腸内の善玉菌を増やすためには「食事の種類」よりも「摂取カロリー」の方が重要
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2013.08.19

腸内の善玉菌を増やすためには「食事の種類」よりも「摂取カロリー」の方が重要

 腸内細菌は人体に大きな影響を与え、乳酸菌などの善玉菌が多いと寿命が延び、反対に有害物質であるLPSなどを多く作る悪玉菌が多いと寿命が短くなることが動物実験により証明されています。腸内で作られたLPSは吸収されて人体の様々な臓器に悪影響を及ぼします。

 腸内の善玉菌を増やすにはどうしたら良いのでしょうか?ヨーグルトと食べる?肉を減らす?中国の上海Jiao Tong大学のLiping Zhaoらはマウスを使った実験を行い、カロリー制限により効率的に善玉菌を増やすことが出来ることを報告しています。

 研究者らは180匹のマウス(生後5週齢)を以下のように30匹ずつ6つのグループに分けました。
食事運動
グループ1低脂肪食無し
グループ2低脂肪食(30%カロリー制限)無し
グループ3低脂肪食有り
グループ4高脂肪食無し
グループ5高脂肪食(30%カロリー制限)無し
グループ6高脂肪食有り

 実験を開始してから62週目、83週目、141週目にそれぞれのグループの糞を採取し調べたところ、カロリー制限を行ったグループ2グループ5の動物のみで善玉菌が徐々に増加していき、悪玉菌が減少していくのが確認されました。カロリー制限されていれば高脂肪の食事であっても善玉菌は増加しました。

 運動は腸内細菌の種類に影響しませんでした。また高脂肪食と低脂肪食の差も明確ではありませんでした。

 次に研究者らは悪玉菌が腸内で産生する有害物質LPSが血液内にどれぐらい入っているかの指標となるLBPの量を比較したところ、カロリー制限により血液中のLBP量が大きく減少しているのが確認されました。血液中に入ってきている有害なLPSの量が減っていることが分かりました。

 今回の結果はカロリー制限によって腸内細菌の種類が変わり善玉菌が増え、悪玉菌が減ることを示しています。これらの作用は健康に良いとされている「低脂肪食」や「運動」では起こっておらず、「カロリー制限」こそが重要であると言えます。

 カロリー制限は寿命を効率的に延ばす唯一の方法として知られ、様々な動物モデルで実際に寿命の延長が証明されています。今回の報告内容を合わせて考えるとカロリー制限により腸内細菌が作り出す有害物質が減ることが寿命の延長をもたらす大きな要因になっているのかもしれません。

※LBP(Lipopolysaccharide-binding protein)
リポポリサッカドイド受容体・・・・体内へのLPS進入に応答して放出されるタンパク質。LBPに結合したLPSはマクロファージにより取り込み除去される。

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 Keyword:LPS/2




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人間の腸内には3万種類、100〜1000兆個の腸内細菌が存在し、実も種類も数も人体を構成する細胞(60兆個)よりも多い。こららの細胞が腸内で様々な生命活動をし、作り出す化学物質は腸から吸収されていくのだから健康への影響は非常に大きい。近年では腸内細菌の種類が人体に様々な影響を及ぼし、また健康な腸内細菌の移植(カプセルに入れて飲み込むとか)、で様々な治療が可能であることが明らかになっている。

キーワードはVerrucomicrobia(細菌の種類)、プロピオン酸、ポリアミン、レジスタントスターチ、抗生物質


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