慢性的な睡眠不足が身体に及ぼす具体的な影響
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2012.10.15

慢性的な睡眠不足が身体に及ぼす具体的な影響
Lack of sleep affects bone health and bone marrow activity

 睡眠不足が続くと身体に悪影響を及ぼすことは一般的に信じられていますが、どのような悪影響があるかについてははっきりと知られていません。今回、アメリカ・ウィスコンシン医科大学の研究者らは慢性的な睡眠不足が骨の健康状態血液を作る機能に重大な影響を与えていることを動物実験により発見し報告しています。

 研究者らは、大ネズミ(ラット)を使って実験を行いました。ラットを慢性的な睡眠不足にするために特殊な飼育ケージを自作し、その中にラット入れてました。この飼育ケージは稼働させると一定時間ごとに全体が6秒間だけ回転するようになっているため、ここに入れられたラットはよく眠ることが出来ません。実験では飼育ケージのスイッチを10日間ON→2日間OFFを6回繰り返し合計72日間飼育した後に、ラットの身体にどのような影響が起きているかを分析しました。ラットにとっての72日間は人間の人生に換算するとおよそ8年に相当します。

(結果)
 睡眠不足状態が72日間続いたラットでは骨を作る働きが正常なラットの45分の1に低下しており骨の厚さが減少していました。また、骨を壊す破骨細胞の働きを示す血中のマーカーTRACP 5bが上昇していました。人間も含め哺乳類の骨は絶えず破壊と再作成を繰り返して健康な骨を保っていることが知られていますが、睡眠不足により骨形成と骨分解のバランスが崩れ、いわば骨粗鬆症の状態が引き起こされていることになります。

 また影響は骨だけには留まっていませんでした。骨の中には「骨髄」という血液を作る仕組みがありますが、骨髄の一部「赤色骨髄」中の脂肪は正常な時に比べ37%に減少しており、また血小板を作り出す細胞として知られる「巨核球」の数が2倍に増えているのが観察されました。多すぎる血小板は血管を詰まりやすくすることが知られています。

 ラットの結果が人間に直接当てはまるかどうかは確認する必要がありますが、人間においても睡眠不足は直接生命に関わるような影響は起こさないものの、骨と血液を通じて病気になるリスクを上昇させているかもしれません。

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