カテキンがダイエットに効くには科学的証拠があった
●この文章から得られる結論
●はじめに
●カテキンとは /3
●証拠1:「緑茶パウダーによりコレステロールが吸収されにくくなり、血液中のコレステロールが減り動脈硬化の指標が減少した」という報告(1986年発表)
●証拠2:「カテキンを食べさせることでマウスの体重増加を押さえる事ができた。」という報告(2002年発表)
●証拠3:「カテキンを含む緑茶抽出物により体内のエネルギー消費量が増加した。」という報告(1999年発表) /6
●証拠4:「4週間カテキンを食べさせると血液中のコレステロール値が減少した。」という報告(2003年発表)
●証拠5:「ヘルシア緑茶のような飲料を1日1本、12週間飲み続けると体重が約1.69kg減少する」という報告(2002年発表)
●カテキンに関するニュース
●リンク
毎日ヘルシア飲めば3ヶ月で平均1.69Kg痩せる!!!!!?
はじめに |
最近、様々なメーカーがカテキン入りの飲料を発売している事は皆さんご存じの事と思います。このカテキンブームに火をつけたのは花王のヘルシアでしょう。その後、あるある大辞典でも取り上げられたりして、世間はいわばカテキンブームと言っても良いでしょう
まあ、あるある大辞典のスポンサーは花王ですけどね(笑)
これまでにもダイエットに効果があると言われる商品はいろいろありました。そういった商品を試してダイエットに成功した人、失敗した人などもいるのではないでしょうか。さて、カテキンは結局どうなのでしょうか?今回、いろいろ学術論文を調べてみたところカテキンにダイエット効果がある事を具体的に実験し報告している論文がいくつかありましたのでそれを紹介したいと思います。
カテキンとは |
カテキン(catechin)は分子量290のポリフェノールです。ポリフェノールとは、植物が光合成を行うときに作られる物質の総称でこれまでにおよそ5000種類が知られています。共通した働きとして抗酸化作用があり、どれも健康に良いとされているものばかりです。知られているポリフェノールを以下に示します。種類はいろいろありますが、ほとんどの植物に含まれており、緑茶に多く含まれるカテキンもその一つです。カテキン(catechin) 緑茶 ルチン(rutin) そば フラバノン(flavanon) レモン、ミカンなど柑橘類の皮 タンニン(tanin) 緑茶、カキ、赤ワイン ケルセチン 赤ワイン、ココア、タマネギ、ブロッコリー アントシアニン(anthocyanin) ブルーベリー、イチゴ、ナス、むらさき芋 イソフラボン(isoflavone) 大豆、そら豆、レッドクローバー
Keyword:ケルセチン/5
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証拠1:「緑茶パウダーによりコレステロールが吸収されにくくなり、血液中のコレステロールが減り動脈硬化の指標が減少した」という報告(1986年発表) |
この報告は学術雑誌「J. Nutr Sci Vitaminol」のvol.32 no.6の613ページ〜622ページで報告されています。報告者は日本人の研究者、村松らです。題名は「Effect of green tea catechins on plasma cholesterol level in cholesterol-fed rats(高コレステロールな食事をさせたネズミの血液中コレステロール値に緑茶のカテキンが及ぼす影響)」
報告の中ではオスのラットを使って、このラットに28日間にわたり15%のラードと1%コレステロールを含む食事をとらせています。このラットを3つのグループに分け、第1グループは1%の緑茶パウダーを毎日食べさせ、第2グループは2%緑茶パウダーを食べさせ、第3グループは食べさせませんでした。グループ名 飲ませたカテキンの量 第1グループ 1%緑茶パウダー 第2グループ 2%緑茶パウダー 第3グループ 無し
28日の実験の後、ラットを調べてみるとその他のグループのラットは高いコレステロールの食事によりいわば肥満状態になりましたが、第2グループの2%の緑茶パウダーを食べさせたラットだけ血液中のコレステロール量、コレステロールエステル量、動脈硬化の指標などの値が減少していました。またコレステロール値などは減少していましたが、健康状態の指標と考えられる赤血球の数と血液中のグルコース量は変化していなかった事から緑茶パウダーがいわば毒として働いていたのでは無いといえます。さらに肝臓を調べてみると、肝臓中の脂肪とコレステロール値の上昇が抑えられており、またフンに含まれる脂肪とコレステロール量が上昇していました。
結論
これらの事は緑茶パウダーを食べることにより食べたコレステロールが吸収されず肥満になってもおかしくない状態の食事を続けたとしてもコレステロール値の上昇など肥満症状が起きるのを防ぐことが出来たことを意味しています。
Keyword:コレステロール/16
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証拠2:「カテキンを食べさせることでマウスの体重増加を押さえる事ができた。」という報告(2002年発表) |
報告は学術雑誌「International jornal of obesity」vol 26 no.11 の1459ページ〜1464ページで報告されています。実際の報告のタイトルは「Beneficial effects of tea catechins on diet-induced obesity: stimulation of lipid catabolism in the liver(食べ過ぎによる肥満にお茶カテキンが与える影響:肝臓での脂肪代謝の促進)」報告者は花王(株)栃木県生物科学研究所のMurase T達である。
実験は、「C57BL/6」という種類のネズミを2つのグループに分け、片方のグループは5%の脂肪を含む食事を、もう1つのグループは30%の脂肪を含む食事を食べさせています。そしてこの2つのグループのネズミごとに01〜0.5%のカテキンを11ヶ月間食べさせました。
11ヶ月後、ネズミの体重を測定してみると高脂肪の食事を食べさせたにも関わらず茶カテキンを食べさせたネズミは体重の増加が抑えられていました。食事の種類 与えたカテキンの量 5%の脂肪を含む食事 0.1〜0.5% 30%の脂肪を含む食事 0.1〜0.5%
※論文の内容をグラフ化
また内臓脂肪を調べてみると肝臓を含む様々な臓器の脂肪の増加が抑えられていました。ネズミの下半身の脂肪は5%の脂肪のみを食べさせたネズミでは平均2g以上増加するが、0.2%のカテキンを食べさせたネズミでは増加量が1.1g、0.5%食べさせたネズミでは0.4gしか増加していませんでした(下図)
※論文の内容をグラフ化
また体内において脂肪を消費するために必要な酵素の活性が食べ始めてから1ヶ月後に上昇していた。これらの事をまとめるとカテキンは肝臓の脂肪代謝を促進する事によりダイエット効果を発揮しているといえる。今回の研究結果は長期間カテキンを接種すると食べ過ぎによる肥満を防ぎ、また糖尿病や心臓の血管の病気を防ぐのに有効であることを示している。
証拠3:「カテキンを含む緑茶抽出物により体内のエネルギー消費量が増加した。」という報告(1999年発表) |
報告は学術雑誌「Am j. Clin Nutr」 vol.70ページ1040-1045 実際の題名は「Efficacy of a green tea extract rich in catechin polyphenols and caffeine in increasing 24-h enery expenditure and fat oxidation in humans(カテキンポリフェノールを多く含む緑茶抽出成分とカフェインが24時間のエネルギー消費と脂肪の酸化に与える影響をヒトで調べた)」で、フランスの研究者による報告である。研究者らは10人の健康な人間の男を使い24時間の間、連続して呼吸による酸素、二酸化炭素の出し入れの量、尿などを調べることによりカテキンが体内のエネルギー消費に与える影響を調べています。まず3つのグループにわけ、それぞれ1 緑茶抽出物(50mgカフェイン、90mgカテキン) 2 カフェイン50mg 3 placebo(偽の薬)
を朝昼晩の食事の中に入れた。もちろん本人には上の3つのどれが入っているかはわからなくなっている。24時間の間放出した二酸化炭素量から消費エネルギー(EE)を調べてみると緑茶抽出物を食べたグループでは平均エネルギー消費量が4%増加していた。また24時間の呼吸商(RQ)が0.88→0.85に減少していた。これは脂肪が消費されていることを示している(※下記参照)また尿中に排泄される窒素量は変わらなかった事からタンパク質がエネルギーに変わったためでは無いと考えられる。(※窒素は主にタンパク質に含まれている)
このように緑茶を飲むことによりエネルギー消費が上昇し、これは主に脂肪が消費されているためであると考えられる。
※呼吸商(RQ:Respiratory quotient)
脂肪商とはCo2排泄量/O2消費量の事体内においてエネルギーになる物質は大きく分けて以下の3種類がある。呼吸商 1gあたりのエネルギー量 脂質 0.71 9.3kcal 糖 1.00 4.1kcal タンパク質 0.85 5.3kcal
1gあたりのエネルギーが最も多いのは脂肪である事はご存じだと思うが、脂肪が最も呼吸商が小さい。すなわち脂肪を多く燃焼させた時には酸素のとりこみ量に対して二酸化炭素の排泄量が少ないのだ。すなわち今回のように呼吸中の呼吸商の値が減少したという事は消費しているエネルギーのうち脂肪に頼る量が増加したことを示している。
Keyword:カフェイン/9
タンパク質/73
脂肪/109
記事ごとのページ・コメント欄(6〜)
証拠4:「4週間カテキンを食べさせると血液中のコレステロール値が減少した。」という報告(2003年発表) |
発表先は学術雑誌「J Nutr Biochem」vol.14 no.6ページ326〜332である。本文の題名は「Effect of EGCG on lipid absorption and plasma lipid levels in rats」発表者はスイスの研究者Raederstorff DGら
研究者らはウイスターという大ネズミに高コレステロールの食事を4週間の間与えた。そしてネズミを3つのグループに分け、同時に1kgあたり0.2グラム、0.4グラム、0.7グラムのカテキン(EGCG:epigallocatechin galate)を毎日食べさせた。すると0.7グラムを毎日食べさせたネズミで血液中の総コレステロール量とLDL濃度が減少した。triglycerideとHDL濃度は変わらなかった。
カテキンは1回だけ飲んでもダイエットに効果がある
また、1回だけ脂質と同時にカテキンを食べさせるテストをしたところ、通常食べさせたコレステロールは79.3%が吸収されるのに対し、0.1g/kgのカテキンを同時に食べさせたものでは73.7%に減少した。さらに0.5g/kgを食べさせたものでは62.7%に減少した。脂肪の吸収はカテキン無しでは99.5%が吸収されたのに対し、0.75g/kg、1g/kg食べさせたネズミでは劇的に減少した。通常状態 0.1g/Kgのカテキンを食べさせた時 0.5g/Kgのカテキンを食べさせた時 コレステロール吸収量 79.3% 73.3% 62.7%
このようにカテキンを食べることにより脂肪やコレステロールの吸収が低下する事がわかる。
証拠5:「ヘルシア緑茶のような飲料を1日1本、12週間飲み続けると体重が約1.69kg減少する」という報告(2002年発表) |
発表先は2002年の「Porg. Med」vol.22ページ2189〜2202題名は「カテキン類の長期摂取によるヒトの体脂肪低減作用」
男女80名(男の平均年齢約42歳、女の平均年齢約55歳)を2つのグループにわけ、片側のグループは126mgのカテキンを含む普通の緑茶飲料を飲ませ、もう片側のグループは588mgのカテキンを含む高カテキン飲料(ヘルシアと同じ量)を飲ませた。この12週間の間、特に食事制限はせず普通の生活をしてもらい、ただし毎日1本与えられた緑茶を飲んでもらったところ
普通の緑茶を飲んでいたグループは平均0.44kg体重が減少したのに対し、高カテキン飲料を飲んでいたグループは体重が平均1.69kg減少していた。
カテキンに関するニュース |
★カテキンで精子が元気になる。ウシの体外受精効率アップ(朝日新聞2004年7月26日)
精子は体外に放出された後、酸化されることによって運動量が減り受精率が低下するが、ここにカテキンを入れた場合、カテキンの持つ抗酸化作用で酸化が防止され受精率があがる事がわかった。通常の体外受精では受精率40%ちょっとだが、精子1ミリリットルに45mgのカテキンを入れると60%、90gのカテキンを入れると70%近くなった。しかし、さらに量を増やし180mgのカテキンを加えた場合は受精率が20%程度に低下した。
★高濃度のカテキンは体によくない。DNAが損傷される恐れ(読売新聞2003年9月26日)
緑茶に含まれる40倍のカテキンを加えると通常の1.5〜2.0倍DNAが損傷した。
★カテキンにSARS抑制効果(読売新聞2004年7月18日)
松下電器はカテキン成分を含んだ空気清浄機フィルターを販売しているそうです。
リンク |
Cation!!注意:このページには動物実験などで得られた研究段階の情報が含まれています。これらはなんら、人間に適用した時の効果を保証するものではなく、これらの情報を元にとった行動によりいかなる不利益を被っても管理人は一切責任を負いません。このページの話はあくまで「情報」としてとらえてください。