赤ちゃんに与える前に親がおしゃぶりをなめることで、子供のアレルギー・湿疹・ぜんそくが減少する。
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2013.11.19

赤ちゃんに与える前に親がおしゃぶりをなめることで、子供のアレルギー・湿疹・ぜんそくが減少する。

 アレルギー。ぜんそく・湿疹などの免疫疾患を持つ子供は20世紀に入ってから増加傾向にあり、今や3人に1人がなんらかの症状を持っていると言われています。

 今回、スウェーデンのクイーン・シルビア子供病院の研究者Hesselmarらにより、簡単な習慣で子供がこれらの症状を持つ可能性を減らしうることが報告されています。

 研究者はスウェーデン国内で妊娠中の女性をボランティアとして雇い、それらの女性から生まれた184人の幼児とその母親の生活習慣のアレルギー保有の有無を3歳になるまで調べました。

 親に「おしゃぶり(Pacifier)を使っているかどうか」「おしゃぶりを煮沸消毒しているかどうか」「水で水道水ですすいでいるかどうか」「おしゃぶりを与える時に親がしゃぶって綺麗にしているかどうか」などの質問をしたところ、下記のような結果になりました。

水で洗浄する親83%
煮沸消毒54%
しゃぶって与える48%
回答無し10%

 そして、子供がぜんそく(asthema)、湿疹(ectema)、ハウスダストアレルギー(sensitization to airboene)などを持っているかどうかを生後1年半、3年目に調べたところ興味深い相関関係が分かりました。親がおしゃぶりをしゃぶって綺麗にしてから子供に与えている母親の子供はアレルギーになる可能性が低かったのです。

おしゃぶりを親がなめることによる効果(原著の図に日本語による注釈追記)
おしゃぶりを親がなめることによる効果(原著の図に日本語による注釈追記)


 親の唾液中には多数の微生物が存在していますが、親がしゃぶった場合とそうで無い場合では、幼児の口の中のバクテリアの種類が異なることが確認されています。これらの微生物の違いがなんらかのメカニズムでアレルギーなどの免疫疾患になる可能性を低下させていると考えられます。

 アレルギーなどの症状は反応する必要の無い無害な物質への過剰な免疫反応が原因で、メカニズム的には「免疫寛容獲得の失敗」と定義されますが、こういった症状をかかえる子供が細菌増えている理由については様々な議論があります。

 一つかなり確からしいと考えられている説は環境が綺麗に成りすぎた事だと言われます。これは衛生仮説「The hygiene hypothesis」と呼ばれます。ある程度、不衛生な環境である方が免疫が正しく働き食物由来の物質や・ハウスダストといった反応する必要の無い環境中の異物を認識しなくなると考えられます。アレルギー患者の多い先進国ほど子供の腸内微生物の多様性の増加が遅れることが報告されており、腸内細菌が関わっているかもしれません。

 実際に生活環境とアレルギー保有の有無を調べた統計調査においても、貧困、家が狭い場合、大家族、初期のペットや濃厚動物とのふれあい、初期の食品微生物とのふれあいなどがアレルギーになる確率を低下させることが報告されています。

 今回の「おしゃぶりを親がしゃぶる」という習慣も子供を早い段階で多様な微生物に触れさせる役割を果たしていると考えられます。

 一つ気になることを上げるとすれば、近年、親の唾液を子供に移すことは虫歯の原因になると言われ避けるように言われていることです。虫歯を避けるか、アレルギーを避けるかという選択をしないといけないのかもしれません。

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