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2012.03.13
血圧を下げる薬「プラゾシン」にはPTSDに伴う悪夢を解消しうる別の作用がある。
一般に血圧を下げる薬として使用されているプラゾシン(prazosin)という薬に脳神経の損傷を防ぎ、PTSDに伴う悪夢を解消するという別の作用があることが報告されています。
この研究は10年以上前から行われており、最近ではアメリカの有名な総合病院メイヨークリニックの研究者らがプラハで行われた第20回ヨーロッパ精神医学学会で、これまでに様々な研究グループにより報告された12の研究を総括して効果は確かそうだと発表しています。
これまでに発表された治療実験の例を挙げると、2007年にアメリカ・ワシントン大学の研究者らが行った研究では、ベトナム戦争に行きPTSDの症状を患っている退役軍人40人に対して行った治療実験を行っています。そして効果は数日〜数週間のうちに迅速に現れること、薬を飲むのを止めると何人かの患者では悪夢が再発することを報告しています。プラゾシンは副作用の少ない高血圧の薬として長い使用実績があります。PTSDの治療に使った場合に血圧が低下する副作用が懸念されますが、少なくとも上記の治療実験では血圧には影響は無かったと報告されています。研究者らはプラゾシンが副作用の少ないPTSD治療薬になりうるのでは無いかと期待しています。
プラゾシンは神経細胞にあるα1アドレナリン受容体の作用を阻害します。PTSDにより起きる夜間の悪夢などの症状は脳神経のα1アドレナリン受容体の過剰作用が原因と考えられ、プラゾシンはこの過剰作用を防ぐことで治療効果を発揮していると考えられています。また、プラゾシンを作用させた脳神経は、脳神経がダメージを受けた時の指標となるHSP70というタンパク質を減らすことも報告されており、PTSDに伴う悪夢の他にも、アルツハイマー、うつ病、総合失調症による脳の損傷を予防する効果がある可能性が考えられています。
Category:#精神活動 #高次脳機能
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