携帯電話を使用すると精子の質が下がり血中の生殖ホルモン量に変化が起きる
カテゴリー:電磁波の影響(記事数:6)

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2011.07.08

携帯電話を使用すると精子の質が下がり血中の生殖ホルモン量に変化が起きる

 不妊治療を受けている男性など、精子の質が悪いことが分かっている男性は少なくとも携帯電話の使用を制限すべきかもしれません。

オーストラリアのGraz医科大学とカナダのQueen's大学の研究者らが最近発表した。
Impact of cell phone use on men's semen parameters.(携帯電話の利用と男性の精子のパラメーター)Andrologia. 2011 Mar 28.PMID:21486411
という報告では、1993年から2007年の間に不妊治療に訪れた2110人の男性の精液や血液を検査しています。そして患者の聞き取り調査を元に携帯電話を使っているAグループと使っていないBグループに分け比較したところ、精子の形状に関してAグループは68%に精子の病理学的な形状が見つかったのに対し、Bグループでは58.1%にしか見られないことが分かりました。

 また、血液中のテストステロン(T)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体ホルモン(LH),プロラクチン(PRL)などの生殖ホルモンを調べると、携帯電話を使っている患者はテストステロン(T)レベルが高い傾向にあり、一方、黄体ホルモン(LH)は低い傾向にあることが分かりました。FSH量とPRL量には差は見られませんでした。研究者らは当初、携帯電話利用により影響は無いことを証明しようと思って研究を始めましたが、結果として影響があることを証明することになってしまった。とニュース記事で語っています。研究者らは携帯電話の電磁波が生殖ホルモンレベルと受精能力両方に影響を与えている可能性を考えているようです。

A(携帯電話を使っている)B(携帯電話を使っていない)
調べた人数991名1119名
異常精子の検出比率68%58.1%
テストステロン(T)-
黄体ホルモン(LH)-
卵胞刺激ホルモン(FSH)--
プロラクチン(PRL)--

このような、携帯電話の利用と精子の質の関連に関してはこれまでにも報告されています。2008年にアメリカの研究者がFertility and Sterility(受精と不妊)という雑誌に発表した
Effect of cell phone usage on semen analysis in men attending infertility clinic: an observational study(不妊治療を受けた男性の携帯電話の利用と精子の解析) Fertility and Sterility Volume 89 Issue 1 January 2008 Pages 124-128
では、361人の男性を携帯電話の利用時間により(A)非使用、(B)1日2時間弱、(C)1日2−4時間、(D)1日4時間以上。に分類して精子の数、運動性、生存率、形状を調べたところ、携帯電話の使用頻度が上がると精子の品質が悪くなり、数が減り、また、精子の運動性と生存率が下がり、形状異常の確率が上がることを報告しています。

生殖ホルモンの量の変化と精子の量・質の関係に関しては、携帯電話の利用に関わらず相関関係があるという報告が2007年にアメリカ、ボストンの研究者によりなされています。
Relationships between serum hormone levels and semen quality among men from an infertility clinic(不妊治療に訪れた男性における生殖ホルモンレベルと精子の質) J Androl. 2007 May-Jun;28(3):397-406. Epub 2006 Nov 29.PMID:17135633
この報告ではFSH、LH、Inhibin B、テストステロンなどのホルモン量と精子の質に関連があるとしています。

 携帯電話を使用していない人と携帯電話をしている人では生活環境が異なる可能性もあり、これらの悪影響の原因が携帯電話の電磁波であると断定するにはさらなる研究が必要と言えますが、少なくとも携帯電話が必要無い生活を送れば、精子の質は良くなるとも言えます。

情報元:

単語:
  • Reproductive hormones(生殖ホルモン)
  • Pituitary Gland(脳下垂体)
  • LH; Luteinizing hormone(黄体形成ホルモン)

Category:電磁波の影響

 Keyword:テストステロン/9




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