↑B
2011.08.18
周囲に肥満の人がいると肥満になりやすくなることが統計調査で証明された。
先進国では肥満の人々が増加し続けており、米国ではここ数年で肥満率が23%から31%に上昇、「肥満」まで行かなくても「太りすぎ」も含めれば全国民の66%に及ぶそうである。肥満はアメリカでは国民病とまで言われている。世の中で肥満が増えてきたのは一般的には現代生活における運動不足やカロリーの取り過ぎが原因と考えられているが、それ以外の要因として「肥満は身近な人に感染する」とする研究が報告されている。
紹介するのはアメリカ、ボストンのハーバードメディカルスクールの研究者らの発表した研究、この研究の元になったデータはアメリカ・マサチューセッツのフラミンガムで50年以上にわたって心臓の病気を調べるために行われた「Framingham Heart Study」という有名な研究のデータを使っている。このデータを肥満という別目的に着眼し住民の社会的つながりと肥満度に着眼して解析を行った。報告のタイトルはThe spread of obesity in a large social network over 32 years(32年間におよぶ社会ネットワークの中での肥満の拡大).N Engl J Med. 2007 Jul 26;357(4):370-9. Epub 2007 Jul 25.PMID:17652652
研究者らは、研究データの中から1971年〜2003年の32年間に調査を行った12067人の住民の社会的つながりのデータとBMI値をコンピューター解析した。BMIが30を超える人を「肥満」と判定して解析を行うと、驚くべきことに、下記の傾向が確認された。
これらの現象は異性よりも同性の間で影響を強く受ける傾向にあるとの事だ。ただし、上記のような身近な肥満者の影響によって肥満に成りやすくなる現象は、「社会的に身近な人」に限られ、「単なるご近所さん」のような地理的に近くに住んでいるだけの人からは影響しないという結果であった。また、禁煙すると太りやすくなる事が知られているが、これらの結果は、身近な人の間で禁煙が広がった事とは関係無い事が統計的な解析により確認されている。
太っている人が近くにいると、自分が太っていくことに抵抗が無くなるのだろうか?配偶者や兄弟に関しては同じような食生活をすることが肥満に成りやすさに関わっている可能性がある。まあ、ありそうな結果だ。
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