↑B
2012.12.10
脳波を計りながらヘッドフォンで音を聞くだけの不眠症治療「HIRREM」
現代社会では多くの人が不眠症に悩んでおり症状を改善するために色々な事が試されています。たとえば寝る前に暖かいミルクを飲むといった簡単な方法からメラトニンのタブレットを飲む(日本では売られていない)、また不眠症用の薬を処方してもらうまで様々です。しかしこれらは効果も様々で副作用があることもあります。
今回、薬などに頼らず特殊なヘッドフォンで音を聞くだけで劇的に不眠症を治療出来る方法が報告されていましたので紹介します。この研究を発表したのはアメリカの研究者ら。HIRREM(High-resolution, relational, resonance-based, electrocephalic mirroring)という技術を用いています。
研究者らは、20人(平均年齢45歳、女性14人男性6人)の不眠症症状のある人をボランティアとして雇いました。不眠症の度合いはISI(Insomnia Severity Index)という指標で0〜28の数値で表すことが出来ますが、今回雇ったボランティアのISI数値の平均は18.6で中度〜重度の不眠症と診断される人達です。
行われたHIRREM治療の概念図を以下にしまします。(Brain State technologies社のWebページより)
まず頭の左右に脳波を測定するセンサーを取り付けて左脳と右脳の脳波を別々に測定します。そして脳波をチェックしながら片側の耳から色々な音を聞かせ左右の脳波が同じになるように誘導していきます。
人間の脳は言語は左脳、音楽は右脳といった役割分担があり、たとえば右耳で聞いた言語は左脳まで伝達されます。この治療では左右の脳の連携トレーニングがされるわけです。1回の治療は1時間〜1時間半ほど。この治療をボランティアに3週間の間に8〜12回程度受けてもらいました。
治療の結果、不眠症の改善が見られました。ISIの平均値が10.3も減少したのです。これは「不眠症では無い」または「軽い不眠症」と判断される数値です。この効果は治療を終えてから1ヶ月後でも悪化することなく続いていました。
人間の左脳と右脳は連携して働いていますが、いったんトラウマ・心配事や重度のストレスなどがあると連携がとれなくなり、この状態が不眠症につながると研究者らは考えています。このHIRREM治療は音を聞かせるという簡単な方法で左右の脳の連携を回復させ不眠症を改善出来るのです。
今回の実験は少人数で行われたものであり、また、この手の実験では思いこみで症状が改善する効果を除外するためにプラセボ(今回の場合は治療するふりをして実は治療をしない患者)を設け比較することが重要です。研究者らは次の実験では大人数を雇い詳細な検討を行うことを計画しています。
アメリカのBrain State Technologiesという会社は、既にこの技術を元にBrainwave Optimizationという名前で不眠症治療を実施しているそうです。
Category:睡眠
Keyword:脳波/10
コメント
この記事のアクセス数: ↑B [RSS]■■ このカテゴリーのその他の記事■■
■■他サイトの関連記事(自動)■■
脳波
■■ 最近アクセス数の多い記事 ■■