にがん細胞を攻撃出来るようです。

絶食はこれまでにも脂肪を減らしたり、代謝を高めたりする効果が報告されていますが、これに免疫機能を高めがん治療効果を高める作用が見つかったわけです。

ところで余談ですが、今回の実験では週2回の断食期間以外はマウスは自由に食事出来るためマウスに体重減少は起こなかったとのことです。これってダイエット観点から見ると興味深いですね。週に2回絶食してもそれ以外の期間好きに食べると体重は減らないことを意味していると言えます。

Category:ガン・腫瘍



2024.06.06(木)

50万人を40年追跡調査した研究から服用していると長生きする市販薬が4つ発見される。1つはバイアグラ

↑BTW

これまでにもメトホルミンSGLT2阻害剤ラパマイシンなどの薬が寿命を延ばす効果があることが報告されています。今回、スイスの研究者がUKのバイオバンクのデータを用い50万人以上の患者を40年以上にわたり追跡調査を行い406種類の処方薬の服用経験と死亡率の相関関係を調査しました。


出典:Association between prescription drugs and all-cause mortality risk in the UK population
予想していた通り、多くの薬は生存率を低下させる方向に働いている結果が得られました。これは薬が身体に悪影響を及ぼしていると考えるほかに、薬は病気を治療するために飲んでいるわけで、薬の服用は何かの身体の異常が存在することを示しているためこのような結果になっているとも言えます。

そして面白いことに、統計上は一部の薬の服用者は死亡率が低いとの結果が出ています。もっとも死亡率を低下させているように見える薬4つは、高コレステロール治療薬として使われるatorvastatin、バイアグラの成分sildenafil、鎮痛薬naproxen ホルモン補充薬estradiolでした、次点でその他のエストラジオール補充薬や、外耳炎治療薬otomize、テトラサイクリン系抗生物質Lymecyclineが死亡率を平均的な人よりも下げているように見えることが分かりました。

(省略されています。全文を読む

Category:統計(寿命・その他)

 Keyword:飲酒/13 抗生物質/13 ラパマイシン/24 メトホルミン/21



2024.05.31(金)

バイオコンピューティングを目指すスタートアップ企業「FinalSpark」によるミニ脳16個を使った「バイオプロセッサ」月額500ドルのサブスクでオンライン利用可能

↑BTW


 現在AI技術の進歩が目覚ましいですが、従来のAIはシリコン半導体ベースのプロセッサを使っておりその膨大な消費電力が問題になっています。スイスのスタートアップ起業「FinalSpark」は脳細胞を使ったバイオコンピューティングを目指しています。今回発表されたシステムは人間のiPS細胞から作られた16個の脳オルガノイドを連結したバイオコンピューティングシステムです。

 1つの脳オルガノイドには8つの電極が装着されており、個々の電極は30kHzのサンプリング周波数と16ビットの解像度でデータの入出力が可能になっています。また、脳オルガノイドは自動培地交換システムに接続されており24時間ごとに培地交換されカメラ監視システムでメンテナンスされています。同社が提供するプラットフォーム「Neuroplatform」を介して研究者は月額500ドルのサブスクでこのバイオコンピューティングシステムにアクセスし研究可能とのことです。

理論上は従来の半導体AIと比較し100万分の1以下の低消費電力を実現可能と考えられるそうです。

Category:#生物ー機械インターフェイス

 Keyword:iPS細胞/37