人工子宮の概念が示されて50年、ついに完全子宮外胎児生命維持システム(TEFLS)完成
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2019.07.17

人工子宮の概念が示されて50年、ついに完全子宮外胎児生命維持システム(TEFLS)完成


図:An extra-uterine system to physiologically support the extreme premature lamb. Nat Commun. 2017 Apr 25;8:15112. doi: 10.1038/ncomms15112
フィラデルフィア子供病院の研究者による研究です。写真の通り超未熟児のヒツジを長期間(研究では人間の胎児よりも大きいヒツジの胎児を1か月間)埋没した液体の中で、まるで人工子宮のように生命維持し、元気に誕生させています。肺がまだ成熟しておらず自ら呼吸出来ない超未熟児の治療に革命を起こすことが期待されます。SF作品で出てくる「治療カプセル」みたいな応用は出来ないんでしょうかね?

研究はNature Communicationsで発表されており、また、この研究は全世界で特許出願されています(WO2014/145494)。日本での該当出願は特表2016-513571。発明の名称は「体外生命維持装置およびその使用方法」(元特許名称:Extracorporeal life support system and methods of use thereof)。

 最初に人工胎盤や人工子宮の概念が発表されたのは50年以上も前だそうですが、様々な技術的制約から実現していませんでした。論文や特許から今回の研究がこれまでの試みと何が違うのかを読み解くと
  • 胎児の体外に循環させている血液の循環に外部ポンプを使用せず胎児の心臓の力のみで循環させる(ポンプの脈流があると心臓への負担が大きいとのこと)
  • 胎児心臓のみで駆動する必要があるため酸素を取り込むプロセスの圧損が小さく40mmHg(1.5L/分時)である(酸素を取り込む装置は小児用の病院の装置(Quadrox-iD)を使用しているようです。)
  • QUADROX-i Adult and Small Adult
  • 胎児が無菌液を含む培養室に液没されて無菌的に飼育される。(無菌溶液は外部から濾過システムを経由して送り込まれる)
  • 体温を維持するために加温されている
  • 栄養補給されながら飼育されること(完全栄養を血液を通じて供給(3.5g/kgのアミノ酸、5〜10%ブドウ糖、3g/kgの脂質)
  • プライミング液量(胎児から対外に持ち出される血液容積は81mL)である。この分は胎児の血液または母体の血液を使用して補充、また定期的に母体血を追加し胎児の血液を維持。
  • 胎児が暴れる時は鎮静剤を投与
また血液を対外に人工のチューブを用いて取り出すカニューレでの血液の凝固を防ぐためにヘパリン、プロスタグランジンE1など、また細菌の増殖を防ぐために抗生物質が添加されています。今回はヒツジの子供での実験ですが、人間の子供の場合はこの3分の1サイズでOKとのことです。

特許にはこのシステムで飼育されて健康に生まれたヒツジの写真が掲載されています。

写真:Extracorporeal life support system and methods of use thereof(WO2014/145494)

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 Keyword:抗生物質/13 子宮/49




コメント

いいっすね!=14
001 [07.17 21:01]j:iPS細胞とかから作った卵子と、DNA使って培養して、この人工子宮で育てると、だーれにも知られることなくクローンが生まれちゃう技術がほぼ出来ちゃってるんですね。(もちろん細かい技術的ハードルはまだあるだろうけど)こういうのがテロ機関、国家とかで、超天才のDNAかき集めて未来の地球乗っ取りテロ集団を作り始めてたら怖い…。 (2)
002 [07.17 23:28]すきやき★54:子宮より先に作るべき器官があるのでは? (2)
003 [07.18 09:31]ふぇちゅいん(管理人) TW★71:髪の毛の事ですね。 (3)

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