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2018.04.10
p53の下流「PUMA」をブロックすることで、癌細胞を利することなく、抗がん剤投与による腸管細胞で生じる副作用を防止出来る
p53という細胞内のタンパク質は細胞に増殖停止や、自殺を命令する働きを持ちます。癌の治療の時に抗がん剤(癌を殺す薬)を投与すると、腸の幹細胞などの増殖している細胞も一緒にダメージを受けて死んでしまいますが、これらの正常な細胞の自殺はp53の働きで起こります。
このp53の働きを妨げる薬を投与することが出来れば、腸で起こるこの副作用を防止することが出来るのですが、やっかいなことにp53の働きを止めると、癌細胞の増殖を止め、自殺しようと働いている経路(結局は癌の増殖パワーに負けていますが)も妨げることになり、癌の増殖を促進してしまうので使うことが出来ませんでした。
今回、アメリカ・ピッツバーグ大学の研究者らの報告によると、p53全体の働きを止めるのではなく、p53シグナル経路の下流のPUMA(p53 upregulated modulator of apoptosis)を阻害した場合、腸などで起こる副作用のみを防ぎ、癌細胞を助けることはないそうです。
抗がん剤と一緒にこのPUMA阻害薬を飲むことで副作用を防止出来る可能性があります。また、このPUMA阻害薬によって、通常よりも大量の抗がん剤投与が可能になり、より強力に癌を治療出来るかもしれません。
Category:ガン・腫瘍
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