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2013.07.22
空腹時に作られるホルモンFGF-21が常に出続ける遺伝子改変ネズミは寿命が30%以上長い
これまでの研究で摂取カロリーを減らす食事制限により寿命が伸びる事が様々な動物で報告されています。これらの動物で寿命が延びるメカニズムに関しては、余分な脂肪が無く動脈硬化に成りにくいなどの分かりやすい理由の他に、もっと根本的に「空腹を感じることこそが重要」との報告されていますが、詳細はまだ明確ではありません。
今回、アメリカ・テキサス大学の研究者Mangelsdorf DJらが、空腹時に肝臓で作られるホルモンFGF-21こそが寿命を延ばす原因であることを報告しています。
FGF-21は空腹時に肝臓で作られ、様々な臓器に「飢餓状態に備える」ように指令をする働きをするホルモンです。例を挙げると、肝臓では蓄えていた脂肪を分解してエネルギーを作り出します。また、筋肉ではインスリンに対する感受性を向上させ効率的に少ないエネルギーを取り込めるように指令を出します。全身の細胞はこの指令を受け細胞分裂を抑え「低エネルギーモード」に移行します。
研究者らは、このホルモンFGF-21を常に作るように遺伝子改変を行ったマウスを作りました。このマウスは空腹を感じていない時でもFGF-21が常時作られ、体内に大量に存在します。
生み出した遺伝子改変マウスを飼育してみると、オスで30%、メスで40%平均寿命が長いことが分かりました。普通のマウスでは3年を超えて生きる個体のはいませんでしたが、遺伝子改変マウスのうちメスの何匹かは4年近く生きました。
体内の細胞の状態を調べると、空腹時に起こるNAD+代謝経路や、AMPキナーゼ、mTORシグナルの活性化、成長ホルモンやIGF-1シグナル経路を妨害など、空腹時と同じ反応が常に起きていることが確認されました。
これらのマウスは寿命が延びますが、副作用も見られました。これらのマウスはどの個体もやせ気味で、大量のエサを食べても太りませんでいた。また、骨密度が少く、メスは不妊で子供を生むことが出来ませんでした。ただ、どの個体も運動量は変わらず一見健康そうでした。
今回の結果を元にFGF-21の作用を真似した長寿薬が作れるかもしれません。
Category:#アンチエイジング・老化抑制技術
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