2012.06.01
世界中、特に先進国で肥満者の増加が大きな問題になっている。肥満はカロリーの取りすぎや運動不足が第一の原因であることには間違いはないだろうが本当にそれだけなのだろうか。なぜ人により太りやすさが違うのか。
科学者らは近年、腸内バクテリアと肥満の関係に注目している。腸内には溢れんばかりのバクテリアが住んでいる。一部のバクテリアはビタミンB12などを作りだし我々の身体に供給するなどの依存関係が知られているが、最近の研究で腸内バクテリアは従来考えられてきた以上に我々の健康に影響を与えることが分かってきた。
1つに肥満への影響がある。太った動物と痩せた動物は異なる腸内バクテリアを持っていることが報告されている。腸内バクテリアの種類により食物の吸収や脂肪として蓄積されやすさが影響を受けていると考えられている。
今回、フランス農業研究機関(INRA)の研究者Frank Ducaらは、肥満個体の腸内バクテリアを別個体の腸に移す実験を行いサンディエゴに開催されたアメリカ栄養学学会(American Society of Nutrition)で発表した。
まず、肥満のマウスや肥満になりにくいマウスの腸内バクテリアを集め、事前に腸内バクテリアを全て取り除いた別のマウスに移した。そして、いくつかのグループに分け、通常のエサのみを食べるグループや、高カロリーのエサを食べるグループなどについて8週間にわたり観察した。すると予想通り、肥満マウスの腸内バクテリアを移されたマウスは肥満になり、肥満になりにくいマウスの腸内バクテリアを移されたマウスは太ることは無かった。
研究者らは以下の2つの現象があるのでは無いかと考えている。
- (1)いったん食べ過ぎる機会があると、腸内バクテリアの傾向が肥満しやすいものに変化し過剰に体重を蓄積しやすくなる。
- (2)この腸内バクテリアの変化は行動に変化をもたらし食事量を増加させる。おそらく満腹感を感じ難くさせている。
研究者らは、腸内バクテリアを制御することで肥満リスクを低減出来る方法が確立出来るのでは無いかと考えている。自分で出来る腸内バクテリアを制御する方法としては菌が生きたまま腸に届くヨーグルトなどがあるだろう。
- Gut organisms could be clue in controlling obesity risk (EurekAlert)
Category:ダイエット・メタボリックシンドローム
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