将来、膨大な数の認知症患者が世界経済に危機をもたらす可能性。治療の可能性 (カテゴリー:脳・中枢神経・神経(記事数:50))


2012.01.18

将来、膨大な数の認知症患者が世界経済に危機をもたらす可能性。治療の可能性

 アルツハイマー病などの認知症患者の増大が世界経済を圧迫する可能性があると専門家が警告をしている。既に現時点で回復の見込めない2400万人〜3700万人の認知症患者が世界にはおり、この数は2050年までに現在の3〜4倍に当たる1億1500万人に増える見通しだという。これは人類が長寿になっていることに関係している。アルツハイマー型認知症は年齢とともに指数関数的に発症率が上昇するからだ、下記に年齢層ごとの認知症発症率を示す。

<<年齢ごとの認知症発症率>>
65〜69歳1.5%
70〜74歳3.6%
75〜79歳7.1%
80〜84歳14.6%
85歳〜27.3%

情報元:アルツハイマー型認知症治療の現状と展望(PDF)

特に先進国では平均寿命が近い将来に100歳程度になると予想されているが、上記の表から分かるように寿命の増加=アルツハイマー型認知症患者の増加なのである。既に現時点でも全世界で毎年GDPの1%に相当する50兆円が認知症患者の治療介護に使われていると報告されているが、この負担は今後増大し続けることが予想されている。

 残念な事に今のところアルツハイマー型認知症を改善し正常な状態に回復させる薬は存在しない。「アルツハイマー病の薬」と名前が付いている薬もあるが、これらの薬は決して「治す薬」では無い事を理解せねばならない。これらの薬の効果は「認知症の原因となる状況を改善」することでは無く、単に「脳の神経を一時的に活性化」させているに過ぎないのである。乱暴な表現でこの状況を例えるなら手術しないと治らない病気を持った人に栄養ドリンクを飲ませて「飲んでいる間は元気になった」と言っているようなものである。飲んでいる間は効果を感じることが出来るかもしれないが、薬の原理上、病気の進行を止めたり巻き戻したりする効果は無い。

 一方まだ開発段階ではあるが、アルツハイマーを治療する薬も研究開発されている。最も開発が進んでいる方法は血液中のAβ(アミロイドベータ)というタンパクの量を減らしてやる方法である。Aβは体内に元々存在するタンパク質であるが、アルツハイマー病患者では脳内に過剰に蓄積し毒性を示し脳細胞にダメージを与えることで認知症をひき起こす。このため、血液中のAβの量を様々な方法で減らすことにより脳への蓄積量を減らし治療効果を減らすことが可能である。この種類の薬は多数開発されており近い将来に市場に並ぶことが予想される。ただ、この薬で使用可能になっても既に壊れてしまった脳神経細胞を修復することは出来ないため、今後はアルツハイマー病の発症をなるべく早い段階で発見し治療を開始することが重要と考えられ、早期のアルツハイマー型痴呆症患者を見つけ出す検査技術の開発も行われている。

Category:脳・中枢神経・神経




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