2011.07.08
携帯電話を使用すると精子の質が下がり血中の生殖ホルモン量に変化が起きる
不妊治療を受けている男性など、精子の質が悪いことが分かっている男性は少なくとも携帯電話の使用を制限すべきかもしれません。
オーストラリアのGraz医科大学とカナダのQueen's大学の研究者らが最近発表した。
Impact of cell phone use on men's semen parameters.(携帯電話の利用と男性の精子のパラメーター)Andrologia. 2011 Mar 28.PMID:21486411 |
また、血液中のテストステロン(T)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体ホルモン(LH),プロラクチン(PRL)などの生殖ホルモンを調べると、携帯電話を使っている患者はテストステロン(T)レベルが高い傾向にあり、一方、黄体ホルモン(LH)は低い傾向にあることが分かりました。FSH量とPRL量には差は見られませんでした。研究者らは当初、携帯電話利用により影響は無いことを証明しようと思って研究を始めましたが、結果として影響があることを証明することになってしまった。とニュース記事で語っています。研究者らは携帯電話の電磁波が生殖ホルモンレベルと受精能力両方に影響を与えている可能性を考えているようです。
A(携帯電話を使っている) | B(携帯電話を使っていない) | |
調べた人数 | 991名 | 1119名 |
異常精子の検出比率 | 68% | 58.1% |
テストステロン(T) | 高 | - |
黄体ホルモン(LH) | 低 | - |
卵胞刺激ホルモン(FSH) | - | - |
プロラクチン(PRL) | - | - |
このような、携帯電話の利用と精子の質の関連に関してはこれまでにも報告されています。2008年にアメリカの研究者がFertility and Sterility(受精と不妊)という雑誌に発表した
Effect of cell phone usage on semen analysis in men attending infertility clinic: an observational study(不妊治療を受けた男性の携帯電話の利用と精子の解析) Fertility and Sterility Volume 89 Issue 1 January 2008 Pages 124-128 |
生殖ホルモンの量の変化と精子の量・質の関係に関しては、携帯電話の利用に関わらず相関関係があるという報告が2007年にアメリカ、ボストンの研究者によりなされています。
Relationships between serum hormone levels and semen quality among men from an infertility clinic(不妊治療に訪れた男性における生殖ホルモンレベルと精子の質) J Androl. 2007 May-Jun;28(3):397-406. Epub 2006 Nov 29.PMID:17135633 |
携帯電話を使用していない人と携帯電話をしている人では生活環境が異なる可能性もあり、これらの悪影響の原因が携帯電話の電磁波であると断定するにはさらなる研究が必要と言えますが、少なくとも携帯電話が必要無い生活を送れば、精子の質は良くなるとも言えます。
情報元:
- Cell phone use may reduce male fertility(EurekAlart)
- Cellphones can reduce fertility by 30 per cent: Survey(Times_of_Indea)
- Reproductive hormones(生殖ホルモン)
- Pituitary Gland(脳下垂体)
- LH; Luteinizing hormone(黄体形成ホルモン)
Category:電磁波の影響
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精子
テストステロン
(Testosterone)男性ホルモンの一種、睾丸と副腎から分泌される。一般に30歳ごろから減少しはじめ年1〜2%ずつ減少すると言われる。テストステロンの減少量は個人差が非常に大きく、人によっては60代でも30代と代わらない量が分泌されている人もいる。
すばらしい更年期―性とテストステロンの事実
テストステロンについて(大東製薬)
テストステロンの作用・はたらき(大東製薬)
wikipedia
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