マッサージの効果を科学的に解明。細胞レベルの炎症低減すると共にトレーニング効率を高める作用も
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2012.02.06

マッサージの効果を科学的に解明。細胞レベルの炎症低減すると共にトレーニング効率を高める作用も

 多くのスポーツ選手はマッサージの効果について確信を持っているだろう。またアメリカでは1年間におよそ1800万人がマッサージを受けており、言うまでも無く一般的にも認知度の高い治療方法と言える。しかしながら、これだけ一般的な治療方法であるにも関わらずその作用の科学的メカニズムについては明確ではなかった。今回、カナダのオンタリオ州のMcMaster大学の研究者らが科学的な解析を行い発表した。

 研究者らはマッサージの効果を科学的に調べるために11人の若い男性のボランティアを雇い実験を行った。ボランティアには両足を使う激しい運動を行ってもらい、片側の足のみにマッサージを行った。そして運動前、運動直後(10分後)、2.5時間後に大腿四頭筋(quadricep)の生検(細い針で組織の一部を採取する検査方法)を行い、マッサージを受けた足と、受けていない足の組織の状態を調べた。

 検査の結果、マッサージを受けた足の組織ではFAKとERK1/2といったシグナル経路が活性化しており、NFκBの核内移行が抑制されていた、さらに炎症性サイトカインであるTNFα、IL-6の産生量が低減しており、HSP27のリン酸化が抑制されていた。これらの変化は運動により起こった筋繊維のダメージから生じる細胞ストレスが緩和されている事を示している。そして、マッサージの効果は筋肉内の乳酸を除去する作用との説もあったが、今回の評価ではマッサージにより筋肉組織の乳酸の量は変化しなかった。また面白いことにミトコンドリアを増加したり筋肉内の血管を増やし筋肉自体の量を増加させる作用が知られるPGC-1αが活性化していることが確認された。

 まとめると、マッサージによる効果は乳酸の除去では無く細胞レベルでの炎症の低減とミトコンドリアの増殖、筋肉再生の促進であると言える。

 以前に日本人研究者により報告された研究では運動後の2時間〜18時間まで骨格筋のPGC-1αの量が増加していることがマウスを用いた実験で報告されているが、このPGC-1αの増加がマッサージによりさらに高まっていると考えられる。マッサージは筋肉のダメージを低減する効果に加え、筋肉再生を促す効果もあるようだ。マッサージはトレーニングの一部と言えるのではないだろうか。

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