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2011.11.02
うつ病、自殺などが免疫の働きにより起こることが知られている。具体的には、免疫反応が長期間続き、全身のIFNαやIL-2などの免疫に関係する物質の濃度が持続的に高い状態になると「うつ状態」が起こる。しかしながら免疫の活性化は悪いことばかりではないようだ。今回、研究者らは土壌の微生物によって起こる免疫反応が「うつ状態」を解消し頭が良くなることを報告している。
研究を行ったのはアメリカニューヨークの研究者ら。Neuroscience(神経科学)という学術雑誌に発表。報告のタイトルは
研究者らはマイコバクテリウム・バッカエ(Mycobacterium vaccae)という土壌中などに何処にでもいる微生物に着目した。この微生物は以前より免疫反応を活性化する事が知られている。実験にはマウスを使用し、この微生物を熱処理し殺した後にマウス1匹あたり0.1mgずつ2週間おきに2回注射投与した。すると微生物を注射されたマウスでは、免疫が活性化すると共にDorsal Raphe Nucleiという感情や気分に関わる脳の部分が活性化し、セロトニンが放出された。セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれる。うつ病の薬の一部はセロトニンの働きを真似したものである。脳内でセロトニンが放出された場合、幸せを感じ、物事をポジティブに考えられるようになる。
微生物を投与されたマウスは「迷路を歩かせるテスト」や「強制的に泳がされるテスト」で、微生物を投与されていないマウスに比べて短時間で迷路を歩くなど高い知能を示し、またテストをストレス少なく行っていた。この効果は微生物を投与しなくなると徐々に効果が無くなり、投与により起こる一時的な作用であることが分かった。また、この効果は呼吸を通じて微生物が入った場合を想定して行った気道への投与でも注射投与と同じように効果が得られた。
これらの「頭を良く」したり「気分をポジティブにしたり」する効果は、別の物質を注射し免疫を活性化した場合は見られず、この土壌菌による免疫活性化によりのみ起こるようだ。自然の中で過ごせば、この微生物は自然に飲み込んだり、呼吸とともに体内に入ってくることが十分考えられるそうである。
近年、アレルギーの子供が増えたり免疫的に弱かったりする原因が、自然の中で遊ばなくなったり生活環境が清潔になりすぎて土壌菌などに触れる機会が無くなったためだ、とする考えが報告されている。もしかしたら、社会の中でうつ病になる人が増えているのも、同じ原因かもしれない。
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