CRISPR/Cas9 |
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2023.02.20:ゲノムのメチル化度合いを測定すると実年齢が正確に測定出来る。メチル化を制御する技術と組みわわせて若返りの試みも
2018.03.27:新システムCRISPR/CasRxで生体内のRNAを分解・編集可能に、ウイルスへの搭載も可能
2017.08.22:ブタの臓器で人間を救う時代まであと2年?、移植の障害となっていたブタ内在性ウイルス(PERV)をゲノム編集で除去したブタが作られる
2017.05.31:生体内で狙った遺伝子のみを編集出来ると思われていたCRISPR/Cas9システム、ゲノムのあちこちに狙っていない遺伝子変異を起こしていることが発覚
2016.08.30:改変CRISPR/Cas9で狙った遺伝子を脱メチル化する技術が開発される
2016.07.08:ゲノム編集技術CRISPR/Cas9を用いた「ジーンドライブ(Gene Drive)」技術が開発される。子孫全ての目的遺伝子を効率的に改変可能に、環境改変の強力なツール
2015.04.24:中国の研究者がヒト受精卵の遺伝子編集実験を発表。先天性疾患の治療を目指す
2013.12.11:医学界No1の学術誌Nature Medicineが選ぶ2013年の医学の重要な進歩8つ
2023.02.20
ゲノムのメチル化度合いを測定すると実年齢が正確に測定出来る。メチル化を制御する技術と組みわわせて若返りの試みも
ゲノムのメチル化度合いを測定すると実年齢が正確に測定出来る。メチル化を制御する技術と組みわわせて若返りの試みも
↓エピゲノム(遺伝子のメチル化度合い)と実年齢がぴったり一致しています。
20代〜70代の421名をDNAシークエンサーでエピゲノム(遺伝子のメチル化度合い)を測定。エピゲノムの特徴が実年齢と一致しており、人体の老化を客観的に定量化することが出来ております。
また、100歳以上の長寿者のエピゲノムを分析したところ、100歳以上に到達している人は年齢よりもエピゲノムが若く保たれていることが分かりました。具体的には、がん遺伝子や認知能力の遺伝子は若い状態に保たれ、抗炎症に関するエピゲノムは年齢よりも進んだ状態である傾向が強いことが分かりました。
エピゲノムに関しては市販薬のメトホルミンなどを飲ますことでエピゲノムを若返らせる研究が報告されています。
またCRISPR/Cas9を用いて特定のゲノムのメチル化を解除する技術も開発されています。
これまで「若返り」研究をしたくても「どれぐらい若返ったか」の測定が難しいという課題があったと思います。
この方法「生物学的な年齢」を測定することは、色々な治療や薬による若返り効果を厳密に測定するのに有効と思います。
また、開発されている様々なエピゲノムを操作する方法で本当に寿命が変化するのか大変興味深いところです。
Category:#診断技術
2018.03.27
新システムCRISPR/CasRxで生体内のRNAを分解・編集可能に、ウイルスへの搭載も可能
新システムCRISPR/CasRxで生体内のRNAを分解・編集可能に、ウイルスへの搭載も可能
Transcriptome Engineering with RNA-Targeting Type VI-D CRISPR Effectors. Cell. 2018
CRISPR/Casが何か分からないという人も多いかもしれませんが、いずれ「ナノマシン」と呼ばれるたんぱく質の粒の始まりと言えば興味を持ってもらえますかね?
一番有名なCRISPR/Cas9はDNAを編集するツールです(既にCas9よりも効率的な様々な改良ツールの開発が進んでいますが)これらはDNA(体の設計図)を書き換えるためのツールで、医療への応用を考えると生まれつきの遺伝子に記されている問題を解決したりする用途がターゲットになります。
これに対してCRISPR/Cas13というRNAを分解・編集するツールもあります。これは、DNAを元に作られ体内のタンパク質の構造をコードするRNAを分解・編集することが出来ます。
DNA→RNA→体の構成成分(タンパク質)
RNAの分解・編集は、新しい病気の治療に結びつく可能性が高いのですが、これまでのCas13は分子が大きすぎて細胞内に送り届けにくかったそうです。これに対し、今回報告されたCasRxはより小さく、しかもAAVベクターと呼ばれるウイルスの機能を利用したシステムで体内にまんべんなくCasRxを送り届けることが可能になるとのことです。
研究者は報告で、培養した脳神経細胞を用いて、アルツハイマーの原因となるtauタンパク質の状態は正常化するデモンストレーションを行っています。
Category:治療技術
2017.08.22
ブタの臓器で人間を救う時代まであと2年?、移植の障害となっていたブタ内在性ウイルス(PERV)をゲノム編集で除去したブタが作られる
ブタの臓器で人間を救う時代まであと2年?、移植の障害となっていたブタ内在性ウイルス(PERV)をゲノム編集で除去したブタが作られる
ブタは大きさ的にも人間に近く、近年は免疫抑制技術も発達しているためブタの臓器を人間の治療に使う選択肢が以前より考えられていました。しかし大きな障害となっているのがブタの全細胞のゲノム中に潜む内在性レトロウイルス「PERV(porcine endogenous retroviruses)」です。一見ゲノム中の遺伝子配列に過ぎませんが、ヒトに移植後、ウイルスとして再生し、自在に増え、また細胞のゲノム中に入り込むなどしてガン化の原因になることが知られています(ゲノム中に潜伏出来るのがレトロウイルスの特徴)。
今回、アメリカのバイオベンチャー企業eGenesis(イージェネシス)社の研究者らは、ブタのゲノム中に存在する内在性レトロウイルス「PERV」をゲノム編集技術CRISPR/Cas9を用いて除去したブタを初めて作り出し著名な学術雑誌Science誌で発表しています。研究者らによるとブタの全ゲノム配列を調べた結果、入り込んでいるPERV配列は62もあり、その中でウイルスとして出てくる可能性があるのは25カ所、これを全て取り除いたそうです。
研究者らは今後2年でブタからヒトへの臓器移植が行われるだろうと言っています。ブタ臓器のヒト移植に一歩近づく 遺伝子操作で内在ウイルス不活性化 - BBCニュース 6 users
Category:#臓器移植
2017.05.31
生体内で狙った遺伝子のみを編集出来ると思われていたCRISPR/Cas9システム、ゲノムのあちこちに狙っていない遺伝子変異を起こしていることが発覚
生体内で狙った遺伝子のみを編集出来ると思われていたCRISPR/Cas9システム、ゲノムのあちこちに狙っていない遺伝子変異を起こしていることが発覚
スタンフォード大学の研究者らの報告です。マウスを用いて「盲目になる原因遺伝子」をCRISPR/Cas9ゲノム編集システムで編集するという動物実験において、治療が行われたマウスの目的以外の部分も含め、ゲノムを全て調べたところ、目的とする遺伝子がきちんと編集されているのに加えて、1500以上の1塩基変異が生じており、100以上のゲノム配列が塊でゴソっと削除されていたり、挿入されているのを発見したそうです。
これまで目的以外の部分には問題が無いと信じ、全ゲノム解析を行うようなことはしていなかったため、発覚していなかったようです。
Category:ゲノム編集・デザイナーズベイビー
2016.08.30
改変CRISPR/Cas9で狙った遺伝子を脱メチル化する技術が開発される
改変CRISPR/Cas9で狙った遺伝子を脱メチル化する技術が開発される
健康維持や病気発症におけるDNAメチル化の重要性にも関わらず、自在に特知恵の遺伝子配列のメチル化を制御し、機能を探ったり、治療を行う技術はこれまでありませんでした。今回、群馬大の畑田教授らは、以前に発表していたdCas9-SunTagという技術を特定遺伝子の脱メチル化の効率向上のために改変しました。
具体的な改良としては元のSunTagが5アミノ酸のリンカーで分割された10コピーのGCN4ペプチドから構成されていたのに対し、今回リンカーの長さを22アミノ酸としたところ、9種類の遺伝子で試した結果、7種類の配列で脱メチル化の効率は50%を超え、うち4種類で90%を超えていました。
この技術により「選択的脱メチル化」という新しい種類の治療方法が可能となります。
「メチル化」はエピゲノムとも言われ、ゲノムと異なり生活習慣などの影響を受けて変化し、病気の原因ともなり、また一部は子孫に受け継がれることが分かっています。
この技術、スーパー高校生バイオロジストの片野君が狙っていたような。CRISPR/Casゲノム編集の応用で狙った遺伝子のみのスイッチをONに - 群馬大 | マイナビニュース
Category:治療技術
2016.07.08
ゲノム編集技術CRISPR/Cas9を用いた「ジーンドライブ(Gene Drive)」技術が開発される。子孫全ての目的遺伝子を効率的に改変可能に、環境改変の強力なツール
ゲノム編集技術CRISPR/Cas9を用いた「ジーンドライブ(Gene Drive)」技術が開発される。子孫全ての目的遺伝子を効率的に改変可能に、環境改変の強力なツール
Concerning RNA-guided gene drives for the alteration of wild populations. eLife1イイネ
人類は既に自在に目的の遺伝子を欠損した生物を作ったり、遺伝子を導入した動物を作り出すことが可能となっていますが、これらの改変した遺伝子が子孫に効率的に伝わり広まっていくわけではありません。なぜなら、ほとんどの生物は全ての遺伝子を2セット以上持っており、子孫に伝わる際に減数分裂によりオス、メスからそれぞれ1セットが子孫に遺伝していくからです。このため、作り出した遺伝子改変生物の子供は同じ改変生物と交配しない限りは改変した遺伝子を半分(1セット)しか持てず、さらにその孫においては1セット持つ可能性が50%まで低下していきます。
(省略されています。全文を読む)
Category:ゲノム編集・デザイナーズベイビー
2015.04.24
中国の研究者がヒト受精卵の遺伝子編集実験を発表。先天性疾患の治療を目指す
中国の研究者がヒト受精卵の遺伝子編集実験を発表。先天性疾患の治療を目指す
倫理的理由で禁止されている実験ですが、中国のチームは確信犯的に実施したようです。
倫理的問題を避けるため先天疾患を持つ成長出来ない86個の受精卵を使用して実験を行ったそうです。そのうち71個は遺伝子編集後も生存し、28個でうまく遺伝子編集出来ていることが確認されたそうです。ただ、狙っていない部分の遺伝子が編集されてしまった受精卵も見つかったそうで、技術的課題があるとの結論です。
リンク先では日本の研究者達が倫理的立場にたったコメントしていますが、この技術はかなり進んでおり技術的課題は近い将来解決されると思います。倫理的問題はずっと残るでしょうが、そんな議論をしたところで、きっと先進国以外ではデザイナーベイビーが盛んに作成され人類の進化が再び始まるんでしょうね。その時、先進国はどうするのか。
(省略されています。全文を読む)
Category:遺伝子・バイオインフォマティクス
2013.12.11
医学界No1の学術誌Nature Medicineが選ぶ2013年の医学の重要な進歩8つ
医学界No1の学術誌Nature Medicineが選ぶ2013年の医学の重要な進歩8つ
医学界No.1の権威ある学術雑誌Nature Medicineが今年の重要な医学の進歩を8つの分野について紹介しています。
8つの分野は「再生医療」「免疫学」「マラリアワクチン」「若返りホルモン」「新たな鎮痛メカニズム」「ゲノム書き換え技術」「癌細胞の悪性化メカニズム」「糖尿病治療ホルモン」です。
Nature Medicneは毎年この手の発表をしており、2012年、2011年の内容は下記で紹介しています。
★再生医療:体内でiPS細胞を作れるようになった
初めてiPS細胞の作成に成功したのが2006年、その後、急速に研究が進んでいますが、今年、スペイン・マドリードの研究者により、マウスの体内でiPS細胞を作り出せることが報告されました。
この細胞は、血球細胞や、消化管、すい臓、腎臓の細胞などから作り出されますが、これまで作られていた培養皿中のiPS細胞よりもES細胞に近い特徴を持っており、容易に臓器形成を始めます。研究者はこの現象を分析していくことで、培養皿中で様々な臓器を作り出す手がかりを得られるかもしれません。
★免疫学:自然免疫の謎の解明が進んだ。
人間の身体には2種類の免疫があります。自然免疫と獲得免疫です。自然免疫は体内に入ってきた異物をとりあえず攻撃する役割を担い、獲得免疫は以前に入ってきた異物を強力に排除する役割を担います。
自然免疫を担うリンパ細胞(innate lymphoid cells)は単純に異物を攻撃するということだけでなく、腸内細菌とうまくやっていくために必要だったり、細菌感染が起きた時にどれぐらいの強さで攻撃うるかといった免疫の調製機能なども担っていますが、非常に様々な種類の細胞がありその全容ははっきりと分かっていません。
今年、それらの理解が急速に進みました。たとえばグループ2と呼ばれるIL-5やIL-13を出す細胞が腸内細菌とyまくやっていくのに必要な事や、グループ3と呼ばれるIL-17やIL-22を出す細胞が細菌感染時の好中球の集合をコントロールしていることが分かりました。
★ついに実用的なマラリアのワクチンが出来そう
人類は40年も前に、放射線照射したマラリア原虫を持つ蚊数千匹に刺させるとマラリアに感染しなくなるという現象を発見し、ワクチンを開発可能なであることは分かっていましたが、これを多くの人に簡便に投与出来るワクチンは開発出来ていなかった。
今、最新のワクチンが開発の最終ステージにありついに発売されそうです。このワクチンは開発試験では5ヶ月〜17ヶ月の投与されたボランティアがマラリアに感染する確率を半分に減らしています。
★年老いて肥大した心臓を若返らせるホルモンが見つかる
若いマウスと年寄りマウスの血管をつなぐと、年老いたマウスが若返りますが、この仕組みが解明されました。若いマウスの血液中に含まれるGDF11(growth differentiation factor11)という新発見のホルモンが年老いて肥大したマウスの心臓を若返らせ、たった4週間で若いマウスのように引き締まった心臓に戻すことが示されています。実際に人工的に作ったGDF11を注射するだけでも同じ効果が得られており将来、このメカニズムの薬が開発されることでしょう。
★新たな痛みを感じるメカニズムが解明される
人間が痛みを感じる時は普通は炎症性サイトカインや免疫細胞が痛みの原因物質を作り出します。このメカニズムを遮断することで痛みを減らす薬はありますが、なぜかある種の細菌感染ではこの薬の効果がありませんでした。今回、こういった細菌感染では細菌自身が痛みを感じさせる物質を作り出していることが分かりました、これまで効果が無かった患者に投与することが出来る新しい鎮痛剤の開発が期待されます。
★ゲノムを書き換える技術が進む
ゲノムを直接編集する技術が進んでいます。CRISPR/Cas9は細菌感染に対する免疫システムで働いている酵素ですが、これを用いてヒトの細胞の中の好きな配列を別の配列に書き換える実験が成功しています。この技術により人間の遺伝子の40%の部分は自由に編集可能になります。
すでにこの技術を使って魚やマウスの遺伝子をワンステップで書き換え、遺伝子組み換え生物を作り出せることが示されています。
★ガン細胞が悪性化していく様子が詳細に観察出来るようになった
癌細胞は徐々に変化し、元にあった部位から全身に散らばるような悪性の細胞へと変化していきますがこのメカニズムが最新の遺伝子配列解析技術を利用して明らかにされています。
その変化に共通する様な特徴が見つかれば新たなガン治療薬が開発出来るかもしれません。
★糖尿病治療に有効な新しいホルモンが見つかる。
インスリンはすい臓のβ細胞から分泌されます。このすい臓のβ細胞が死んだり、機能を失ったりするのが糖尿病ですが、今回、β細胞を自由に増やすことが出来るホルモンが発見されました。名前をベータトロフィン(betatrophin)といいます。
このホルモンは症状の軽い糖尿病患者の病気の進行を抑制したり、まったくインスリンが出なくなった?T型糖尿病患者の治療にも使える可能性があります。
(省略されています。全文を読む)
Category:1年間のまとめ記事