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2013.07.16
出産した女性の中には母乳が十分に出ないため、粉ミルクを併用して、または粉ミルクのみで子供を育てる必要に迫られる人々がいます。このような女性は近年増加しつつあるそうです。なぜ母乳の量に問題を抱える女性が増えているのでしょうか。
アメリカ、シンシナティー子供病院の女性研究者Laurie A. Nommsen-Riversらは、おっぱいの中にある母乳を作る細胞の遺伝子発現を調べました。幸いなことに、母乳中には母乳を作る細胞から漏れ出したRNAが多く含まれていますので、おっぱいに傷をつけることなく調べることが出来ます。(余談ですが、母乳中のRNAはただ漏れ出しているのでは無く、子供に特殊な作用を及ぼしているとする研究が近年盛んに行われています)
母乳は、出産後に急激に母乳の出る量が増えますが、母乳の量が少ない女性や、十分に母乳の出る女性らを分析したところ、母乳が大量に作られるようになる過程で劇的な遺伝子シグナルの変化が起きていることが分かりました。具体的には母乳を作り出す細胞は、血液中のインスリンに対して敏感に反応するように変化することで、おびただしい量の母乳を作り出せるようになるようです。
母乳が出にくい女性には、共通してインスリン抵抗性を示すPTPRF遺伝子発現の異常が確認されました。(インスリン抵抗性とは、細胞がインスリンに反応しににくなる症状で、糖尿病や糖尿病の前段階の人に見られます。)正確には少し語弊がありますが、母乳の出にくい女性は、乳房が糖尿病と同じ状態になっていると言えます。
原因は糖尿病と同じで、食べ過ぎや高脂肪食が原因の1つと考えられます。アメリカでは20?44歳女性の20%が糖尿病の前段階と言われていますが、これらの女性は出産後、母乳が出にくい可能性があります。
研究者は、今回見つかった遺伝子を調べることで母乳の量を事前に予測し予防的処置を行うことが可能かもしれないと考えています。現在、弱い糖尿病治療薬を用いて、母乳の出を改善出来ないかを試みる臨床試験を実施する計画です。
ただ、研究者らは同時に、今回の研究結果は薬なんか使わなくても運動や食生活で母乳の量を改善出来る可能性があることを示していると語っています。定期的な運動や、高脂肪食を改めるなどの生活習慣の改善が効果をもたらすはずです。実際、糖尿病患者でも軽度のダイエットと運動で劇的にインスリン抵抗性は改善します。
Category:子育て
Keyword:母乳/9
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