日光を浴びる時間と近視に強い相関関係。子供に日光を多く浴びさせれば近視の進行を抑制出来る。
カテゴリー:#目・視覚(記事数:27)

↑B

2013.12.05

日光を浴びる時間と近視に強い相関関係。子供に日光を多く浴びさせれば近視の進行を抑制出来る。

 近年、近視の人が増えていますが、原因の一つは日光に当たる時間が少ないせいのようです。デンマークと台湾の研究チームが別々に検討を行った結果が発表されています。

●デンマークの研究
 研究者は8歳~14歳の近視の子供235人を6ヶ月にわたり追跡調査を行いました。この期間に子供達が日光を浴びた時間は1660時間~2804時間(1日平均、9時間~15時間)と様々でした。

 2800時間程度の日光を浴びた子供と1600時間の子供の近視の進行を比較したところ、2800時間の子供が平均0.26D(近視の進行を表す単位)しか近視が進行していなかったのに対し、1600時間の子供は平均0.32Dと近視がより悪化していました。

 また、近視の原因は眼球が必要以上に大きく成長してしまうことですが、2800時間の子供では平均0.12mm大きくなっていたのに対し1600時間の子供では平均0.19mmも大きくなっており、日光を浴びる時間が少ないほど眼球が大きくなり、近視も進行していることが分かりました。

●台湾の研究
 台湾の研究者は2つの小学校を使って研究を行いました。それぞれの学校には7~11歳の子供達がいます。研究を始める前は2つの学校の間に近視の度合いの差はありませんでした。そして片方の学校でのみ、子供達に休み時間は外で遊ぶように指導を行いました。(1日あたり80分)

生徒数
学校1333人休み時間は外で遊ぶように指導
学校2238人何も指導しない

 1年後に2つの学校の全生徒の視力測定を行ったところ、外で遊ばせた学校では、近視になる子供の数がもう1つの学校よりも少なくなっていることが分かりました。


 眼球の成長は強い光を浴びると抑制されることが分かっています。昔に比べて近視の人が増えていると言われますが、これは日光を浴びる量が昔に比べ減っている事が原因の一つかもしれません。

 勉強でノートを見つめることにより目が悪くなるというよりは、長時間勉強することにより日光を浴びる時間が減ることが目が悪くなる原因という事です。

 このような日光を浴びる時間と近視の進行に関しては、以前、サルの仲間「ツバイ」を用いた研究で同様の内容が報告されています(文献3、4)。(ツバイは近視になることが知られている)

 また、眼球が大きく成りすぎる原因としては、今回紹介した日光の影響の他にも近年の豊かな食生活でカロリー摂取量が以前に比べ多すぎることが原因であることが報告されています。特に高度に精製された小麦などGI値の高い食物を多く食べると眼球の成長が促進されることが報告されています。

 ちなみに目が大きい方が美人という風潮がありますが、眼球のうち、外に露出してるのはほんの一部ですので眼球の成長を小さく抑えても、見た目の「目の大きさ」が小さくなるわけでは無いと思います。

Category:#目・視覚




コメント

いいっすね!=1

名前 コメント(※改行は省略されます)

※3回以上の連続書き込み不可
この記事のアクセス数:1962 ↑B
[RSS]


■■ このカテゴリーのその他の記事■■
2023.05.16Life Bioscience社、山中4因子処理での局所若返り処理がサルの視覚機能の回復にも有効であることを発表43コメ
2023.02.24エイジングに伴う目の毛様体筋(ciliary muscle)とレンズの変化を高解像度MRIで分析した研究報告97コメ
2020.11.08失明した人に視覚を取り戻す、人工視覚システム「Gennaris」が治験準備中13コメ
2020.03.13色覚異常の人がより多くの色を見分けられるようになるコンタクトレンズが開発される30コメ
2020.02.05目に良いとされる成分「[[ルテイン]]」は臨床試験でかなり明確な効果が実証されているが「ブルーベリーエキス」では必要量に足り無さそう。450コメ
2019.11.18子供の近視を遅らせるマルチフォーカルコンタクトレンズ「MiSight」が米国で承認4コメ
2019.08.09JINSが慶應大学ベンチャーと組んで「近視の進行を止める」眼鏡の開発に着手。2020年臨床試験開始。3コメ
2018.04.17アメリカで「明るさ自動調光機能」搭載のコンタクトレンズ「ACUVUE OASYS with Transitions」承認90コメ
2015.10.22老眼(presbyopia)を治療する目薬の臨床試験がスタート93コメ
2015.05.26眼球埋め込み型コンタクトレンズOcumetic Bionic Lensレンズ発表。視力3.0を一生継続可能255コメ

■■他サイトの関連記事(自動)■■
近視
近視
2025/03/28 11:10:中国が「1日2時間の屋外活動」を義務化した理由 国家プロジェクトで小学生の近視を予防する時代に | 教育 | 東洋経済オンライン(東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース)
2025/03/21 10:04:「勉強する子どもは近視になりやすい」は間違い なぜか日本では知られていない近視の予防法 | 教育 | 東洋経済オンライン(東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース)
2025/03/17 11:34:子どもの近視を防ぐには 屋外活動増やすと効果、国内初承認の目薬も(朝日新聞)
2025/02/27 08:54:ゲーム三昧でも2時間の外遊びでリセットできる 子どもの近視を抑制するための大事な習慣 | 教育 | 東洋経済オンライン(東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース)
2025/02/19 11:56:子どもの近視、発症は8歳児が最も多く ますます進む若年傾向(朝日新聞)


■■ 最近アクセス数の多い記事 ■■
●2025.02.21:三重大学がCRISPR-Cas9技術で特定の染色体を最大37.5%の効率で細胞から除去する技術(遺伝子・バイオインフォマティクス)118access
●2025.01.29:精子には男性が幼少期に経験したストレスの痕跡が残っており子供に影響するという研究結果(遺伝子・バイオインフォマティクス)111access
●2024.10.02:サンフランシスコで開催された「DON'T DIE」(不老不死)サミットと主催者Bryan Johnson(#アンチエイジングを目指す企業)110access
●2022.11.02:アンチエイジング薬を開発するユニティー社(UNITY Biotechnology)の2番手の開発薬UBX1325のPh-II試験で糖尿病性黄斑浮腫患者の視力回復傾向が報告される(#アンチエイジングを目指す企業)109access
●2020.09.02:知能発達途中の学生(8-10歳)に脳のワーキングメモリー拡大に効果のあるNバック課題(N-back task)をやらせた研究結果(#知能改善・天才になる方法)108access

すべて見る