キーワード分類ページ ↑B

インスリン


(insulin)
.wikipedia

----------このキーワードを使っている記事----------
2001.08.21:異種のすい臓細胞を使って免疫拒絶の無い人工すい臓を作った
2000.05.01:遺伝子導入によりマウスの肝臓に膵臓の機能を与えた。
2024.02.01:これまでに実施されたNMN(ニコチンアミド)の臨床試験のまとめレビュー(2023年11月報告)
2021.08.14:ついに2型糖尿病患者への週1回注射のGLP-1/GIP作動薬がインスリンによる治療効果を上回る
2021.07.06:1日250mgのNMNサプリメントを毎日服用する高齢女性の臨床試験でメタボ機能の改善が確認された
2019.06.20:老化とともに血液中の量が減少する酵素「eNAMPT」を注射してマウスの寿命を延ばすことに成功
2019.05.17:パンや菓子などに使われる保存料「プロピオン酸」が1gで糖尿病・肥満の原因になるとの研究結果が発表
2019.02.25:デジタルヘルス時代の幕開け、Hygieia社の糖尿病患者向けインスリン投与量アドバイスアプリがアメリカFDAで承認、臨床試験で健康上のメリットがあることも確認される
2019.02.19:ロタウイルスワクチンが子供の一型糖尿病発症を防ぐとの研究結果。2007年にワクチン導入したオーストラリアで発症率14%減少
2017.09.01:史上最大の薬害事件?ノンカロリー人工甘味料は逆に太りやすく、高血圧、糖尿病、心臓病、各種メタボ病リスクを上昇させる。
2017.07.31:「においだけで太っちゃう!!」は本当だった。嗅覚遮断で食事量を減らさなくても脂肪が減少するとの実験結果
2016.07.11:ママの妊娠前のメタボな食生活は筋肉中ミトコンドリアにより3世代先の子孫まで「太りやすさ」として伝わる
2016.03.07:学術雑誌Nature Medicineで「老化抑制」という「副作用」が知られる薬まとめ
2014.11.21:毎朝1グラムのウコンを摂れば前糖尿病患者の記憶力低下を防ぐ事が出来る
2013.12.11:医学界No1の学術誌Nature Medicineが選ぶ2013年の医学の重要な進歩8つ
2013.07.22:空腹時に作られるホルモンFGF-21が常に出続ける遺伝子改変ネズミは寿命が30%以上長い
2013.07.16:母乳の量が十分でない女性が増えている理由が解明される。
2011.07.15:ワインに含まれる老化抑制物質「レスベラトロール(Resveratrol)」これまでの研究まとめ(1)
2010.12.21:たくさん食べる人は空腹時に運動することが重要
2008.09.29:ヒト皮膚細胞から作ったiPS細胞からインスリン産生細胞を作り出した
2008.06.13:長生きするには運動だけではダメで、食事制限も必要。
2008.03.21:膵臓は4E-BP1を使って糖尿病を防いでいる
2008.03.10:長寿に人に共通の遺伝子変異が見つかる
2007.10.31:ブタのES細胞は免疫抑制剤無しで糖尿病のサルを治療しうる
2007.10.10:アルツハイマー痴呆症は脳が糖尿病になるようなもののようだ
2007.09.12:ヒトのES細胞からインスリンを分泌するすい島(すい臓)様の固まりを作ることが出来た
2007.08.27:糖尿病の原因は大量に食べたにも関わらず皮下脂肪が増えなかったため?
2007.08.10:遺伝子操作した植物で糖尿病治療
2006.12.14:インスリンを直接皮膚に塗ると傷の治りが早くなる
2006.11.30:糖尿病治療:食欲促進ホルモンがインスリン分泌を抑制
2006.10.24:次世代糖尿病治療薬「リラグルチド」のPhase IIデータ発表。良い感じ
2006.10.11:p16(INK4a)タンパクが加齢に伴う老化を引き起こす
2006.07.24:ベイラー(Baylor)大学の研究者がマイクロバブルでインスリン遺伝子をすい臓細胞に導入する技術を開発
2005.10.13:インスリンの分泌抑制物質を発見、糖尿病の新しい治療法の可能性
2005.10.03:キトサンスポンジを使って膵臓を再生する
2005.09.27:インスリン注射不要に? 膵臓細胞量産、岡山大など開発(asahi)
2005.08.26:Kloho(クロトー)というホルモンで老化が抑制される(science)
2005.04.18:GLP-1を大量に摂取すると賢くなる。
2003.04.23:肝臓でインスリンを作らせる方法
2003.02.10:オタマジャクシの体内で肝臓に膵臓機能を持たせる事に成功
2003.01.01:遺伝子操作によりオタマジャクシの体内で肝臓細胞をすい臓細胞に変換した
2002.08.02:摂取カロリーを抑えることでヒトでも寿命が延びる?
2002.04.10:子供の近視はパンが原因?((その他))

2001.08.21

異種のすい臓細胞を使って免疫拒絶の無い人工すい臓を作った
異種のすい臓細胞を使って免疫拒絶の無い人工すい臓を作った

京大再生研の井上一知教授らのグループは、正常なマウスのすい臓から取り出した細胞を異なる種類の糖尿病マウスに移植して、免疫抑制剤無しに糖尿病症状を改善する事に成功した。現在はブタの細胞をイヌに移植する実験を計画しており、将来はブタ細胞を用いてヒトの糖尿病患者の治療を目指す。
今回、研究者らが取った方法は、取り出したすい臓細胞を免疫に関する物質は通さないが、インスリンは通過出来る特別な高分子膜で覆い、それをさらに高分子繊維のメッシュの袋に入れ人工すい臓として皮膚の下に移植した。結果、移植されたマウスは免疫抑制剤を投与することなく、3ヶ月間糖尿病の症状が改善した。

最後に高分子繊維のメッシュで包むのにはどういう意味があるのでしょう?
炎症反応を激しくして血管を血管を引っ張ってくるのかな?

っていうか、マウスのすい臓ってどこ?誰か教えてー
脂肪と見分けがつきません。
俺のお腹の中もこんな感じで脂肪がつまってるのかなぁ。。。。

Category:人工すい臓・糖尿病




2000.05.01

遺伝子導入によりマウスの肝臓に膵臓の機能を与えた。
遺伝子導入によりマウスの肝臓に膵臓の機能を与えた。

 インスリンは血液中の糖分が高くならなくするために必要な物質であり、これは通常膵臓のβ細胞で作られている。糖尿病患者の一部はこのインスリンがうまく作られないことが原因である。今回、この研究者達は膵臓のβ細胞でインスリン生産を指示する遺伝子である「pdx-1」を持つアデノウイルスを用いてこの遺伝子を肝臓に導入した。

 導入されたマウスの肝臓ではインスリンが作り出され、血中のインスリン濃度を300%上昇させ、また実験的に作り出した高血糖のマウスの症状を改善させた

Category:人工すい臓・糖尿病




2024.02.01

これまでに実施されたNMN(ニコチンアミド)の臨床試験のまとめレビュー(2023年11月報告)
これまでに実施された[[NMN]](ニコチンアミド)の臨床試験のまとめレビュー(2023年11月報告)

↑BTW

下記の図は論文に掲載されているもので、左側にマウス動物実験から得られている効果の一覧、右側が臨床試験において人間で効果が確認された作用の一覧になっています。

出典:The Safety and Antiaging Effects of Nicotinamide Mononucleotide in Human Clinical Trials: an Updateより

★マウスで確認された効果

★臨床試験で確認された効果
  • 安全性:基本的に安全
  • 睡眠:改善無し
  • 生理的能力:加齢に伴う筋肉の機能不全からの保護、身体機能の向上
  • 眼:効果は見られてない
  • 聴力:高齢者での聴覚の改善
  • 認知能力:効果は見られていない
  • 糖尿病:筋肉のインスリン抵抗性の改善
  • テロメア:テレメアの延長作用
う〜ん。。。。。改めて非常に効果がショボいような気がする。
俺の理解が間違ってなければ、NMN投与でマウスの寿命は変わらないんだよね。健康寿命が延びれば平均寿命に影響は与えると思うんだけど。。。。

マカとビタミンBで得られる効果程度じゃないか?

Category:ニコチンアミド・NMN




2021.08.14

ついに2型糖尿病患者への週1回注射のGLP-1/GIP作動薬がインスリンによる治療効果を上回る
ついに2型糖尿病患者への週1回注射のGLP-1/GIP作動薬がインスリンによる治療効果を上回る

↑BTW

合計1200名程度の臨床試験。52週間でHpA1cgが2程度減少。体重が10kg程度減少。


インスリンでは見られない体重減少効果が凄いな。副作用としては10%程度で吐き気、貧血、食欲現象などが見られる感じ。

Category:人工すい臓・糖尿病




2021.07.06

1日250mgのNMNサプリメントを毎日服用する高齢女性の臨床試験でメタボ機能の改善が確認された
1日250mgのNMNサプリメントを毎日服用する高齢女性の臨床試験でメタボ機能の改善が確認された

↑BTW

人間に投与する臨床試験で健康効果が直接確認された臨床試験は初めてでは?Science誌で発表されています。こんな臨床研究がScienceってちょっとビックリ。NMNが世間的に注目されているからでしょうか?

論文概要
げっ歯類では肥満や老化がNAD+の生合成を阻害し生体内の代謝を妨げることが知られている。NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)は哺乳類のNAD+生合成においてボトルネックである。研究者らはNMNサプリメントのメタボ機能への効果を確認するために10週間のプラセボ対称二重盲目試験を行った。

参加者は閉経後の肥満気味の高齢女性25人。1日250mgのNMNサプリメントを飲んでもらった。インスリン抵抗性の評価を行い。骨格筋のインスリンシグナルへの反応をを評価した。AKTとmTORのリン酸化がNMNサプリ服用後に上昇したが、プラセボ服用では上昇しなかった。NMNサプリはPDGF受容体βと筋肉の発達に関わる遺伝子を活性化した。

これらの結果はNMNサプリメントが筋肉のインスリン抵抗性を増加させることを示している。

臨床試験番号:clinicaltrial.gov NCT 03151239

研究を行ったのはワシントン大学の日本人研究者ら。ん?筆頭2人は夫婦か?。女性を筆頭にしてequal contibuteとか、いちゃついてんじゃねーぞw

Category:ニコチンアミド・NMN




2019.06.20

老化とともに血液中の量が減少する酵素「eNAMPT」を注射してマウスの寿命を延ばすことに成功
老化とともに血液中の量が減少する酵素「eNAMPT」を注射してマウスの寿命を延ばすことに成功

↑BTW


論文のGraphical Abstractより。EVsに包まれたeNAMPTは各種臓器でNAD+の生合成を上昇させ、すい臓ではインスリン合成を、網膜では光受容体の活動を、海馬では認知能力を上昇させ、また視床下部(Hypothalamus)ではSIRT1活性(サーチュイン)を上昇させ、身体活動を上昇させ、睡眠のクオリティーを上昇させる
(論文要約)老化は人体の機能を低下させ、慢性疾患を生じさせる重大なリスク要因である。加齢に伴って減少する全身血液中のNAD+量が老化のプロセスに重要な役割を担っていることは多くの動物種で知られているが、今回、研究者らは全身の血中を巡っている細胞外ニコチンアミドリン酸化リボシルトランスフェラーゼ(eNAMPT)も老化に伴い劇的にマウスやヒトにおいて減っていることを示す。

 研究者らはマウスを遺伝子操作し、脂肪細胞にeNAMPTを多く作らせるようにすることでマウスで健康寿命が延びること、また、eNAMPTは細胞外小粒子(EVs)で輸送されており細胞内に入りNAD+の生合成を上昇させる作用を持つが。若いマウスの血液から取り出したeNAMPT入りEVsを老化マウスに投与するだけでも運動性を上昇させ、寿命が延長することを実験で示しており間違いないと考えられる。

今回の発見はeNAMPT入りEVsを医薬品として開発すれば老化抑制し、アンチエイジングを強力に起こす可能性を示していると言える。

Category:#アンチエイジング・老化抑制技術




2019.05.17

パンや菓子などに使われる保存料「プロピオン酸」が1gで糖尿病・肥満の原因になるとの研究結果が発表
パンや菓子などに使われる保存料「[[プロピオン酸]]」が1gで糖尿病・肥満の原因になるとの研究結果が発表

↑BTW

小麦粉やチーズの保存料として使われる「プロピオン酸」が、体内のホルモン濃度に作用して、糖尿病・肥満の原因となりうることが、マウス・人間を用いた研究結果により報告されています。この作用はホルモン濃度を介して回りくどく起こっているため、これまで見落とされていたようです。実験では14人の健康なボランティアを雇い2つのグループに分けた後、1gのプロピオン酸を混ぜた食事と、混ぜない食事を食べさせ血液中の糖尿病・肥満に関わるホルモンの状況を比較しています。

プロピオン酸を含む食事をしたグループではノルエピネフリン、グルカゴン、FABP4(fatty acid-binding protein 4)濃度の上昇が見られました。これらのホルモン濃度上昇は、肝臓細胞から血液中への糖分放出を促します。結果として、「インスリン抵抗性」など肥満・糖尿病に繋がる現象を起こすようです。マウス実験では、実際に連続してプロピオン酸を与えることで、血糖値上昇、体重増加を示すことも確認出来たとのことです。

Wikipediaによるとプロピオン酸は「チーズ」や「小麦粉」の保存料として使われるようです。

ただ、海外ではよく使われているようですが、日本では現在あまり使われていないみたいですね。少しスーパーなどで探してみましたが見つかりませんでした。業務スーパーとかにはあるらしい↓
他にもネット検索すると、使っている商品は見つかります。
「保存料」として少量使われる場合は、量が記載されていませんが、1kgあたり2.5g以下添加して使用する決まりがあるようです。↓
実際にどれぐらい入っているか不明ですが、上限いっぱいのプロピオン酸が入っていたらその製品を1日400g食べると、この実験と同じ効果(肥満・糖尿病のリスク増加)の効果が起こると言えます。

Category:ダイエット・メタボリックシンドローム




2019.02.25

デジタルヘルス時代の幕開け、Hygieia社の糖尿病患者向けインスリン投与量アドバイスアプリがアメリカFDAで承認、臨床試験で健康上のメリットがあることも確認される
デジタルヘルス時代の幕開け、Hygieia社の糖尿病患者向けインスリン投与量アドバイスアプリがアメリカFDAで承認、臨床試験で健康上のメリットがあることも確認される

↑BTW

クラウドまで使って個人ごとに最適なインスリン投与量を算出してくれるシステム「d-Nav」だそうです。臨床試験においては従来通りのインスリン自己投与を行ったいた人が1%±1%のHbA1c低下を達成したとのこと。あまり詳しくないのですが、最近では長時間持続型インスリンのランタスとかあるので最適な投与量が直観的に分かりにくいのでしょうか?

このまま進んで、血糖値測定→投与量算出→投与まで全自動におこなって、体内に埋め込めば、それは人工すい臓みたいなものになりますが、ちょっとハッキングが怖いですかね。
(省略されています。全文を読む

Category:#生活習慣




2019.02.19

ロタウイルスワクチンが子供の一型糖尿病発症を防ぐとの研究結果。2007年にワクチン導入したオーストラリアで発症率14%減少
ロタウイルスワクチンが子供の一型糖尿病発症を防ぐとの研究結果。2007年にワクチン導入したオーストラリアで発症率14%減少

↑BTW


GSK社Webページより
オーストラリアでの研究です。2000年〜2015年に生まれた16159人を調べたところ、ワクチン導入(2007年)後に生まれた0〜4歳において一型糖尿病の発症率が14%低下していたそうです。ロタウイルスの発症と一型糖尿病の関係は以前から報告されています。報告されているメカニズムとしては、ロタウイルスの表面構造(ペプチド)がすい臓β細胞のペプチドと似ているため、自然ロタウイルス感染時に生じる過度の免疫反応により、ロタウイルスと一緒にすい臓β細胞が破壊され一型糖尿病を発症しうるというものです。

今回の統計調査はこのメカニズム的な仮説と矛盾しない結果といえます。

しかし、うちの子も「ひどい下痢防止」な意味で打ったけど、ロタウイルスワクチン高いんだよねー。1回14000円の2回投与。一型糖尿病自体が発症率はそんなに高くないので医療経済的には割の合わない投資かもしれませんが、もう少し負担を減らして欲しいところです。


(省略されています。全文を読む

Category:#感染症 #新型コロナ




2017.09.01

史上最大の薬害事件?ノンカロリー人工甘味料は逆に太りやすく、高血圧、糖尿病、心臓病、各種メタボ病リスクを上昇させる。
史上最大の薬害事件?ノンカロリー人工甘味料は逆に太りやすく、高血圧、糖尿病、心臓病、各種メタボ病リスクを上昇させる。

↑BTW

 「アスパールテーム」などのノンカロリーの人工甘味料はカロリー摂取を減らす目的で世界中で広く使われていますが、その長期的な健康への影響は不明です。研究者らはこれまで報告された多数の研究を調べるメタ研究を行ったところ、太りにくいどころか様々な健康への悪影響が報告されていることが分かりました。

 研究者は調査にあたり、対象者をランダムで選んでいたりする信頼性の高い試験のみをピックアップしています。1万1774の研究報告の中から、7つの試験(参加者1003名、6ヶ月間追跡調査)と30の調査(40万5907人を調査、10年間追跡調査)をメタ解析した結果、人工甘味料はBMIに与える有意な影響はないか若干BMI増加に働いており、逆に体重、ウエストの太さ、肥満発生、高血圧、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、心血管障害の発生に関連している傾向が確認されました。

 人工甘味料がこのような悪影響を起こすメカニズムは諸説報告されています。摂取により糖分を摂取した時と同様にエネルギーため込みを指令するインスリンの分泌を促し、逆に低血糖状態を作り出し食欲を増進する、腸内細菌を変え、太りやすい体質にしてしまうなど様々です。

大企業も「ダイエットコーク」なんて名前でドリンク売るのは止めないとそろそろ訴えられるかもしれませんね。


(省略されています。全文を読む

Category:ダイエット・メタボリックシンドローム




2017.07.31

「においだけで太っちゃう!!」は本当だった。嗅覚遮断で食事量を減らさなくても脂肪が減少するとの実験結果
「においだけで太っちゃう!!」は本当だった。嗅覚遮断で食事量を減らさなくても脂肪が減少するとの実験結果

↑BTW

 「におい」は食欲や、食べ物の選別を担っていますが、それ以上の働きがあることが分かりました。この研究を行ったのはアメリカ・カリフォルニア大学の研究者ら。研究者は遺伝子操作により嗅覚(Olfactory sensory neuron)を働かなくしたマウスが高脂肪食を食べさせても太らないことを実験で証明しています。

 驚くべきことに嗅覚除去により「におい」を感じなくなったマウスでも食べる量は変わりなく、脂肪細胞のβアドレナリン受容体が活性化し、脂肪分解を促進、熱を作り出す褐色脂肪細胞が増え、体重増加が抑制されるようです。さらに、インスリン抵抗性も改善するとのこと。

 研究者らは、逆に遺伝子工学的に一時的に嗅覚を高めることにより脂肪蓄積が起こり、インスリン抵抗性になることも実験で証明しています。

 これらの仕組みを活用したダイエット薬が開発可能かもしれません。また、ダイエット中の人は美味しい「におい」をかがないようにすることが重要かもしれません。


(省略されています。全文を読む

Category:ダイエット・メタボリックシンドローム




2016.07.11

ママの妊娠前のメタボな食生活は筋肉中ミトコンドリアにより3世代先の子孫まで「太りやすさ」として伝わる
ママの妊娠前のメタボな食生活は筋肉中ミトコンドリアにより3世代先の子孫まで「太りやすさ」として伝わる

↑BTW


Maternal Metabolic Syndrome Programs Mitochondrial Dysfunction via Germline Changes across Three Generations. Cell Rep. 2016
 新しく産まれたって何もリセットされちゃいない。そんな現実が明らかになりました。妊娠中どころではありません、妊娠前のママの食生活が卵細胞のミトコンドリアに悪影響を与え、確実に子孫に「太りやすさ」という性質として受け継がれることをマウスを使った実験で実証に報告しています。

 この研究を行ったのはアメリカ・ワシントン医科大学の研究者ら。メスのマウスに高脂肪食(脂肪が59%を占める)を6週間食べさせ、普通のエサ(脂肪分13%)を食べさせたオスと子供を作らせました。子供らは普通のエサを食べて育てさせ、同じように3世代作らせ、それぞれの子孫の「インスリン耐性」などのメタボリックシンドロームの指標を調べました。

 すると高脂肪食を食べたメスから産まれたマウスは3世代先まで筋肉中のミトコンドリアに影響がありました。具体的にはミトコンドリアのサイズが違いました。ミトコンドリアは細胞の中で独自に分裂して増えますが、この分裂する際に働くDRP1、OPA1というタンパク質の働きが異なり正常な分裂が出来ず、結果として1つ1つのミトコンドリアの大きさが巨大化してしまうようです。

 近年、我々のゲノム中の遺伝子が一部リセットされずに子孫に繋がることが分かり「エピジェネティクス」と呼ばれ研究が活発に進められていますが、一方、ミトコンドリアはかつて我々の細胞に潜り込んだ寄生生物と言われており、我々のゲノムとは別に自分で遺伝子を持ち、独自に制御されていると考えられます。今回、ミトコンドリアに関してもリセットされずに子孫に伝わる性質があることが報告されたことになります。

 うまくいったら自分のおかげ、うまくいかなかったら親のせいにしましょう!(笑)


(省略されています。全文を読む

Category:ダイエット・メタボリックシンドローム




2016.03.07

学術雑誌Nature Medicineで「老化抑制」という「副作用」が知られる薬まとめ
学術雑誌Nature Medicineで「老化抑制」という「副作用」が知られる薬まとめ

↑BTW

 老化とは何でしょうか?最新科学では「老化」が人体が古くなったという単純な現象ではないことを明らかにしています。ある特定の仕組みによって老化が進行しているようなのです。実は、すでに発売済みの薬や開発中の薬の中にはその老化を促進する仕組みをブロックし、結果として老化を抑制する副作用が報告されているものが数多くあります。そういった報告の多くは今のところ動物実験でのみ検証されており、大勢の人間が参加した大規模な「臨床試験」によって人間での効果が証明された薬は未だありません(もし、あったら既に皆飛びつきますよね?)。

今回、Nature Medicineという医学界で最も有名な学術雑誌がそのような薬のまとめ記事を掲載しています。

以下が記事中で取り上げられていた薬を表にしたものです。

薬の名前ターゲット(薬が作用する体内の分子)現在、何の用途に使われている薬か知られているリスク
ラパマイシン(Rapamycin)mTORC1mTORC2抗ガン剤、メタボ薬、心臓病薬免疫抑制、インスリン抵抗性、白内障
メトホルミン(Metformin)ミトコンドリアのAMPKmTOR糖尿病薬不明
レスベラトロール(Resveratrol)SIRT(サーチュイン)やAMPK肥満予防不明
Anti-CGRPCGRPやCGRPレセプター偏頭痛、メタボ薬、抗炎症薬痛覚の鈍化、低体温
食事中のメチオニンを制限メタボ対策脂肪肝、体重減少、鬱
Lilly社のLY2405319、Amgen社のペプチド薬IISFGF-21klothoPAPP-Aを減らすメタボ対策骨密度減少、高血糖、インスリン抵抗性

ラパマイシンメトホルミンレスベラトロールFGF-21に関してはこのサイトでも以前に紹介しています。下記は以前紹介した記事へのリンクです。

 大きなキーワードとしては「炎症」「代謝」でしょうか。

 人体は加齢に伴い「弱い炎症」が持続的に発生するようになり、この炎症が老化を促進する要因になっていると考えられています。たとえば鎮痛剤であるアスピリン(バファリン)や、nordihydroguaiaretic acid (NDGA; also called masoprocol)を投与することで平均寿命が8〜12%延びることが動物実験で報告されています。

 さらに、炎症により作られ、結果、加齢とともに血中に増えていくCGRP(Ccalcitonin gene-related peptide)という物質を減らすだけで寿命延長効果があることが報告されています。具体的には、この物質を持たないように遺伝子改変された動物は長寿になります。他にも、CGRPの受容体をブロックする低分子薬や抗体を投与し不老長寿的な効果を示させる研究が報告されています。

 また「カロリー制限」を行うことで多くの動物で寿命が延長することが報告されています。当初は、カロリー制限により無駄なエネルギー消費が低下しDNAを損傷する活性酸素の発生が抑えられる効果が寿命延長につながると考えられていましたが、近年これだけではなく、どうやら「低カロリー」時に細胞内で発生するシグナル自体に寿命延長効果があることが分かってきました。そして、代謝に作用する薬のいくつかが寿命に影響することが報告されています。たとえば代謝に深く関わる「インスリン」や「IGF-1」に関わる薬です。

 IGF-1が生まれつき少ない遺伝子改変動物は長寿命であることが報告されていますし、IGF-1を分解する働きのあるkotho遺伝子を増やした動物も寿命が延長します。またFGF-21やリリー社が開発中のLY2405319はIGF-1を阻害し寿命延長効果があるかもしれません。

 もっと簡単なメカニズムとしては食事中のメチオニンを減らすことで寿命が延長することが、酵母、線虫、ハエ、ネズミで報告されています。人間においても食事中のメニオニンを減らす作戦の他に、メチオニンが人体に吸収されにくくなる働きの薬が開発出来れば、寿命延長効果が期待出来ます。


(省略されています。全文を読む

Category:#アンチエイジング・老化抑制技術




2014.11.21

毎朝1グラムのウコンを摂れば前糖尿病患者の記憶力低下を防ぐ事が出来る
毎朝1グラムのウコンを摂れば前糖尿病患者の記憶力低下を防ぐ事が出来る

↑BTW

 ウコンの成分「クルクミン」に様々な健康作用があることが知られています。今回、台湾の研究者が毎朝1グラムのウコンを摂るだけで、前糖尿病患者で起こる記憶力の低下を防げることを報告しています。

 ウコンの持つ様々な健康作用や、日本で有名な二日酔い予防作用も肝臓の代謝機能を向上させエネルギー代謝を高める作用です。今回の結果は前糖尿病で起こる記憶力の低下がウコンで改善出来るエネルギー代謝やインスリン抵抗性を原因としているという新しい知見も示しています。

 ウコンの成分クルクミンはウコン中3〜6%含まれているそうです。「ウコンの力」1本には0.03グラムのクルクミンが含まれると記されており、これはウコン1グラムに相当します。ウコンの力を毎日飲むと少し高く付きますが、もっと安い錠剤も多数売られています。

 本サイトではウコンの吸収を劇的に高めるピペリンについて以前報告しています。


(省略されています。全文を読む

Category:#サプリメント




2013.12.11

医学界No1の学術誌Nature Medicineが選ぶ2013年の医学の重要な進歩8つ
医学界No1の学術誌Nature Medicineが選ぶ2013年の医学の重要な進歩8つ

↑BTW

 医学界No.1の権威ある学術雑誌Nature Medicineが今年の重要な医学の進歩を8つの分野について紹介しています。

 8つの分野は「再生医療」「免疫学」「マラリアワクチン」「若返りホルモン」「新たな鎮痛メカニズム」「ゲノム書き換え技術」「癌細胞の悪性化メカニズム」「糖尿病治療ホルモン」です。

Nature Medicneは毎年この手の発表をしており、2012年、2011年の内容は下記で紹介しています。


★再生医療:体内でiPS細胞を作れるようになった
 初めてiPS細胞の作成に成功したのが2006年、その後、急速に研究が進んでいますが、今年、スペイン・マドリードの研究者により、マウスの体内でiPS細胞を作り出せることが報告されました。

 この細胞は、血球細胞や、消化管、すい臓、腎臓の細胞などから作り出されますが、これまで作られていた培養皿中のiPS細胞よりもES細胞に近い特徴を持っており、容易に臓器形成を始めます。研究者はこの現象を分析していくことで、培養皿中で様々な臓器を作り出す手がかりを得られるかもしれません。

  • Reprogramming in vivo produces teratomas and iPS cells with totipotency features.Nature. 2013 Oct 17;502(7471):340-5. PMID:24025773
★免疫学:自然免疫の謎の解明が進んだ。
 人間の身体には2種類の免疫があります。自然免疫と獲得免疫です。自然免疫は体内に入ってきた異物をとりあえず攻撃する役割を担い、獲得免疫は以前に入ってきた異物を強力に排除する役割を担います。

 自然免疫を担うリンパ細胞(innate lymphoid cells)は単純に異物を攻撃するということだけでなく、腸内細菌とうまくやっていくために必要だったり、細菌感染が起きた時にどれぐらいの強さで攻撃うるかといった免疫の調製機能なども担っていますが、非常に様々な種類の細胞がありその全容ははっきりと分かっていません。

今年、それらの理解が急速に進みました。たとえばグループ2と呼ばれるIL-5やIL-13を出す細胞が腸内細菌とyまくやっていくのに必要な事や、グループ3と呼ばれるIL-17やIL-22を出す細胞が細菌感染時の好中球の集合をコントロールしていることが分かりました。

  • Innate lymphoid cells regulate CD4+ T-cell responses to intestinal commensal bacteria.Nature. 2013 Jun 6;498(7452):113-7.PMID:23698371
  • Type 2 innate lymphoid cells control eosinophil homeostasis.Nature. 2013 Oct 10;502(7470):245-8.PMID:24037376
★ついに実用的なマラリアのワクチンが出来そう
 人類は40年も前に、放射線照射したマラリア原虫を持つ蚊数千匹に刺させるとマラリアに感染しなくなるという現象を発見し、ワクチンを開発可能なであることは分かっていましたが、これを多くの人に簡便に投与出来るワクチンは開発出来ていなかった。

 今、最新のワクチンが開発の最終ステージにありついに発売されそうです。このワクチンは開発試験では5ヶ月〜17ヶ月の投与されたボランティアがマラリアに感染する確率を半分に減らしています。
  • Protection against malaria by intravenous immunization with a nonreplicating sporozoite vaccine.Science. 2013 Sep 20;341(6152):1359-65. PMID:23929949
★年老いて肥大した心臓を若返らせるホルモンが見つかる
 若いマウスと年寄りマウスの血管をつなぐと、年老いたマウスが若返りますが、この仕組みが解明されました。若いマウスの血液中に含まれるGDF11(growth differentiation factor11)という新発見のホルモンが年老いて肥大したマウスの心臓を若返らせ、たった4週間で若いマウスのように引き締まった心臓に戻すことが示されています。実際に人工的に作ったGDF11を注射するだけでも同じ効果が得られており将来、このメカニズムの薬が開発されることでしょう。
  • Growth differentiation factor 11 is a circulating factor that reverses age-related cardiac hypertrophy.Cell. 2013 May 9;153(4):828-39. PMID:23663781
★新たな痛みを感じるメカニズムが解明される
 人間が痛みを感じる時は普通は炎症性サイトカインや免疫細胞が痛みの原因物質を作り出します。このメカニズムを遮断することで痛みを減らす薬はありますが、なぜかある種の細菌感染ではこの薬の効果がありませんでした。今回、こういった細菌感染では細菌自身が痛みを感じさせる物質を作り出していることが分かりました、これまで効果が無かった患者に投与することが出来る新しい鎮痛剤の開発が期待されます。
  • Bacteria activate sensory neurons that modulate pain and inflammation.Nature. 2013 Sep 5;501(7465):52-7. PMID:23965627
★ゲノムを書き換える技術が進む
 ゲノムを直接編集する技術が進んでいます。CRISPR/Cas9は細菌感染に対する免疫システムで働いている酵素ですが、これを用いてヒトの細胞の中の好きな配列を別の配列に書き換える実験が成功しています。この技術により人間の遺伝子の40%の部分は自由に編集可能になります。

 すでにこの技術を使って魚やマウスの遺伝子をワンステップで書き換え、遺伝子組み換え生物を作り出せることが示されています。

  • Multiplex genome engineering using CRISPR/Cas systems.Science. 2013 Feb 15;339(6121):819-23. PMID:23287718
  • RNA-guided human genome engineering via Cas9.Science. 2013 Feb 15;339(6121):823-6. PMID:23287722
  • Efficient genome editing in zebrafish using a CRISPR-Cas system.Nat Biotechnol. 2013 Mar;31(3):227-9. PMID:23360964
  • One-step generation of mice carrying mutations in multiple genes by CRISPR/Cas-mediated genome engineering.Cell. 2013 May 9;153(4):910-8.PMID:23643243
★ガン細胞が悪性化していく様子が詳細に観察出来るようになった
 癌細胞は徐々に変化し、元にあった部位から全身に散らばるような悪性の細胞へと変化していきますがこのメカニズムが最新の遺伝子配列解析技術を利用して明らかにされています。

 その変化に共通する様な特徴が見つかれば新たなガン治療薬が開発出来るかもしれません。

  • Evolution and impact of subclonal mutations in chronic lymphocytic leukemia.Cell. 2013 Feb 14;152(4):714-26.PMID:23415222
  • Variable clonal repopulation dynamics influence chemotherapy response in colorectal cancer.Science. 2013 Feb 1;339(6119):543-8.PMID:23239622
  • Punctuated evolution of prostate cancer genomes.Cell. 2013 Apr 25;153(3):666-77.PMID:23622249
★糖尿病治療に有効な新しいホルモンが見つかる。
 インスリンはすい臓のβ細胞から分泌されます。このすい臓のβ細胞が死んだり、機能を失ったりするのが糖尿病ですが、今回、β細胞を自由に増やすことが出来るホルモンが発見されました。名前をベータトロフィン(betatrophin)といいます。

 このホルモンは症状の軽い糖尿病患者の病気の進行を抑制したり、まったくインスリンが出なくなった?T型糖尿病患者の治療にも使える可能性があります。

  • Mice lacking ANGPTL8 (Betatrophin) manifest disrupted triglyceride metabolism without impaired glucose homeostasis.Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Oct 1;110(40):16109-14.PMID:24043787
  • Betatrophin: a hormone that controls pancreatic β cell proliferation.Cell. 2013 May 9;153(4):747-58.PMID:23623304

(省略されています。全文を読む

Category:#エイジング関連まとめ




2013.07.22

空腹時に作られるホルモンFGF-21が常に出続ける遺伝子改変ネズミは寿命が30%以上長い
空腹時に作られるホルモンFGF-21が常に出続ける遺伝子改変ネズミは寿命が30%以上長い

↑BTW

 これまでの研究で摂取カロリーを減らす食事制限により寿命が伸びる事が様々な動物で報告されています。これらの動物で寿命が延びるメカニズムに関しては、余分な脂肪が無く動脈硬化に成りにくいなどの分かりやすい理由の他に、もっと根本的に「空腹を感じることこそが重要」との報告されていますが、詳細はまだ明確ではありません。

 今回、アメリカ・テキサス大学の研究者Mangelsdorf DJらが、空腹時に肝臓で作られるホルモンFGF-21こそが寿命を延ばす原因であることを報告しています。

 FGF-21は空腹時に肝臓で作られ、様々な臓器に「飢餓状態に備える」ように指令をする働きをするホルモンです。例を挙げると、肝臓では蓄えていた脂肪を分解してエネルギーを作り出します。また、筋肉ではインスリンに対する感受性を向上させ効率的に少ないエネルギーを取り込めるように指令を出します。全身の細胞はこの指令を受け細胞分裂を抑え「低エネルギーモード」に移行します。

 研究者らは、このホルモンFGF-21を常に作るように遺伝子改変を行ったマウスを作りました。このマウスは空腹を感じていない時でもFGF-21が常時作られ、体内に大量に存在します。

 生み出した遺伝子改変マウスを飼育してみると、オスで30%、メスで40%平均寿命が長いことが分かりました。普通のマウスでは3年を超えて生きる個体のはいませんでしたが、遺伝子改変マウスのうちメスの何匹かは4年近く生きました。

 体内の細胞の状態を調べると、空腹時に起こるNAD+代謝経路や、AMPキナーゼ、mTORシグナルの活性化、成長ホルモンやIGF-1シグナル経路を妨害など、空腹時と同じ反応が常に起きていることが確認されました。

 これらのマウスは寿命が延びますが、副作用も見られました。これらのマウスはどの個体もやせ気味で、大量のエサを食べても太りませんでいた。また、骨密度が少く、メスは不妊で子供を生むことが出来ませんでした。ただ、どの個体も運動量は変わらず一見健康そうでした。

 今回の結果を元にFGF-21の作用を真似した長寿薬が作れるかもしれません。


(省略されています。全文を読む

Category:#アンチエイジング・老化抑制技術




2013.07.16

母乳の量が十分でない女性が増えている理由が解明される。
[[母乳]]の量が十分でない女性が増えている理由が解明される。

↑BTW

milk 出産した女性の中には母乳が十分に出ないため、粉ミルクを併用して、または粉ミルクのみで子供を育てる必要に迫られる人々がいます。このような女性は近年増加しつつあるそうです。なぜ母乳の量に問題を抱える女性が増えているのでしょうか。

 アメリカ、シンシナティー子供病院の女性研究者Laurie A. Nommsen-Riversらは、おっぱいの中にある母乳を作る細胞の遺伝子発現を調べました。幸いなことに、母乳中には母乳を作る細胞から漏れ出したRNAが多く含まれていますので、おっぱいに傷をつけることなく調べることが出来ます。(余談ですが、母乳中のRNAはただ漏れ出しているのでは無く、子供に特殊な作用を及ぼしているとする研究が近年盛んに行われています)

 母乳は、出産後に急激に母乳の出る量が増えますが、母乳の量が少ない女性や、十分に母乳の出る女性らを分析したところ、母乳が大量に作られるようになる過程で劇的な遺伝子シグナルの変化が起きていることが分かりました。具体的には母乳を作り出す細胞は、血液中のインスリンに対して敏感に反応するように変化することで、おびただしい量の母乳を作り出せるようになるようです。

 母乳が出にくい女性には、共通してインスリン抵抗性を示すPTPRF遺伝子発現の異常が確認されました。(インスリン抵抗性とは、細胞がインスリンに反応しににくなる症状で、糖尿病や糖尿病の前段階の人に見られます。)正確には少し語弊がありますが、母乳の出にくい女性は、乳房が糖尿病と同じ状態になっていると言えます。

 原因は糖尿病と同じで、食べ過ぎや高脂肪食が原因の1つと考えられます。アメリカでは20?44歳女性の20%が糖尿病の前段階と言われていますが、これらの女性は出産後、母乳が出にくい可能性があります。

 研究者は、今回見つかった遺伝子を調べることで母乳の量を事前に予測し予防的処置を行うことが可能かもしれないと考えています。現在、弱い糖尿病治療薬を用いて、母乳の出を改善出来ないかを試みる臨床試験を実施する計画です。

 ただ、研究者らは同時に、今回の研究結果は薬なんか使わなくても運動や食生活で母乳の量を改善出来る可能性があることを示していると語っています。定期的な運動や、高脂肪食を改めるなどの生活習慣の改善が効果をもたらすはずです。実際、糖尿病患者でも軽度のダイエットと運動で劇的にインスリン抵抗性は改善します。


(省略されています。全文を読む

Category:子育て




2011.07.15

ワインに含まれる老化抑制物質「レスベラトロール(Resveratrol)」これまでの研究まとめ(1)
ワインに含まれる老化抑制物質「[[レスベラトロール]]([[Resveratrol]])」これまでの研究まとめ(1)

↑BTW

テレビでワイン(ブドウ)に含まれるポリフェノール「レスベラトロール(Resveratrol))」のサプリメントが紹介され人気を集めているそうです。

 レスベラトロールの作用が発見されたのはもう10年近くも前になります。アメリカ、ペンシルベニアの研究者が2003年に有名な科学雑誌Natureで発表しました(1)

  • (1)Small molecule activators of sirtuins extend Saccharomyces cerevisiae lifespan. Nature. 2003 Sep 11;425(6954):191-6 PMID:12939617
 これまでの研究で、酵母(Saccharomyces cerevisiae)などの単純な動物では栄養制限(摂取カロリー制限)すると、Sir2というサーチュイン遺伝子が活性化され寿命が延びることが知られていました。研究者はカロリー制限を行わずにSir2遺伝子を活性化させることの出来る物質を探索した結果、赤ワインに含まれるポリフェノールの一種、レスベラトロール(Resveratrol)を発見しました。レスベラトロールを与えた酵母は栄養制限をした時と同様にSir2遺伝子が活性化し寿命が70%延長しました。

 また、人間のSir2にあたるSIRT1にレスベラトロールが与える影響を調べたところ、同様な効果を与えることも分かりました。SIRT1は腫瘍抑制遺伝子であるp53タンパクの脱アセチル化を促進することで作用を発揮しているようです。この研究者らはオリーブオイルに含まれるクェルセチン(quercetin)にも同じ作用があることを報告しています。

 この研究以降、酵母のSir2や、マウスのSirt1、ヒトのSIRT1は老化を抑制する作用のあるものとしてサーチュイン遺伝子(Sirtuin gene)と呼ばれ研究が盛んに行われています。そして、この発表以降、酵母に引き続き、線虫やショウジョウバエなどの様々な無脊椎動物で寿命を延ばす効果が報告され、ついに2008年に哺乳類(マウス)でも作用があることが報告されました。

 アメリカの研究者らがPloS ONEという雑誌に報告(2)した内容では、中年(生後14ヶ月)〜老齢(生後30ヶ月)のマウスにレスベラトロール(4.9mg/kg/day)を食べさせて実験を行いました。そして、全身の臓器の遺伝子発現を調べたところ、カロリー制限した時と同じような遺伝子発現プロファイルを示し、脳、心臓、骨格筋などで老化に伴い起こる遺伝子発現変化を抑制し、加齢に伴う心臓疾患を防ぐことが分かりました。例えば筋肉ではカロリー制限により起こるのと同じようなインスリンに関連したグルコース吸収の変化が起こっているようです。レスベラトロールはカロリー制限と同様に、加齢に伴う染色体の構造変化や、転写の変化を遅らせるなど様々な部分で働いているようです。

  • (2)A Low Dose of Dietary Resveratrol Partially Mimics Caloric Restriction and Retards Aging Parameters in Mice. PLoS ONE. 2008,3(6):e2264、PMID:18523577
 しかしながら、マウスでは酵母などとは違い寿命を延長することは無さそうだという結果も報告されています。2008年に報告された研究(3)では、中年期(12ヶ月)移行にレスベラトロールを与えられたマウスと普通のエサを食べているマウスとでは寿命の差は無かったと報告しています。ただ、こちらの研究でも、老化のサインであるタンパク尿(albuminuria)の減少、炎症の減少、血管内皮細胞のアポトーシスの減少、動脈の柔軟性の増加、身体の動きの改善、白内障の減少、骨量減少の抑制などの老化抑制効果は見られており、この点での効果はありそうです。

  • (3)Resveratrol Delays Age-Related Deterioration and Mimics Transcriptional Aspects of Dietary Restriction without Extending Life Span. Cell Metabolism 2008, 8(2) 157-168. PMID:18599363
霊長類の実験でレスベラトロルの抗肥満作用が確認された

この他に下記の研究はキツネザルを使った研究ですが、1日あたり体重1kgあたり200mgのレスベラトロールで体重低減効果があることが報告されています。食欲も減少するようでエネルギー摂取量が19%減り、安静時の基礎代謝が29%増加したことを報告しています。

  • Resveratrol suppresses body mass gain in a seasonal non-human primate model of obesity. BMC Physiology 2010, 10:11PMID:20569453
単語:primate(霊長類)

次回はレスベラトロールのメカニズムを参考に開発されている医薬品について紹介します。
(省略されています。全文を読む

Category:#アンチエイジング・老化抑制技術




2010.12.21

たくさん食べる人は空腹時に運動することが重要
たくさん食べる人は空腹時に運動することが重要

↑BTW

高カロリー(特に高脂肪食)によりインスリン耐性が生じることは肥満の原因となることが分かっている。今回、ベルギーの研究者らは食後などでなく、空腹時に運動することでインスリン抵抗性が生じるのを防ぎ、体重増加を防ぎうることを初めて証明した。

研究者らは健康な男性のボランティア(18〜25歳)に1日あたり30%カロリーの多い食事(カロリーのうち脂肪が50%)を6週間食べてもらい実験を行った。ボランティアのうち10名には毎週4回(2回は1時間30分、残り2回は1時間)、朝食前の空腹時に運動してもらい、別の10名には運動前や運動中に炭水化物を食べてもらい(スポーツドリンクを飲むように)、空腹では無い状態で運動してもらった。そして残りの7名は運動をしないグループとした。すべてのボランティアの摂取カロリーは同じになるようにコントロールした。

6週間後、空腹時に運動をしていたグループのみが肥満の原因となるインスリン抵抗性が現れず、筋肉中のGLUT4タンパクが他のグループに比べ28%上昇、AMP活性化プロテインKのリン酸化が25%、脂肪酸転移酵素(CD36)などの遺伝子発現レベルが30%増加していた。

そして、運動しないグループが3±0.8kg増え、空腹で無い時に運動したグループが1.4±0.4kg増えたのに対し、空腹時に運動したグループでは0.7±0.4kgしか増えなかった。

このように、空腹時に運動することでインスリン抵抗性が起こるのを防ぎ、筋肉の脂肪代謝が活性化することが明らかになった。

原文:


(省略されています。全文を読む

Category:ダイエット・メタボリックシンドローム




2008.09.29

ヒト皮膚細胞から作ったiPS細胞からインスリン産生細胞を作り出した
ヒト皮膚細胞から作った[[iPS細胞]]から[[インスリン]]産生細胞を作り出した

↑BTW

iPS細胞をRPMI1640(B27、11,1mM glucose 、4n< activin A)で7日間培養、Sodium butyrateを終濃度0.1mMで1日目に加え、1ug/mlのType4コラーゲンで5分間処理、非接着プレートに移し、20ng EGF、22ng/ml bFGF、100ng/ml Nogginで2週間培養、その後、20ng/ml EGF、100ng/ml Nogginで1週間培養、0.5% BSA、10mM nicotinamide、50nm/ml IGF-IIで5日間培養、IGF-IIを除いて2日間培養。

Category:人工すい臓・糖尿病




2008.06.13

長生きするには運動だけではダメで、食事制限も必要。
長生きするには運動だけではダメで、食事制限も必要。

↑BTW

カロリー制限により寿命が延びるが、運動により寿命が延びることは無い。この違いに関する原因はこれまで明らかでは無かった。

研究者らは今回、マウスとトレッドミルを持ちいて24週間の下記の実験を行った。

見た目では自然にしているマウスが太っていくのに対して、カロリー制限または運動を行ったマウスは太らなかったが、運動を行ったマウスの方が引き締まって(liner)いた。運動をしているが食事制限を行っていないマウスでは自然にしているマウスに比べて血中のIGF-1レベルの低下は見られたが、インスリンレベルは低下していなかった。一方、9%のカロリー制限を行ったマウスではインスリンレベルの低下が見られ、18%のカロリー制限によりインスリンに加えIGF-1レベルの低下も見られた。

カロリー制限による寿命の延長が起こる時にはインスリンやIGF-1レベルの低下が起こる事が知られているが、運動とカロリー制限ではこれらのホルモンに与える影響が異なるようだ。

また、運動により組織のHSP(ヒートショックプロテイン)増加は見られたが、酸化ダメージの増加は確認されず、これが寿命延長を妨げているとは考えにくい。

  • Effect of exercise and calorie restriction on biomarkers of aging in mice. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 294: R1618-R1627, 2008、PMID:18321952

Category:#アンチエイジング・老化抑制技術




2008.03.21

膵臓は4E-BP1を使って糖尿病を防いでいる
膵臓は4E-BP1を使って糖尿病を防いでいる

↑BTW

膵臓のβ細胞がインスリンを放出し続け、負荷がかかるいと、β細胞内に4EBP1と呼ばれるタンパク質が作られ、β細胞の働き過ぎを抑えるそうだ。実験的に4EBP1をノックアウトしたところ、β細胞が働きすぎ、次々にβ細胞が死滅し、糖尿病が悪化した。

  • ATF4-Mediated Induction of 4E-BP1 Contributes to Pancreatic β Cell Survival under Endoplasmic Reticulum Stress. Cell Metabolism, Vol 7, 269-276, 05 March 2008

Category:人工すい臓・糖尿病




2008.03.10

長寿に人に共通の遺伝子変異が見つかる
長寿に人に共通の[[遺伝子変異]]が見つかる

↑BTW

近年、IGF-1(インスリン様増殖因子1)経路により寿命がコントロールされている証拠が実験動物において多数見つかっている。IGF-1経路を欠損させた動物の検討では、酵母、線虫、ハエ、マウスなどで寿命の延長が確認されている。しかしこれらは本当に人間でもあてはまるのか?

研究者らはユダヤ人の長寿者(100才以上の老人:Centenarians)とその子孫を調べた。IGF-1とIGF-1受容体の遺伝子を調べたところ、IGF-1Rに長寿者に特有の変異を見つけ出した。この変異によりIGF-1とIGF-1Rの結合性が悪くなることが考えられる。実際にこの変異を持つ人はIGF-1RとIGF-1の結合性が悪いことが理由と推定されるIGF1の血中濃度が通常よりも高いという現象が見られた。(長寿者の子孫105名と通常の人67名の比較)

ただし、この変異は長寿者の子孫においては女性にのみ受け継がれているようであった。

またこの変異の結果として、成長が遅れることが考えられるが、この変異を持つ人の平均身長は通常よりも低いことが分かった。

Category:#アンチエイジング・老化抑制技術




2007.10.31

ブタのES細胞は免疫抑制剤無しで糖尿病のサルを治療しうる
[[ブタ]]のES細胞は[[免疫抑制剤]]無しで糖尿病のサルを治療しうる

↑BTW

発表したのはワシントンメディカルスクールの研究者

ヒトの糖尿病における移植医療はドナーの不足により限定的なものに留まっている。また移植した場合も免疫拒絶などの理由により細胞は徐々に死滅し効果が低下していく。

本発表の研究者らは以前より発生段階のブタE28由来のすい臓β細胞を移植することにより糖尿病ラットを治療する研究を行い成果を発表してきた。

今回の研究では、E28ブタ胚を糖尿病のサルに移植した。移植したブタのβ細胞は長期間にわたり肝臓、すい臓、リンパ節の中で生存しインスリンを産生した。そして移植後22ヶ月にわたって効果を示した。

Category:人工すい臓・糖尿病




2007.10.10

アルツハイマー痴呆症は脳が糖尿病になるようなもののようだ
アルツハイマー痴呆症は脳が糖尿病になるようなもののようだ

↑BTW

 近年の研究においてアルツハイマー病(AD)と中枢神経のインスリン抵抗性の関係が指摘されていましたが、この2つを結びつける細胞内メカニズムに関しては不明なままでありました。今回、研究者らは神経細胞の]]インスリン]]受容体が可溶性アミロイドβオリゴマー(ADDLs)に非常に鋭敏に反応し欠落することを発見しました。

 ADDLsはアルツハイマー病の時に脳に蓄積することが知られています。研究者らは海馬神経の培養モデル実験を持ちいてADDLsが神経細胞の樹状突起のインスリン受容体を欠損させることを見いだしました。インスリン受容体の消失と共に細胞内部の受容体量は増えており、受容体の局在が変化しているようです。また神経細胞でのインスリンシグナル経路は非常に衰えており正常に機能していませんでした。

 神経細胞でのインスリン受容体の欠乏はいわばアルツハイマーによって脳のみ糖尿病になっているようなものであると言えます。このような状態では神経細胞への栄養取り込みに問題が生じ、この結果、神経細胞が死滅していくことが予想されます。

Category:#脳 #中枢神経 #神経




2007.09.12

ヒトのES細胞からインスリンを分泌するすい島(すい臓)様の固まりを作ることが出来た
ヒトの[[ES細胞]]から[[インスリン]]を分泌するすい島(すい臓)様の固まりを作ることが出来た

↑BTW

発表したのはアメリカのGeronという会社の研究者。
作り出した固まりはグルコース(糖分)の濃度に応じてインスリンを産生する機能を持っていました。

研究者はこの固まりを血清無しの培地で36日間で作り出します。
その他に加えたのはSodium Butyrate、 Activin A 、これらの添加によりCXCR4とSox17、Foxa2などを発現する内胚葉塊になり、そこからPdx1発現すい臓細胞に分化するそうです。

Category:人工すい臓・糖尿病




2007.08.27

糖尿病の原因は大量に食べたにも関わらず皮下脂肪が増えなかったため?
糖尿病の原因は大量に食べたにも関わらず皮下脂肪が増えなかったため?

↑BTW

研究者等はマウスを使った実験で、アディポネクチンという脂肪細胞が分泌するホルモンを大量に作らせることで、糖尿病の症状が消えることを報告しています。大量のカロリーを摂取すると同時に脂肪細胞がどんどん増えればその分だけアディポネクチンが増えるため問題は起きないはずですが、どうやら脂肪細胞は食べた分だけ増えないようです。

アディポネクチンは脂肪をため込みすぎた脂肪細胞では作られなくなることも知られており、また脂肪細胞に取り込んでもらえなかった脂質は脂肪細胞以外の場所に沈着し、このことがインスリンの効果を下げる原因となるようです。

Obesity-associated improvements in metabolic profile through expansion of adipose tissue.
J Clin Invest. 2007 Aug 23 PMID: 17717599

Category:ダイエット・メタボリックシンドローム




2007.08.10

遺伝子操作した植物で糖尿病治療
遺伝子操作した植物で糖尿病治療

↑BTW

中央フロリダ大学の研究者の報告によると、糖尿病治療薬であるインスリンの前駆タンパク「プロインスリン」と細胞内に入り込む能力を持つコレラ毒素のBサブユニットを連結したタンパク質を作るように遺伝子操作したタバコをつくり、この葉を糖尿病のマウスに与えたところ、血糖値の低下やすい臓β細胞の損失の抑制など糖尿病の進行を抑制する効果が見られたそうです。

糖尿病発症のメカニズムとしてインスリンに対する自己免疫反応が起こり、自己の免疫担当細胞がインスリンを産生するすい臓β細胞を破壊してしまうということが知られていますが、このインスリンに対する抗原性を経口投与により緩和することにより糖尿病症状の低減が見られるようです。

Category:人工すい臓・糖尿病




2006.12.14

インスリンを直接皮膚に塗ると傷の治りが早くなる
インスリンを直接皮膚に塗ると傷の治りが早くなる

↑BTW

インスリンが皮膚の上皮細胞の増殖、移動を促進し、血管内皮細胞にも作用するとか
糖尿病性の皮膚潰瘍のメカニズム解析、治療法確立につながるかも

Category:創傷治癒




2006.11.30

糖尿病治療:食欲促進ホルモンがインスリン分泌を抑制
糖尿病治療:食欲促進ホルモンが[[インスリン]]分泌を抑制

Category:人工すい臓・糖尿病




2006.10.24

次世代糖尿病治療薬「リラグルチド」のPhase IIデータ発表。良い感じ
次世代糖尿病治療薬「リラグルチド」のPhase IIデータ発表。良い感じ

↑BTW

リラグルチドはノボノルディスクファーマの開発している薬で、血糖値が高い時にだけすい臓β細胞にインスリン産生を促し、グルカゴン産生を抑制するインスリンに代わる糖尿病治療薬として期待されているGLP?1のアナログ(体内で分解されにくく改良されたもの)です。実際のGLP-1は体内での分解がとても早いため薬としては使いにくくこのようなアナログが開発されています。GLP?1関連の糖尿病治療薬としては体内のGLP?1の分解を抑制することで治療を目指すGLP?1分解酵素DPP?阻害剤「ビルダグリプチン」(ノバルティス)などがあります。

Category:人工すい臓・糖尿病




2006.10.11

p16(INK4a)タンパクが加齢に伴う老化を引き起こす
p16(INK4a)タンパクが加齢に伴う老化を引き起こす

↑BTW

老化の一部はまるで誰かがわざと決めているかのようにプログラムされていることが知られていますが、今回見つかったp16(INK4a)は加齢に伴い老化を促進する働きを持っているようです。p16(INK4a)を持たないマウスを遺伝子操作で作り出すと、そのマウスは加齢による老化現象が抑制され、毒物のダメージを受けた後の生存率が高まりました。

p16(INK4a)というタンパクは加齢に伴い細胞内で量が増加することが知られています。今回、p16(INK4a)を持たないマウスを作り出したところ加齢に伴い起こるはずの脳内での神経細胞の増殖の低下や、多能性幹細胞の比率の低下といった現象が抑制された。p16(INK4a)は細胞増殖に関わるCdk4キナーゼを阻害し細胞老化に関係していることが報告されていますが、今回の報告は老化に伴いp16(INK4a)が増加することが老化現象を引き起こす原因となっていることを意味しています。ただし腸管の神経細胞などではp16(INK4a)を欠損させたマウスでも脳内で見られたような老化の抑制が見られなかったことから場所によってこのたんぱく質の老化促進作用の強さが違うと考えられます。

また、p16(INK4a)で阻害されるCd4kキナーゼはすい臓内でインスリンを作り出すすい臓β細胞の増殖に必要です。p16(INK4a)を通常よりも多く持つように遺伝子操作されたマウスはすい臓β細胞の増殖能力が低下し、p16(INK4a)を持たないマウスでは老齢になっても増殖能力の低下が起こりにくくなりました。さらに実験的に毒素をすい臓β細胞に作用させたあとの生存率を調べると、p16(INK4a)欠損マウスの方が高い生存率を示しました。毒素によりすい臓β細胞がダメージを受けた後に生存するためにはすい臓β細胞が増殖し再生することが必要ですが、p16(INK4a)欠損マウスではすい臓β細胞の増殖能力が高いため高い生存率を示したと考えられます。

p16(INK4a)の阻害作用を持つ薬を開発すれば老化を抑制する薬となるでしょう。ただしp16(INK4a)は別名「ガン抑制遺伝子」として知られており、発ガンの可能性は上昇することが予想されます。
老化と発ガンは表裏一体です。


Category:#アンチエイジング・老化抑制技術




2006.07.24

ベイラー(Baylor)大学の研究者がマイクロバブルでインスリン遺伝子をすい臓細胞に導入する技術を開発
ベイラー(Baylor)大学の研究者がマイクロバブルでインスリン遺伝子をすい臓細胞に導入する技術を開発

↑BTW

一般的にグルコースは細胞内に入るとヘキソキナーゼによりグルコース6リン酸に変換されるというが、この変換がインスリンの産生促進に必要なのか?
これらの技術を利用すれば、糖尿病患者が血糖値を確認しつつインスリンを投与することなく、体内のインスリン産生を回復させることが出来る可能性がある。

Category:人工すい臓・糖尿病




2005.10.13

インスリンの分泌抑制物質を発見、糖尿病の新しい治療法の可能性
[[インスリン]]の分泌抑制物質を発見、糖尿病の新しい治療法の可能性

↑BTW

Category:人工すい臓・糖尿病




2005.10.03

キトサンスポンジを使って膵臓を再生する
キトサンスポンジを使って膵臓を再生する

↑BTW

体内でインスリンを作り出しているすい臓β細胞が死滅してしまうと、血液中のグルコース濃度をコントロールすることが出来なくなり、糖尿病となる。深刻な糖尿病では注射などでインスリンを注射し、血液中のグルコース濃度をコントロールしてやることが必要だが、すい臓の細胞を移植し、体内でインスリンを作らせようとした再生医療の試みもある。

この中でも近年、すい臓の組織(すい島)を皮下(皮膚の下)に移植する方法が注目を集めている。しかしすい臓の組織を長期間維持するためにはどうすれば良いのかといった問題が未解決であった。今回、研究者らはキトサンスポンジを用いてこれに挑戦している。キトサンはカニやエビなどの成分であるキチンが分解したもので、体内で徐々に分解される性質(生分解性)を用いて他の研究では生体外で血管構造を作らせたり、疑似的な皮膚組織を形成させる研究が進められている。

研究者らはまず、凍結乾燥によりCSを作成した。この作り出したCSは200-500μmの隙間を多く持つ多孔質構造になっており、このCSにラットすい臓より単離したすい島を各20個ずつ播種し62日間培養した。すると単離直後のすい島は単一のものが大部分を占めたが、徐々に2-4個のすい島から成るクラスターも(150-250μm)も観察された。

また、CS内で培養した小島は少なくとも53日後まで初期の形態を維持しており、すい臓細胞の機能であるインスリン産生は49日後まで継続しCS内は一定のインスリン濃度に維持され、その後急激に低下した。

このようなキトサンスポンジを使った方法はすい島を安定して培養出来、また機能させることが出来ることを示しており、皮下への膵島移植の発展につながる可能性がある。

原文
Tissue-engineered pancreatic islets: culturing rat islets in the chitosan
sponge.
Cell Transplant. 2001;10(4-5):499-502.

Category:人工すい臓・糖尿病




2005.09.27

インスリン注射不要に? 膵臓細胞量産、岡山大など開発(asahi)
[[インスリン]]注射不要に? 膵臓細胞量産、岡山大など開発(asahi)

↑BTW

発表したのは岡山大学の小林直哉ら、研究者等は人間のすい臓β細胞に後で除去できるように工夫した細胞を増殖させる遺伝子(SV40TとhTERT)を導入、体外ですい臓β細胞を大量に増やした後、導入した遺伝子を除去し、元に戻した上で、糖尿病のマウスに移植した。すると移植した細胞が正常に働き、糖尿病の症状が緩和されることが分かった。

Category:人工すい臓・糖尿病




2005.08.26

Kloho(クロトー)というホルモンで老化が抑制される(science)
Kloho(クロトー)というホルモンで老化が抑制される(science)

↑BTW

この研究者らはKlothoという遺伝子の発現を失ったマウスは老化に伴う様々な症状が早まる事を以前に報告している。今回、マウスにKlothoを過剰に作らせたところ寿命を延ばすことが出来た。
Klothoは体内を循環するホルモンであり、細胞表面のレセプターに結合し、そして細胞内のインスリンとIGF-1のシグナルを抑制する。
Klotho欠損マウスの老化の特徴はインスリンやIGF-1シグナルの異常でも確認されるものである。
これらの事はKlothoによるインスリンやIGF-1シグナルの抑制が老化防止に役立つ事を意味しており、Klothoタンパクが老化抑制ホルモンとして機能するかもしれない。

  • Suppression of Aging in Mice by the Hormone Klotho(Published online 25 August 2005(science))

Category:#アンチエイジング・老化抑制技術




2005.04.18

GLP-1を大量に摂取すると賢くなる。
GLP-1を大量に摂取すると賢くなる。

↑BTW

GLP-1は腸のL細胞により作り出されるペプチドホルモンで、膵臓のβ細胞などに作用し血糖値が高い場合にはインスリン産生を促して血糖値を下げる働きがあり、糖尿病治療薬として期待されている物質です。今回この物質に知能を向上させる働きがある事が分かりました。
研究者がマウスの脳にGLP-1を直接投与したところ、空間学習能力の向上が見られました。またGLP-1よりも壊れにくいエキセンディン(exendin:トカゲのGLP-1)なら、血管に投与しても同様の効果があったそうです。
また、GLP-1のシグナルを受けるレセプターを壊したマウスを作成したところ、学習能力が低下していましたが、遺伝子導入によりGLP?1レセプターを海馬に復活させると学習能力は回復しました。
また、GLP-1レセプターを通常より大量に海馬に発現させたラットでは学習と記憶が増強しました。
またGLP-1レセプターを増加させると脳障害を与える物質に対する抵抗力も増強しました。

このようにGLP-1による脳への作用を応用した薬が開発出来れば認識力増強と神経保護を行える薬が開発出来るでしょう。
また、GLP-1はは腸管のL細胞が糖を認識すると体内に放出されます。すなわち糖をたくさん取ると体内にGLP-1が大量に分泌されるはずですが、賢くなるために太っても良いヒトは試してみてください。
ちなみに糖尿病治療薬としてGLP-1やGLP-1の体内での分解を防ぐ薬を多数の会社が開発中です。これらの薬は糖尿病にも効果あるけど、脳への効果もあるかもしれません。

※この研究でラットの空間学習能力は受動的回避学習法(passive aboidance task)という方法で行われています。具体的にはラットを明るい部屋と暗い部屋の2つの部分がある入れ物に入れ、明るいところに来た時電気ショック(1mAの電流を3秒)与え、危険なところだという事を学習させます。そして学習を行った後、1,3,7日後に再びその入れ物に入れ、どれぐらい明るいところを避けているかで学習能力を調べています。

原文題名:

Category:#知能改善・天才になる方法




2003.04.23

肝臓でインスリンを作らせる方法
肝臓で[[インスリン]]を作らせる方法

↑BTW

肝細胞にPDX1(IPF1)って遺伝子を発現させると肝臓細胞なのにインスリンを出し膵臓ベータ細胞のようにふるまうという報告は、アホみたいにたくさん報告されていますが、なんかPDX1入れると劇症肝炎が起こるらしいっすね
それは初耳だ
今回導入されたneuroDという遺伝子はインスリンを出させ、かつ劇症肝炎は起こさないそうです
他にもbetacellulinという遺伝子もオッケーらしい
発表先はNat Med 2003/4/21
NeuroD-betacellulin gene therapy induces islet neogenesis in the liver and reverses diabetes in mice

Category:人工すい臓・糖尿病




2003.02.10

オタマジャクシの体内で肝臓に膵臓機能を持たせる事に成功
オタマジャクシの体内で肝臓に膵臓機能を持たせる事に成功

Current Biology 13, 105-115 (2003)
結構前からプレート上の肝細胞ではPdx1でインスリン出るって結果は有りましたね
未だ哺乳類で実現していないのが不思議です

Category:人工すい臓・糖尿病




2003.01.01

遺伝子操作によりオタマジャクシの体内で肝臓細胞をすい臓細胞に変換した
遺伝子操作によりオタマジャクシの体内で肝臓細胞をすい臓細胞に変換した

イギリスBath大学の研究者らが、オタマジャクシの体内で肝臓をすい臓に変換する事に成功した。
研究者らは、肝臓で働く遺伝子のスイッチを入れる遺伝子駆動装置であるTTRにすい臓細胞の機能を指令するPDX1遺伝子をつなげたアフリカツメガエルを作成したところ、このカエルのオタマジャクシでは肝臓全体、もしくわ一部の細胞がすい臓細胞のようにインスリンやグルカゴンを作り出した。

これらの研究を応用すれば、インスリン依存型糖尿病の患者の肝臓を使ってインスリンを作らせ治療が行えるかもしれない。

以前のNat. Med.の論文の方が全然スゴイのでは?
Current biology vol.13 p.105-115

Category:人工すい臓・糖尿病




2002.08.02

摂取カロリーを抑えることでヒトでも寿命が延びる?
摂取カロリーを抑えることでヒトでも寿命が延びる?

これまで、ネズミなどの実験動物では摂取カロリーを減らすことで寿命が延びることはわかっていたが、今回この事がヒトにも当てはまる可能性が有ることが示された。
アメリカ国立加齢研究所のジョージ・ロス博士らの研究グループは60匹のサルを2つに分け、一方は好きなだけエサを食べさせ、もう一方はカロリーを30%少なくした。実験開始から15年後の現在、低カロリー食のサルの死亡率は好きなだけエサを食べたサルの半分であった。
また低カロリー食のサルは自由に食べているサルに比べ、1,体温が低い、2,血中のインスリン濃度が低い、DHEASと呼ばれる血中ステロイドの低下が遅いという3つの特徴が有ることを発見した。
以前、アメリカで行われた「ボルチモア加齢研究」ではボルチモアに住む健康な700人以上の男性のデータが集められたが、この3種類の特徴を持つ男性の寿命を調べたところ、カロリーを制限していなくても寿命が長いことが分かった。
今回の研究より、1.低カロリーによる寿命の延長が人間にも当てはまる可能性が高いこと
2.上記の3種類の特徴さえあれば食事制限をしなくても寿命を延ばすことが出来、寿命を延ばす薬の開発に繋がる可能性がある
という事が示された。

やだやだ、おなかいっぱい食いた〜い(笑)
ん〜、俺は体温高いからなぁ。。。。

(Biomarkers of caloric restriction may predict longevity in humans(Science vol.297 no.5582 p.811))

Category:#アンチエイジング・老化抑制技術




2002.04.10

子供の近視はパンが原因?((その他))
子供の[[近視]]はパンが原因?((その他))

↑BTW

アメリカコロラドのローレン、コデイン教授と、オーストラリアのゼニー・ブランドミラー教授は精製されたデンプン(片栗粉)がたくさん含まれているパンや穀物を大量に食べると近視になりやすいと発表した。
理由は、精製されたでんぷんは大変吸収されやすいため、膵臓のインスリン分泌量が高くなり、幼い時に眼球の成長を調製する成長因子の分泌が減少する。このため、眼球で焦点が合わなくなる。
この報告は2002年4月6日のイギリス雑誌「ニューサイエンティスト」に掲載される。

Category:#目・視覚