バファリン4分の1錠を毎日飲むとガンで死ぬリスクが低下する
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2012.09.26

バファリン4分の1錠を毎日飲むとガンで死ぬリスクが低下する

 アスピリン(日本ではバファリンという名前で売られている)「アセチルサリチル酸」という名前の薬物が含まれ、この成分の熱を下げ痛みを和らげる効果により解熱鎮痛剤として通常は使用されています。近年、この成分にガンで死ぬ確率を低下させる効果があることが報告されました。2011年にイギリスの研究グループが人間への効果に関する大規模な研究結果を行い、「人間においても死のリスクを低下させる」と報告したのに続き、今年新たにアメリカの研究グループが結果を報告し、イギリスのグループの報告よりも少し効果は低いものの確かにアスピリンにそのような効果があると結論づけています。

★イギリスのグループの研究
 イギリス・オックスフォード大学の研究者らによる研究です。この研究ではガン患者にアスピリンを飲んでもらった8つの研究データをまとめ、合計25570人の生存率を分析しています。

 調査した患者のうち674人がガンで亡くなっていましたが、アスピリンを飲んだかどうかで分類して比較すると4年以上にわたりアスピリンを毎日飲んだ人では飲んでいない人に比べガンで死ぬリスクが低下していることが分かりました。その効果は、ガン全体で34%減少胃ガン大腸ガンなどの消化器ガンに限定した場合はより効果が高くリスクが54%減少していました。

★アメリカのグループの研究
 アメリカの研究者は、ガンになっていない100139名の男女を調べた研究を行っています。追跡調査を行った1997年〜2008年の間に5138人がガンで亡くなっていましたが、アスピリンを飲んだ人は飲んでいない人に比べ死ぬリスクが16%低下しているという結果になりました。

★必要なアスピリンの量。毎日飲んだ場合の悪影響
 イギリスの研究結果によると、ガンに効く作用を発揮させるために必要なアスピリンの量は多くないようです。研究では1日に75mg程度のアスピリンを飲めば効果が得られ、それ以上のアスピリンを飲んでも効果が高まる事は無いようです。日本で販売されているバファリンは錠剤1つが330mgですから、毎日バファリン4分の1錠を飲めばよいと言えます。(※海外のアスピリンは1錠に含まれる量が少ない)

 この結果を見て自分も毎日バファリン飲んでみようなんて思っている人もいるかもしれませんが、アスピリンには脳出血などの起こしやすくなる副作用があることを忘れてはいけません。この副作用のためにこれまでアスピリンを飲む続けるのは避けるように言われていたのですが、今回のガン抑制効果の報告を受けてアスピリンの長期間服用が見直されるかもしれません。ただし。今のところは、メリットとデメリットどちらが大きいのか明確ではありません。ご注意ください。試すなら自己責任でお願いします。

★(参考)アスピリンが効くメカニズム
 人間だけでなく、いくつかの動物実験においてもアスピリンのガンの発生・成長抑制効果が確認され、メカニズムに関する研究も行われています。その研究によるとアスピリンのCOXを阻害し、プロスタグランジンなどの炎症性メディエーターを抑制するというアスピリンの持つ「炎症を抑える」という作用そのものがガンで死ぬリスクを低下させる作用があるようです。

  • COX-2: a target for prevention and treatment of esophageal cancer.J Surg Res. 2004 Mar;117(1):114-20. PMID:15013721
  • Nonsteroidal anti-inflammatory drugs as anticancer agents: mechanistic, pharmacologic, and clinical issues.J Natl Cancer Inst. 2002 Feb 20;94(4):252-66. PMID:11854387
  • Aspirin, salicylates, and cancer.. Lancet, 373 (2009), pp. 1301–1309. PMID:19328542

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