2025.08.05
定期的な運動は腸管の幹細胞においてReg3gやWntシグナルを経ての老化を抑制することで腸を健康に保つ作用を示す
老化は組織と細胞の段階的劣化プロセスであり、加齢関連疾患の原因ですが、腸管の老化において腸管の幹細胞の枯渇が起こることが知られています。これにより腸管の再生能力が失われ、腸管の機能が損なわれます。
腸管は全身に必要な栄養の吸収臓器であるため、腸管の不調は全身の健康が損なわれることになります。
一方で、老化にあらがう方法として知られる方法の1つとしてよく知られる定期的な運動があります。本研究では定期的な運動がマウスにおいて腸管の老化をどのように抑制しているかを明らかにしています。
研究者は22カ月令の高齢マウスを2つのグループに分け、片方のグループには定期的な運動させ、2つのグループの腸管を比較しています。比較方法としては単細胞RNAシークエンスを用いており、定期的な運土うを行ったマウスでは腸管細胞においてDNA複製と細胞分裂のシグナルカスケードが活性化され、リボソームの生合成を促進する遺伝子が腸管幹細胞で活性化することが見出されました。
さらに、Wntシグナルに阻害がかかり(これは腸管幹細胞の分化を改善する)、Reg3gの発現をPaneth細胞で高め、腸管のバリア機能を向上させていました。
このように運動は腸管の幹細胞の老化を様々な経路で抑制することで腸管の老化を抑制し、全身の健康に良い影響を与えていると考えられます。
Category:#運動 #エクササイズ
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幹細胞
Wntシグナル
Wntは細胞極性に関わるタンパクでガンや発生段階など様々な研究分野で登場する。
当初はショウジョウバエで研究されており、Wntが壊れるとハエが無くなることで有名だそうだ。
いくつか種類が知られ、Wntとその受容体frizzledの組み合わせで3種類のどれかの細胞内経路が活性化する。
Wntシグナルの関する日本語総説一覧
Wntシグナル経路マップ(エーザイHP)
wikipedia
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