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2011.08.26
媚薬(aphrodisiacs)の使用は数千年前の中国、インド、エジプト、ローマ、ギリシャ文明に遡ることが出来る。現在でも科学的根拠の有るもの、無いもの入り交じって、性行動を増強する用途や、性的機能障害の治療を目的とし研究し使用されている。今回、カナダ、グェルフ大学の研究者が知られている天然の媚薬に関してまとめた研究報告を発表した。
報告では知られている天然の媚薬として以下のものを挙げている。ambrein(龍涎香)、Bufo toad(ヒキガエル)、Spanish fly(スペインハエ)、yohimbine(西アフリカ原産の植物ヨヒンベの樹皮)、Tribulus terrestris(日本にも生育するハマビシという植物)、horny goat weed(鹿の角)、 muira puama(アマゾン原産の植物、ムイラブアマ)、 MACA root(マカ)、 Panax ginseng(朝鮮人参)、 nutmeg(ナツメグ)、 saffron(サフラン)、 cacao(カカオ、チョコレート)
これらの中には実験動物を使って効果を確認しているものもあれば、人間のボランティアや性機能障害の患者ボランティアを用いた試験で効果を確認しているものもある。効果の評価方法としては、人間のボランティアによる評価の場合は、自己申告で効果や満足度を確認するなどであるが、動物を使った評価の場合の具体的な指標としては、「摘出した海綿体平滑筋への影響」「erection(勃起)の固さ」「膣の圧力」「性的行動の活発さ」などが調査されている。
上に上げたリストの中で人間を用いた試験で効果が確認されているのは
★ボランティアの自己申告により効果が確認されたもの
★人間の試験で勃起の質を高めることが報告されたもの。yohimbine(西アフリカ原産の植物ヨヒンベの樹皮)、 muira puama(アマゾン原産の植物、ムイラブアマ)、 MACA root(マカ)、 Panax ginseng(朝鮮人参)、 saffron(サフラン)、cacao(カカオ、チョコレート) yohimbine(西アフリカ原産の植物ヨヒンベの樹皮)、Panax ginseng(朝鮮人参)、 saffron(サフラン)
どの媚薬にどのような報告があるかを下記にまとめる。
天然由来の媚薬の科学的根拠の有無自己申告(人間) 勃起の質の客観試験(人間) 摘出した海綿体(動物) 勃起の質の客観試験(動物) 性行動(動物) ambrein(龍涎香) - - ○ - ○ Bufo toad(ヒキガエル) - - - - - Spanish fly(スペインハエ) - - - - - yohimbine(西アフリカ原産の植物ヨヒンベの樹皮) ○ ○ - - - Tribulus terrestris(日本にも生育するハマビシという植物) - - - ○ ○ horny goat weed(鹿の角) - - ○ ○ ○ muira puama(アマゾン原産の植物、ムイラブアマ) ○ - ○ - - MACA root(マカ) ○ - - - ○ Panax ginseng(朝鮮人参) ○ ○ ○ - - nutmeg(ナツメグ) - - - - ○ saffron(サフラン) ○ ○ - - ○ cacao(カカオ、チョコレート) ○ - - - -
ヒキガエルやスペインハエに関しては科学的根拠となる報告は見つからないようだ、朝鮮人参やマカ、ヨヒンベの樹皮などは盛んに研究が行われているようである。次に個々の研究がどのようなものがあるのか、いくつかの研究報告を紹介する。
韓国の研究者が紅参朝鮮人参(red ginseng)を使って、閉経した女性28名のボランティアを用いて行った研究です。評価は二重盲目試験(試験中に誰が朝鮮人参を飲んだか、被験者も研究者も分からなくして行う)を行ったところ3000mg/dayで効果が確認された。
この報告ではヘキサン(有機溶媒の一種)で抽出したマカの抽出液が、メタノールやクロロフォルム(いずれも有機溶媒の一種9で抽出したマカの抽出物よりもラットの性行動を増強することを示しています。マカには性行動を増強する成分が入っており、その成分を抽出するには特定の有機溶媒が有効なようです。
この報告はこれまでの紅参朝鮮人参の勃起障害治療に関する報告をまとめたものです。7つの臨床試験を調査していますが、いずれの試験でも効果を臭わせているものの、その評価の質は低く、効果を確信するにはさらなる試験が必要であるとしている。
※(参考)出てきた媚薬に関する英単語
erection(勃起)、corpus cavernosum(海綿体)、intracavernous pressure(陰茎海綿体圧)、libido(リビドー)
Category:#性・生殖・出産
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