前立腺ガンの原因の一部が「感染」である証拠が揃いつつある。包茎手術が前立腺ガンのリスクを減らす可能性と理由。
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2012.03.31

前立腺ガンの原因の一部が「感染」である証拠が揃いつつある。包茎手術が前立腺ガンのリスクを減らす可能性と理由。

 これまで実施された様々な研究で前立腺ガンの原因の一部が細菌・ウイルス・バクテリアなどの「感染」である可能性が指摘されている。例えば、若いうちに初めてのSEXをした人や、多くのパートナーとSEXをした人は前立腺ガンの指標であるPSAの値が高い事が報告されている。(下図)

各グループの男性のPSA値平均(文献2より引用)
パートナー数:20人以下20人以上
初めてのSEXが16歳より前0.441.2
初めてのSEXが16歳より後、0.510.45

PSA:prostate specific antigen(前立腺特異抗原)


 他にも、性感染症にかかったことがある人は前立腺ガンになりやすい事。また。途上国の一部などで行われている割礼(若いうちにペニスの余剰皮(foreskin)を切除すること)によりHIVやクラミジアなどの感染症になるリスクが減ることが報告されています。


 今回、アメリカ・ワシントン医科大学の研究者らは前立腺ガンの患者1754人と、健康な人1645人を調査した結果を報告しました(文献1)。研究者らは参加者に「割礼の有無」「割礼した年齢」「最初の性交の年齢」「性感染症の有無」を自己申告してもらい統計的解析を行った。

 その結果、最初の性交前に割礼を行った人は、行っていない人に比べて前立腺ガンになる確率が15%低下していることが分かりました。前立腺ガンには「悪性前立腺ガン」と「良性前立腺ガン」がありますが両方の発生確率とも低下していました。

 割礼により前立腺ガンが減少する理由ですがペニスの余剰皮(foreskin)は性交時に細かい傷を生じさせ、結果・バクテリアなどの感染を起こしやすくすることが知られています。これを取り除くことで相対的に細菌・ウイルスの感染が起こりにくくなり、結果、前立腺ガンになりにくくなる効果があると考えられます。日本においても見栄えや女性ウケなどの点からペニスの余剰皮を除去するいわゆる「包茎手術」を行う人がいますが、前立腺ガン予防の点からも意味があるかもしれません。

用語:
Circumcision:割礼、包皮切除

  • Circumcision tied to lower prostate cancer risk: study(REUTERS)
  • 文献1Circumcision and the risk of prostate cancer.Cancer. 2012 Mar 12. doi: 10.1002/cncr.26653. PMID:22411189
  • 文献2Influence of circumcision and sexual behaviour on PSA levels in patients attending a sexually transmitted disease (STD) clinic.Prostate Cancer Prostatic Dis. 2001;4(4):228-231. PMID:12497023
  • 文献3The effectiveness of male circumcision for HIV prevention and effects on risk behaviors in a posttrial follow-up study. AIDS. 2012 Mar 13;26(5):609-15. PMID:22210632

Category:感染による腫瘍形成

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