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2018.01.19
インフルエンザに効く?明治ヨーグルトR1に関するこれまでの12研究論文を疑いの目でチェック
ツマが明治ヨーグルトR1を買いまくっているので調べてみました。何このヨーグルト?あるある的番組で人気なの?含まれている乳酸菌はWikipediaによると「OLL1073R-1」
この乳酸菌に関する論文をPubmedで検索すると出てくるのはたった12の論文。極めて限られた研究しかしてない乳酸菌であり、この時点で十分注意すべき情況であると感じます。長々と書いているので、めんどうな人は一番下の結論を見て下さい。
(1).全ての始まりの論文
発表:2002年1月、発表者:明治の中央研究所の研究者のみ?
タイトル:R1ヨーグルトを与えたネズミは関節炎(リウマチ)の症状が緩和する(Oral intake of Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1 prevents collagen-induced arthritis in mice. PMID:11808787)
(2).1番目の論文の詳細メカニズムを分析
発表:2002年10月、発表者:明治乳業の研究者のみ
タイトル:R1乳酸菌ヨーグルトをネズミに与えると、炎症誘導性サイトカインが出来るのを抑制する(Oral administration of milk fermented with Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1 to DBA/1 mice inhibits secretion of proinflammatory cytokines. PMID:19003106)
(3).★ヨーグルト中のどの分子が効いているか
発表:2006年、発表者:明治乳業と東北大学
タイトル:R1乳酸菌の多糖の免疫調製作用を分析(Immunomodulatory effects of polysaccharides produced by Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1. PMID:16840603)
(4).★初めての人間ボランティアによる実験
発表:2010年、発表者、明治乳業の研究者のみ
タイトル:R1ヨーグルトを飲んだ高齢者において感染が減る(Reducing the risk of infection in the elderly by dietary intake of yoghurt fermented with Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1. PMID:20487575)
2つの独立した実験を実施、1つは平均年齢74.5歳の57人をボランティアで雇う、もう一つは平均年齢67.7歳の89人を雇う。それぞれ2グループにわけR1乳酸菌で作ったヨーグルトか、発酵させていない牛乳を飲んでもらった。量は毎日90gのヨーグルトまたは100mLのドリンク。期間は8〜12週間飲んでもらって効果を比較
R1乳酸菌を食べることにより風邪をひく確率が2.6倍低くなった(風邪を引く人が100人→39人になる感じ)。またNK細胞の活性が高まっていた。
(5).★インフルエンザへの感染予防性
発表:011年、発表者、明治乳業と北里大学
タイトル:R1ヨーグルトおよび、その多糖のインフルエンザウイルス感染防御性をネズミで実験(Effects of oral administration of yogurt fermented with Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1 and its exopolysaccharides against influenza virus infection in mice. PMID:21986509)
ネズミに1日あたり0.4mLまたは、多糖を1日20μg、21日間飲ませた後で、インフルエンザAに感染させる。
ヨーグルトでも多糖でもインフルエンザで生き延びる期間が延長した(飲んでないと100%死亡するが、飲むことで40%弱が生き残る、1群9匹の実験)。インフルエンザウイルス数も減少、感染4日後の肺の中のインフルエンザに対する抗体も増加。脾臓細胞のNK細胞活性も増加。
これらの作用は多糖の中でも酸性多糖(APS)でのみ見られ、中性多糖(NPS)では見られなかった。
(6)ヨーグルト製造工程における重要分子について
発表:2013年、発表者、東北大と明治
タイトル:R1ヨーグルトを作る過程において、多糖産生におけるギ酸の効果(Effect of Formic Acid on Exopolysaccharide Production in Skim Milk Fermentation by Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1.PMID:24936359)
R1ヨーグルトが出来て、効果に必要な多糖が細胞外に分泌されるのにギ酸は重要。
(7)アトピー性皮膚炎に対する効果(ただしネズミ実験)
発表:2013年、発表者、明治の研究者
タイトル:マウスアトピー性皮膚炎モデルにおいて、R1ヨーグルトはIL-6反応を抑制することで炎症を抑える(
Oral administration of Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1 suppresses inflammation by decreasing interleukin-6 responses in a murine model of atopic dermatitis.PMID:23548305)
(8)R1乳酸菌の出す多糖分子の構造、ただし効果の無い方の中性多糖に関して(?)
発表:2015年、発表者、カナダの研究者、東北大、明治
タイトル:R1乳酸菌の出す中性多糖の構造分析と他の乳酸菌との比較(Structure determination of the neutral exopolysaccharide produced by Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1.PMID:26117825)
(9)★R1乳酸菌と他の乳酸菌(139種)の比較
発表:2016年、発表者:明治、順天堂大学
タイトル:R1乳酸菌に含まれる多糖によるNK細胞の活性化(Enhanced natural killer cell activation by exopolysaccharides derived from yogurt fermented with Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1.PMID:26686726)
(10)R1ヨーグルトによる免疫抑制は心臓移植を長持ちさせる
発表:2017年、発表者:帝京大学、中国の大学、順天堂大学、(明治関係なし)
タイトル:R1ヨーグルトでHMC不適合心臓移植のネズミが長生きする。
Yogurt Feeding Induced the Prolongation of Fully Major Histocompatibility Complex-Mismatched Murine Cardiac Graft Survival by Induction of CD4+Foxp3+ Cells.PMID:28736026
(11)★R1乳酸菌の多糖は腸管で何をしているか
発表:2017年、発表者:東北大学、宮城大学、明治
タイトル:ブタの腸管上皮細胞における抗ウイルス免疫の制御(Exopolysaccharides from Lactobacillus delbrueckii OLL1073R-1 modulate innate antiviral immune response in porcine intestinal epithelial cells.PMID:28800975)
(12)★粘膜の抗体量を増やしている
発表:2017年、発表者、神奈川歯科大学、福岡女子大学、寒川の老人ホーム(明治関係なし)
タイトル:ヨーグルトを食べると口の中に分泌されるIgAの量が増える。(Effects of yogurt fermented with Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1 on the IgA flow rate of saliva in elderly persons residing in a nursing home: A before-after non-randomised intervention study.PMID:28836348)
結論プレスリリース|企業情報|株式会社 明治 1 users
なるほど、人間を用いた実験が(4)と(12)のみではありますが、かなりハッキリと効果が出ています。また(5)のネズミの実験ではありますが、インフルエンザウイルスを死ぬほど与えて救う実験はかなり分かりやすいですね。
そのメカニズムに関しても(3)(9)の論文が説得力があります。乳酸菌の出す酸性多糖がその免疫活性化のキーであり、他の139種類の乳酸菌と比較したところR1株が最も多く多糖類を細胞外に分泌し、かつそこに含まれる多糖にIFNγ分泌促進などの効果があるとの結果から、乳酸菌の中でもっとも免疫活性化能が高いものとして選ばれたということになります。その含まれる多糖類は(11)の研究によると腸管内で全身の免疫を誘導しうるメカニズムであるTLR3のリガンドとして働いているようで、作用メカニズムの筋は比較的分かりやすい感じです。(12)の論文の腸管内で免疫活性化が起きた場合にIgA分泌が促進されるのはおこりうる生体反応と思います。
ふむ、これらを読んだ限りでは世間で言われているインフルエンザ予防効果があってもおかしくないかなと思えます。これなら飲んでも良いかな。
ただしヨーグルトの中でR1ヨーグルトがナンバーワンということは言えるかもしれませんが、食品による腸管、そして全身免疫の活性化を起こす方法は他にも色々考えられ、同程度のインフルエンザ予防効果も起こせるかもしれません。
R1ヨーグルトのみに頼らず他の免疫活性化方法との比較実験をやって欲しいですね。
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コメント
いいっすね!=314
001 [01.19 17:14]NHK人体の@Biglobe:腸みたか? ↑(85)
002 [01.20 10:18]通りすがり@Dion:なんでも乳酸菌と闘わせる企業ですからね(苦笑)乳酸菌ならなんでもだいたい何かしら効くと思います。そういうことです。 ↑(57)
003 [01.21 00:03]b@OCN:こんどR1でクリームチーズ作ってみるかなw ↑(33)
004 [01.21 06:09]明治は:広告にお金をかけているんですよ。戦略でしょうが、品切れになるようブームを作り、一時は宅配の客を優先して販売、明治牛乳宅配はこれで随分顧客増やしたはず。同じ効果はYakultでも出ている。ヤクルト400のほうがR-1より先のはず。値段も安い。 ↑(39)
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