ラパマイシンの寿命延長効果は心臓機能の改善のおかげか?
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2013.07.01

ラパマイシンの寿命延長効果は心臓機能の改善のおかげか?

 ラパマイシン(rapamycin)はmTORsシグナルを阻害する免疫抑制剤として既に医薬品として売られている薬ですが、面白いことに様々な哺乳類の寿命を延ばす効果が報告されています。しかしながらなぜラパマイシンが寿命を延ばす効果があるのかメカニズムは分かっていませんでした。

 今回、アメリカ・カリフォルニアのBuck研究所の Simon Melov博士らはラパマイシンが心臓の機能を著しく改善する効果があることを発見し報告しています。

 研究者らは人間でいうと70-75歳の老齢にあたる実験用ネズミ(生後24ヶ月)にラパマイシンを3ヶ月間投与し、様々な方法で心臓の機能を調べました。すると心臓の血管に「若返り」と呼べるほどの劇的な効果が見られ、血液を送り出す心臓のポンプ機能が大幅に改善していました。

 また、心臓のポンプ機能の改善に伴うと見られる効果として、老齢になり動きの鈍くなった実験用マウスがラパマイシンを投与することで活発に運動するようになり(回転する運動装置の中での滞在時間が増加した)、また、心臓組織を遺伝子解析したところカルシウム制御やミトコンドリアの機能に影響し、組織の炎症を抑え筋肉の肥大を抑制する効果を示していました。

 これらの結果はラパマイシンが老化した心臓の機能を若返らせる機能を有していることを示しています。研究者らは、現在この効果を人間で確かめることを目的に、心臓動脈の病気を患う患者を集め、少量のラパマイシンで治療する試験を計画しています。

※ラパマイシンは強い免疫抑制作用がある薬であり、医師の指導無しに勝手に若返りを目的として服用することは危険です。
mTOR(Mammalian Target of Rapamycin)・・・・・グルコースやアミノ酸などの栄養士、成長因子、各種ホルモンで活性化される経路

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ラパマイシン(Rapamycin)は別名シロリムス(Sirolimus)と呼ばれ、ファイザー社よりラパミューン(Rapamune)という名前で販売されている。元々は免疫抑制剤として開発された薬だが、最近ではガン治療作用や、寿命延長効果などが知られる注目の薬となっている。

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