妊娠中の携帯電話電磁波は子にADHD様症状を起こしうる
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2012.03.21

妊娠中の携帯電話電磁波は子にADHD様症状を起こしうる

 人間の子供に神経行動障害が増えているが、なぜ増えているのか原因は分かっていない。今回アメリカのイェール大学の研究者らは妊娠中のマウスに携帯電話の電磁波を浴びせることで生まれてきた子供マウスの神経の働きが弱りADHD様の症状を示すことを報告しています。

★実験方法
 研究者らは全部で27の飼育ケージを用意し、それぞれにメス3匹オス1匹を入れた。そして27ケージのうち13ケージに携帯電話の電磁波を当てた(17日間)。実験は一般に使われている携帯電話を用いて行い、1日9時間または15時間または24時間持続して電磁波を浴びさせた。具体的な方法としては、マウスの飼育ケージの上(距離4.5〜22.3cm)のところにSAR=1.6W/Kgの携帯電話を設置した。使用した携帯電話は周波数帯が800MHz〜1.9MHzで日本で一般的に使用されている電磁波と同じ種類のものである。携帯電話はサイレントモードで使用した。
 17日目に携帯電話を取り除きそのまま飼育したところ、合計で161匹の子供マウスが生まれた(82匹が電磁波を当てたマウスから、残りの79匹が電磁波を当ててないマウスから)

★結果
 生まれてきたマウスを生後8週目、12週目、16週目に精神科学的行動科学的な様々なテストを行って比較した。また神経細胞を取り出してシャーレの中で個々の神経細胞の働きを調べる「パッチクランプ法」を行い、神経の働きを調べた。この方法で脳前頭葉皮質のレイヤー5部分の神経細胞を調べたところ、電磁波を浴びさせた時間に応じて神経のシグナル伝達が低下しているのが観察された。24時間当て続けたマウスが最も低下しており、1日5時間のみ当てたマウスでも低下が見られた。
 また、電磁波をまったく当てないマウスと最も長くあてたマウスの比較では、記憶力出来事に対する過剰反応性不安の感じやすさが有意に低下していた。恐れの感じやすさは有意差は無かったが若干の低下が見られた。 

 今回観察されたマウスの行動的問題はADHD(注意欠陥・多動性障害)の患者に似た現象である。またパッチクランプ法では前頭葉皮質(prefrontal cortex)の神経細胞の機能低下が見られたが、この部分はADHDの原因部位であることが報告されている。今回の結果は胎児の時に浴びた携帯電話の電磁波が大人になった時の行動に影響を与えうることを報告した初めての報告である。研究者らは人間の子供における行動障害の原因の一部が携帯電話のせいかもしれないと考えている。ただしマウスは妊娠期間が19日と短く、また人間に比べより未熟な状態で生まれてくるなど違いもあり、これらの結果が人間に当てはまるかどうかは調べる必要がある。研究者らは「どれぐらいの量までは問題が無く」「妊娠中のうちどの期間が影響が大きいのか」を調べる必要があると言っている。

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