老化細胞を除去するCAR-T治療法でマウスの若返りに成功
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2020.09.11

老化細胞を除去するCAR-T治療法でマウスの若返りに成功


図出典:Senolytic CAR T cells reverse senescence-associated pathologies, Nature volume 583, pages127?132(2020)
老化細胞を除去する作用のある薬を使用した延命の研究は色々と行われていますが、今回、CAR-T細胞を用いた老化細胞の除去と若返りに成功した研究が発表されています。

細胞の老化は細胞増殖の停止と分泌プログラムによる組織の微小環境の変化から構成される。これは生理学的には老化は癌形成を抑えるメカニズムであり、創傷治癒に重要な役割を担う。病理学的には異常な老化細胞の集積は炎症を引き起こし臓器の慢性的ダメージを引き起こし、肝臓や肺の繊維化、動脈硬化、糖尿病、変形関節症といった病気を引き起こす。老化細胞の除去はマウスにおいてこれらの病態を改善し、長寿を実現することが報告されている

今回研究者らは薬物投与ではなくCAR-T細胞療法(遺伝子改変した免疫細胞を細胞移植、癌治療のより強力な方法として盛んに研究されている)による老化細胞の除去を試みている。研究者らはuPARを老化細胞の目印として使用しin vitro、in vivoにおいて作用することをマウスにおいて示しています。治療のデモンストレーションでは老化が促進される薬を投与されたマウスの寿命を延ばし、人工的に肝臓の繊維化を起こさせたマウスの病態を改善しています。

これまでに報告されている老化細胞除去による延命作用に関しては下記の論文が引用されています。
  • He, S. & Sharpless, N. E. Senescence in health and disease. Cell 169, 1000-1011 (2017).
  • Sharpless, N. E. & Sherr, C. J. Forging a signature of in vivo senescence. Nat. Rev. Cancer 15, 397-408 (2015).
  • Baker, D. J. et al. Clearance of p16Ink4a-positive senescent cells delays ageing-associated disorders. Nature 479, 232-236 (2011). PMID:22048312
  • Baar, M. P. et al. Targeted apoptosis of senescent cells restores tissue homeostasis in response to chemotoxicity and aging. Cell 169, 132-147 (2017). PMID:28340339
  • Childs, B. G. et al. Senescent intimal foam cells are deleterious at all stages of atherosclerosis. Science 354, 472-477 (2016).PMID:27789842
uPARが老化細胞の目印になるという話は下記論文で元ネタのようです。
  • Smith, H. W. & Marshall, C. J. Regulation of cell signalling by uPAR. Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 11, 23?36 (2010).

Category:#Senolytics #老化細胞除去薬




コメント

いいっすね!=17
001 [09.12 02:02]ふぁ★1:「肺癌にかかり老化が促進される薬により治療されたマウスの寿命を延ばし」って変やで?。Articleを見ると、老化を誘導する薬剤の併用で処理した肺腺癌マウスの生存を延長…が妥当ちゃうか。つまりこの場合のtreatedは治療と訳したらあかんやろ。 (6)
002 [09.12 11:43]ふぇちゅいん(管理人) TW★76:サンキュー、abstractしか読んで無くて適当に訳してしまいました。修正します。 (5)

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